Adelante! > Diary 2002.03

Diary
marzo

03/30Y Tu Mama Tambien

木々はまだ芽吹いてはいないけれど、気温だけは歩いていると汗ばむほどの初夏の陽気だった。洗濯して部屋の掃除を(ちょっとだけ)してスーツをクリーニングに出してジムにいって散髪して洗車して…と、ものぐさな自分にしては大量の仕事をこなしてから電車でマンハッタンへ。話題のメキシコ映画「Y Tu Mama Tambien (And Your Mother, Too)」を見た。

政治家の息子で裕福な育ちのテノチェと中流階級のフリオは家庭環境こそ違え、いつもつるんでいる大の仲良しの高校生。Y Tu Mama Tambien夏休みにガールフレンドがイタリアにバカンスに出かけてしまい暇と性欲をもてあましていた二人は、テノチェの親戚の結婚式で出会ったルイサの大人の魅力に惹かれる。ルイサの気を引こうと「秘密の海岸ボカ・デル・シエロ(天国の入り口)に一緒に行こう」と口からでまかせで誘う二人に、夫の浮気に失望したルイサは同意してしまう。やりたい盛りの少年二人と円熟した人妻の楽しく奇妙な空想の地への旅は、やがて一線を越えてしまったルイサとの関係を巡って友情の危機にも発展していくが、実はルイサには旅に同意した隠された動機があった…という話。

主役の二人の少年の屈託の無さが素晴らしい。まさしく射精する事しか考えていないかのような純粋な?言動は微笑ましくもある。特にプールの飛び込み台の上で仲良く並んでのオナニーシーンには笑った。彼らに比べれば人生経験も積んでいるルイサが少し簡単にパンツ脱ぎすぎな感じもするが…。まぁそんなとこもラテンな感じだろうか。オーレ!

空想の地への旅だったけれど、結局少年達は旅(=自分たちの将来)の行く末がどうなるのか分らないまま突っ走っていたのに対して、衝動的にも見えたルイサはどこに行きたいのか実はちゃんと分っていたという対比が最後のルイサの隠された動機によって明らかになるところがなんとも暗示的。ただの「SEX妄想青春映画」になってもおかしくない設定で、少年期に別れを告げて大人への階段を上り始める、苦くて切ないひと夏の経験がみずみずしくも哀しく描かれているいい映画だった。少年達のチンチンもたくさん見られるし…。「思い出は胸の中にしまっておいて、もう振りかえらない」という決意ともとれる最後の少年のせりふが余韻に残る。

「トラフィック」なんかでもそうだったが、アメリカ映画に出てくるメキシコには概して貧しく暗いイメージに偏っていることが多い。この映画では明るく豊かなメキシコの一面をメインとしつつ、旅の途中でもう一方の現実である貧しさとの対比が浮き彫りにされる。といいつつ裕福な側の少年達にはそれが全然目に入って来ないところなんかも含めてリアル感があった。なにげに深いのだ。


03/24Glory

ビューティフル・マインド主要4部門、ロード・オブ・ザ・リングも同じく4部門で栄冠……。映画界最大のイベント、アカデミー賞が華やかに発表された。会場は今年から新設のコダック・シアターに移され、文字通りハリウッドのお祭りとなった。国技館が両国に戻ったみたいなもんです(余計わからん)。昨年のテロがまだ記憶に新しく、そのことに言及する人も多かった。なかでもNYを舞台にした映画のシーケンスを紹介するためにウディ・アレンが現れたのにはびっくり。アカデミー賞に彼が出てきたことなんか今まであったのだろうか。

司会者(ウーピー・ゴールドバーグ)も名誉賞(シドニー・ポワチエ)も投票前から決まっていたのだけれど、まるで演出したかのようなアフリカン・アメリカン・ナイト。38年ぶりの主演男優賞、74年の歴史の中で初めての主演女優賞が同時に実現したエモーショナルな夜となった。特にハル・ベリーの感極まったスピーチには思わずもらい泣き。泣きながらも「扉は開かれた」と受賞の意義にもちゃんと言及して謝辞を言ったのには感心。ことさら黒人の受賞であることを自ら強調しなくてもいいんじゃないかという気もしたけれど、まだまだ見えない壁みたいなものを感じているのかな、とも思ったり。尊敬するポワチエ氏の目の前でオスカーを受け取ったデンゼルくんの誇らしげな笑顔も良かったです。

会場が一番温かい拍手に包まれたのが主題歌賞をランディー・ニューマンが受賞した時。実に16回目のノミネートでのオスカー獲得で、本人も少し照れていたようだった。

去年の倍近く^^の応募があったオスカー予想の方は残念ながらというかただ飯・ただ茶当選者は出ませんでした。結構難しかったですね。それではみなさん来年まで病気や怪我などしないようにお元気で…(松田聖子風)。


03/23Winter Guest

陽射しが出て少し気温は上がったけれど風が強くて体感気温はかなり低い。春はまだまだ遠いのね。

出張中の重役の人が「どこか案内してくれ」と言うのでロングアイランド島の東端にあるNY州最古の灯台に連れて行く。1時間30分くらいかかってやっと到着。マンハッタンへ行くより遠かった。入場料$5也を払って中へ。日本語のパンフもあったのが興味深い。日本人なんかこんなところ来ないような気もするが。130余段の狭い階段を上がると、大西洋を望むなかなかの絶景。もっと暖かい頃に来ればぼんやり海を眺めることも出来ただろうが、今日は風が強すぎた。早々に退散。

いよいよ明日はアカデミー賞です。どきどきしますね(俺だけかも)。授賞式の中継は米国東海岸時間で夜の8:00からですので、それまで締めきりを延長します。日本時間だと月曜日の朝の10:00までに書き込みがあれば有効投票と見なしますのでまだの方もどうぞ参加してくださいね。みなこちゃんも会社から書き込みしても間に合うよん。


03/21Cold Spring Harbor

NYに戻ってきた。昼間は日差しも暖かだったが夜になって風が強くなり肌寒い。フロリダから帰ってきたからか余計に寒く感じる。花冷えかな。桜は咲いてないけど。

オスカーのゆくえに予想が集まってきてうれしい限り。ただ飯を食おうのページに一覧にしてみました。こうして見るとそれぞれの思いみたいなのが伝わってきて面白いです。まだの方もよろしかったらどうぞ参加してみてください。


03/20鏡は横にひび割れて

せっかくジムの会員になったのに年末体調を崩してしからサボり癖がついてしまっていた。そのうちまた始めればいいやと思っているうちに気がついたら3ヶ月が過ぎた(おいおい)。普段は気にしていなかったけれど、ホテルの特大鏡に映し出される自分の腹に愕然……むごい。筑波山麓のガマの気持ち。見た目を気にする年ではないけれど、これはさすがになんとかしなくてわ。夏にはヌードビーチにも行かなくちゃいけないし(そんなことはない)。ということで突然腹筋を50回やってみた。ってほとんど気休めにしかなっていない。ま、いいか。

今日のタイトルは「クリスタル殺人事件」の原作(アガサ・クリスティー)の邦題です。多分。


03/18チップス先生さようなら

Sunshine Stateの別名を持つフロリダはもう夏だった。でも湿気が無いのでさわやかな暑さ。デズニーワールドやユニバーサルスタジオなどの巨大テーマパークが集まるオーランドは滞在型リゾートの街。飛行機の中も子供連れが目立っていた。一度遊びで来たいもんだ。

夕食は日本からの出張者8名を連れてホテルのコンシエルジュお薦めのシーフードレストランへ。人気の店らしく入り口は順番待ちの人で一杯。予約を入れていたつもりが、テーブルが用意されていなくて結局30分くらい待たされてしまった。席に通されてからもウェイターがなかなか来なかったり、呼びとめても「今、忙しいんです」とかなんとかふざけた言い訳をするのでちょっと感じ悪し。チェックする時にチップをケチってやろうと、通常は15%くらいが相場と言われているところを10%(←気が弱い)にして店を出た。おいしかったけどちょっと高かったなと思って後で明細を確認したら、なんと"サービス料18%"が既に加算されていた。がちょん、結局30%近くもチップを払っていたとわ……腹立たしい。きぃぃ。


03/16Best in Show

一路フロリダのオーランドへ。月曜日から業界の展示会が始まるのだけれど準備不足で不安だらけ。偉い人もたくさん来るし、要領の悪さが露呈するのは必至。心配だ。早く寝よう(なんでやねん)。

同郷のよしみで仲良くしてもらっていたモグモグのサイト、Mogu's Lifeが閉鎖の知らせ。浜に打ち上げられたダイナマイトバディをもう見られなくなると思うと残念。また会う時まで元気でね。


03/14Wの悲劇

企画の成立が危ぶまれていた「ただ飯を食おう」に少しずつ応募が寄せられてほっと一息。危機を救ってくれたみなさんどうもありがとね。予想にもいろいろあって、「獲るだろう人」「獲るべき人」「獲って欲しい人」が必ずしも一致しないのがいいところ。「予想」といいつつ応募してくれた人それぞれの思い入れみたいなのが伝わってきて面白く拝見してます。僕の予想は「獲るだろう人」に徹したつもりなのだけれど……さてどうなるか。

DGA(全米監督組合)とSAG(全米俳優組合)の発表が出揃った。同業者の業績を称え合うという意味で、受賞者には他の賞とは別の感慨もあるはず。受賞者はほぼオスカー確実と言われるDGAはロン・ハワードが「アポロ13」以来の2度目の受賞。前回のアカデミー賞ではノミネートもされなかったが、今年は雪辱なるかが注目される。もし今年も獲れなかったらミッシェル・クワン並の不運な星の下の人と言えるかも。

過去7回の主演賞受賞者14人中11人がオスカーも獲得しているSAGの方は、ラッセル・クロウ、ハル・ベリー、イアン・マッケラン、ヘレン・ミレンという面々が選ばれた。これでラッセル・クロウはゴールデン・グローブ、英国アカデミー、SAG賞を独占。素行や性格や女癖に多少の難があろうともちゃんと仕事振りは認めるという投票者の見識に感心。「私達は道徳を教えるために役者をやっているんじゃないわっ」と啖呵を切った「Wの悲劇」の三田佳子を思い出したり。それからこの3つの賞に共通しているのは、どれも昨年の受賞者はラッセルくんではないこと(それぞれ、トム・ハンクス、ジェイミー・ベル、ベニシオ・デル・トロ)。これも見識か。これでオスカーを外したら、受賞する作品を間違えてるとしか言えないかも。それもアカデミー賞らしい。

オスカーのゆくえ・その他の映画賞のページもご覧下さい。


03/11陰謀のセオリー

世界中が言葉を無くしたあの日からちょうど半年。街角や車のウインドウの星条旗もずいぶん少なくなり、空港の厳しいセキュリティーに文句を言う人も増えてきて、少しずつ記憶の中の出来事に変わっていくのが感じられる。それでも改めてあの映像を見ると深い悲しみが蘇る。僕が感じるのは怒りではなく、ただただやり切れない悲しみ。巻き込まれた人々の魂が救われ、残された人々の痛みが癒される日が早く訪れることを願ってやまない。

テロの直後に早々と「テロリストと"それを匿うもの"を決して許さない」と宣言したブッシュ大統領。テロに屈せず断固戦う姿勢は全面的に支持できるけれど、それとカブール空爆が直接リンクするかは今でも大きな疑問。テロ発生前から準備を始めていたと思わせる手際の良さとか…。不謹慎を承知で言うと空爆を正当化するためにテロが起こるのを言わば黙認していたのではないだろうか。今までアフガン難民を黙殺していたというのに、突然「タリバーンの圧政から民衆を解放」とか言い出すあたりにもアメリカの偽善というか後ろめたさを感じないではいられない。幸いにもあれ以来大きなテロは起こっていないけれど、果たしてそれが空爆のおかげなのか、あるいは果てしない復讐の応酬がこれから始まるのか…。答えはまだ誰にも分らないけれど、空爆が唯一の正しい選択だったとはやっぱり思えない。


03/10Japanese in New York

昨夜の雷雨も朝までにはすっかり青空に変わり、今日は晴天だけど強風の一日。まるで日本の春のようだ。6月頃から赴任予定の人が出張で来ていたので、この地域にある日本語補修校をインターネットで見つけて案内してあげた。ホモの一人ものと違って家族持ちの人は駐在するにもいろいろ心配事が多くて大変そう。 その補修校は車で30分程、コネチカット行きのフェリーが出る港町のほど近く、高台の高級(そうな)住宅街の中にあった。学校というよりは、私邸を解放して地域の日本人の子供達を集めている塾のような感じ。意外にこの辺にも日本人がいるのだと、ちょっと感心。かわいいヤンパパにも会えるかにゃ?という期待も虚しく、子供を連れてくるのは皆お母さんばかりで残念。「地域の日本人会もあるんですよぉ」と入会?を勧められたがどうしよう。青年団とかがあったら考えてみるか。


03/09Last Orders

イギリス映画「Last Orders」を見た。Last Orders主演のマイケル・ケインは最近亡くなった、という設定。「遺灰をハネムーンの思い出の地、ロンドン南部の海にまいてくれ」という遺言を託された飲み友達と息子が、故人の思い出に浸りながら目的地まで車を走らせる…という大筋のブッカー賞受賞の小説の映画化らしい。故人を偲ぶことで今までは水に流していた過去とも改めて向かい合うことになる友人、妻、息子たちの心の葛藤と気持ちの整理が描かれていた。故人と共有していた秘密を思い起こすもの、記憶に封じ込めていた裏切りや嘘と再び対峙するもの…、自分の人生を振り返って怒りや悲しみも新たにした上で静かに前向きの力に転換させていく、各人の心の区切りのセレモニーのようだった。

ハネムーンの思い出の地だというのに、遺灰を捨てる旅に同行しなかった妻の心の傷など、故人とゆかりのある秘密が次々と明らかにされていくのだが、ほとんど理解できなかったのが残念。場所や時間軸が目まぐるしく交錯する複雑な構成に加えて、全員がコックニー訛りの英語で殆ど聞き取れなかったのが辛かった。階級によって言葉が変わると言われるイギリス英語なので訛りにも何か重要な意味があるのかもしれないけれど、これには参った。でもアメリか人たちはちゃんとジョークで笑っていたしな…、まだまだ英語力が足りましぇん。字幕が欲しかった。


03/08In & Out

出張者の人の車に乗せてもらって晩飯に向かう途中、ちょっと交通量の多い道の前で左折待機していた。でもなかなか車が途切れない。そのうち左から来る車が減速してウィンカーを出して来たので、運転していた出張者の人が左折を始める。と、その車の陰から直進車が……。思わず「あぶねぇっ!」と叫んでしまった。出張者の人は恐縮していたけれど、僕が内心「きゃぁあ〜 やめてぇ」とか言わなくて良かったわ、と胸をなで下ろしていたことは知る由もあるまい。

会社の女の子(イタリア系アメリカ人)に「韓国人の"かわいい"女の子を紹介したいんだけど」と持ちかけられた。アメリカ人のくせにゲイとノンケの区別もつかないのかしら…。やっぱり僕ってノンケっぽいのかな、と勘違いしてみたり。いや、これは罠かも知れず(被害妄想)…。気の弱い僕は結局「OK」と言ってしまったのだった。


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