前を向く意志と決断の夜
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【6】



「全くこの鎧は忌々しい……普通の鎧なら簡単に壊せますのに」

 本当に忌々しげに口調を荒くしながらも、今度は嬉々としてシーグルの体を服の上からまさぐる魔法使いは、尚も抵抗するシーグルの腕を後ろに回して縛り出した。勿論シーグルはそうされまいと暴れていたのだが、目が回るような感覚と酷い耳鳴りの中では、簡単に縛られて地面で藻掻くだけになってしまう。
 縛った事で安心した魔法使いは、今度はゆっくりとシーグルの服を脱がし出す。まずは上着の前を開いて、曝された胸に頬擦りをしながら、手で撫でて反応を確かめ、それからそうっと舌を出して唾液の後をつけていく。

「本当に綺麗な人ですねぇ貴方は」

 ちゅく、と音をさせて肌を吸い、唾液を擦り付けるように魔法使いは舌を動かす。

「ん……あぁ、綺麗というのはですね、何も貴方の見目麗しい容姿だけを言っているのではないのですよ。貴方の存在と言いますか、貴方自身が持つ魔力もそれを包むエネルギーも全てが綺麗と、そう表現するしかない輝きを持っているのですよ」

 ぬるぬると濡れた感触が肌の上を撫でている。まるでなめくじにでもはい回られているような感触に、耳鳴り以上に不快そうにシーグルは顔を顰めた。

「ご安心下さい。他の魔法使い達は貴方から魔力を貰う事だけを考えていたと思いますが、私はちゃんと貴方の体を感じさせて気持ちよくして差し上げる事も考えておりますから。勿論その分、私も魔力だけあればいいと言うのではなく、貴方で気持ち良くさせて頂こうと思っておりますが」

 唾液の濡れた感触が胸全体を覆い、時折強く吸われた部分がちくりとした痛みを伝えてくる。最初は胸全体に、それがだんだんと胸の尖りの周りになり、ついにはそのものが口に含まれて強く吸われる。

「う……ん」

 懸命に口を閉じようとしていても、そんな部分を強く吸われれば喉だけでも声が漏れる。幸いなことに喉が鳴った感覚は分かっても、その声は殆ど耳には聞こえず、自分がどんな声を出したかはシーグルには分からなかったが。
 だが、魔法使いは益々調子にのって、口に含んでいない方の尖りを指で摘まんで引っ張り、押しつぶし、くるくると指で転がすよう周囲を撫でる。暫くそうしてシーグルの反応を楽しみながら、今度は指で弄ぶ方と唇で吸う方を逆にする。たっぷり濡れて冷やりとした感覚を返すそれを指が強く摘み、唾液のぬめりを借りて小刻みにその先端を擦られればじんじんとした痺れまで感じてくる。敏感な部分がより敏感になって、体に甘い疼きが溜まっていくのが分かる。

「ふ、ぅ……ぅ」

 シーグルはびくびくと背を跳ねさせて、相手から逃げるように身を捩った。魔法使いは楽しそうに喉を震わせて笑った。

「ふふふ、胸だけでもこんなに感じてしまうのですか? こんなに赤く熟れてつんと固くなってしまって、本当にいやらしい体ですねぇ。黒の剣の力が流れている人物がこんなに綺麗な方だったのは、本当に我々にとって幸運な事でございますね」

 感触と視覚情報で、魔法使いがシーグルの体をどのように弄っているのかはわかる。とはいえ音の情報はないに等しく、だからなのか、頭を冷静に保つ事は他で襲われた時よりはまだ楽で、シーグルはこの状況の中でも感覚を耐えて考える事が出来た……そして。

「黒の剣の力は……どうして、俺の中に流れているんだ」

 シーグルは先ほどから、やけに饒舌なこの魔法使いについて思っている事があった。まるで自分のしている事に酔っているような話し方の魔法使い――やることにいちいち説明を入れてくるこの男なら、情報を引き出しやすいのではないかと。
 だから聞いてみれば、魔法使いは夢中でシーグルの肌を吸いながら答えた。

「それは単純に、黒の剣の主であるあの男が貴方を愛しているからでしょう。貴方の事を考えて、貴方にばかりに意識を注いでいるから、あの男が持っている力が貴方に流れてしまったんではないでしょうか。元々あの剣の力は強大すぎて、溢れずにあの男の中だけで留めておいていられた事の方が驚くべき事でしたから」

 魔法使いはシーグルの肌を舐めながら段々と顔を下へとおろしていき、今は下腹部を手で撫でていた。と、思うと唐突にシーグルの腿を掴んで大きく広げさせ、今度はちろちろとシーグルの性器そのものではなくその周りを舐めだした。

「黒の剣の……力は、そんな……ぅっ……強い、のか」

 直接触れては来なくても、性器には魔法使いの息が掛かり、髪が触れ、顔や手がたまに当たる。そんな刺激に、これからどうされるか分かっている体は熱を溜めて、自分の欲の象徴も僅かな反応をしてしまっているのをシーグルは自覚する。

「それはもう、あれは元々本来の意味での魔剣ではなく、純粋に世界中の力を全てかき集めた魔力の結晶とでもいうものですから。とてもじゃないですが、人が制御できるような量の魔力じゃないのですよ」

 言いながら、くくくっと笑って、恐らく魔法使いは目の前にあるだろうシーグルの勃ち上がり掛けている性器を指でピンと弾いた。

「あぅ……ん……どういう、事、だ?」

 反射的に喘いでしまってから、それでもシーグルは尚も魔法使いに質問をつづけた。魔法使いは、今度は指でシーグルの性器を弄ぶように撫でだした。

「そうですね……魔剣というのは、そもそも魔法使いの魂が……んむ……その力毎封じられたものを言うんですよ。けれどあの剣は……まず魔力を集めて封じるための入れ物として作られて、その後にその制御の為に魔法使いの魂が封じられたのです」

 指で緩く擦りながら、時折それの形をなぞるように舌で舐めあげて、魔法使いは楽しそうにしゃべる。更には魔法使いの指がその奥にまでのび、シーグルの後孔に触れた。

「おやぁ、ここもひくついていますね。欲しいのですか? ここに太いものを突っ込まれてぐちゃぐちゃにかき回してほしいのですか?」
「ま……て、魔剣という、の、は……魔法使いの魂が封じられた……て……あぐっ」

 ずぶ、と音を立てて、勢いよく指が中に入ってくる。

「さて、ここで問題です。私は空気の振動を起こす事が出来るといいましたね? ではこのまま貴方のココの中に空気を送り込んで振動させたら、どうなります?」
「あ、や……」

 やめろ、という言葉を言い切る暇さえなかった。
 二本に増やされた魔法使いの指が中で広げられる。その広げられた部分から入ってきた空気が肉壁を押し広げていき、奥の方まで苦しい程中を広げてくる。そして。

「あ、あぁぁぁぁぁっ」

 中を満たしていた空気が振動を始める。小刻みに、広げられた部分全体を痺れにも似た振動が伝っていけば、それはすぐに甘い疼きとなって体の感覚すべてを快感に変える。更には魔法使いの口がシーグルの雄を銜えこみ、その先端にも振動を送り込んでくる。

「や……ぁ、ぁ、ぁ……ふ……う……」

 もう殆ど声も出せず、シーグルはただ口を開いてパクパクと動かす事しか出来なかった。口の端から唾液が溢れて、全身が快感に震えて、びくんびくんと体を跳ねさせる事しか出来ない。頭から足の指先までもが快感に痺れて力が入り、体が固まったように身動きがとれなかった。

「ふふ、気持ち良いのですか? 良いみたいですねぇ」

 体の中の振動も、性器に当たえられる振動も止まらない。強制的に、ずっと頂点を保った快感が持続させられる。

「ふぁ……が……ぁ……ゃぁ」

 過ぎた快感はただただ苦しく、見開いたシーグルの瞳からは涙が流れていた。魔法使いは吐き出し続けるシーグルの性器を舐めて、吸って、溢れる液体を飲み込んで、笑い声だけが耳に直接聞こえてくる。

「素晴らしい、あぁ本当に美味しいですよ」

 シーグルの雄にしゃぶりついている魔法使いは、笑いながらシーグルの吐き出したものを夢中で舐めとっていた。とはいえいくら快感がずっと続いたとしても、体がいつまでも持つはずはない。口の中にあまり吐き出されなくなってきたのを感じた魔法使いは、一度口を離してシーグルの様子を見おろした。

「ふむ……限界でしょうか」

 魔法使いの手の中のシーグルの雄はまだ硬く反応していて、体もびくんびくんと跳ねて震えている。けれども瞳からは意識が消え掛かっていて、口元も開いたまま動かなくなっていた。
 魔法使いは指をシーグルの後孔から抜き、手の中のシーグルのものも離してやる。
 その途端、まるでシーグルの体すべてから力が消えたように、地面に手足が投げ出され、そのままぐったりと動かなくなった。

「おや、気を失われてしまったのでしょうか? まぁいいです、それならこちらからもらいましょう」

 魔法使いは今度は体を伸ばして、シーグルの顔に顔を近づけてくる。
 そうして、ぴくりとも動かず、ただ地面に倒れて虚ろに薄目をあけているだけのシーグルの唇に口付けると、そこから唾液を啜りだした。
 音がマトモに聞こえる状態ならさぞ水音が鳴っただろうと思う状態だが、ほぼ無音にも近い状態でシーグルは唇を吸われつづける。
 荒い息を吐きながら、瞳を動かす事なく、ただされるがまま唇を許しているシーグルであったが、体を支配するすさまじい快感が消えた今、意識だけはほぼ正常に戻っていた。体は投げ出した状態のままだが、頭はちゃんと思考出来ていた。

「う……ん……んんっ……」

 鼻を鳴らして口の中で暴れている舌に舌を絡めると、相手の舌の動きも変る。ただ口腔内を舐め取ろうとしていた相手の舌もこちらに絡められてくる。ぬるぬると、舌で唾液を擦り合わせるようにしてから、唾液だけでなく舌を吸って深く差し入れてくる。
 暫くそうして深いキスを交わしてから、魔法使いが顔を上げると、その顔には先ほどの狂気じみた笑みの他にはっきりとした欲望の色が見てとれた。

「ふふ……はは……そんなに男が欲しいんですね。振動だけじゃなく、中を肉でぎちぎちに満たして擦り上げて欲しいんでしょう。あぁ確かに……そろそろ力を頂くだけでなく、そちらで楽しませて頂くのもいいですねぇ」

 魔法使いは醜い笑みを浮かべると、ごそごそと自分の下肢の服を緩め出す。

「私としては入れるのは女性の方が好みですが、貴方は別です。貴方の中は楽しめそうですからね」

 そうして、魔法使いはシーグルの足を持ち上げ、大きく広げてその足を地面に押しつけると、シーグルの中に入ってくる。

「ぅ……」

 瞬間、漏れそうになった声を止めて、それでもシーグルは口だけは喘いだように大きく開いた。魔法使いはギラついた歓喜を瞳に浮かべて、シーグルの顔を見下ろして喋りつづけた。

「あぁ、すごいですね。ぎゅぅっと締め付けて来て、奥へと誘ってくるようです。なんて淫乱な穴なんでしょう、こんなにびくびく動いてしまって、抜こうとすると嫌がるように吸いついてくるようです。ふふ、こんなにいやらしい体になるまで、どれだけ男を銜え込んだんでしょうねぇ……あぁ、本当にこちらの方も素晴らしいですよ」
「……っ……ぅ……」

 魔法使いは焦ったように腰を動かす。
 中を擦られて、確実に快感が競りあがってくるのを感じながらも、シーグルは声だけは抑えて口だけを開く事で喘いでみせた。

「良いのでしょう? こんなに嬉しそうにぴっちりと銜え込んで……淫乱な貴方は気持ちよいのでしょう? 顔はとても気持ちよさそうですよ……ねぇ、良いといってみてください。遠慮せずたくさん感じて喘いで下さっていいのですよ?」

 激しく奥を突かれれば、思わず声が出そうになる。それでもシーグルは声が音として出る事だけは懸命に我慢した。

「あぁ、そうでしたね、これだけでは犯され慣れた貴方は足りませんでしたかぁ」

 ふいに魔法使いは言葉と共に気味の悪い笑みに唇を歪めると、押さえていた足を片手だけ離して、代わりにその手でシーグルの胸に触れてくる。その意味が分かったシーグルが目を見開いた途端、魔法使いの触れた周囲の空気が振動を伝え、特に敏感な胸の頂きに痺れるような快感が走った。

「ふ――ぅ……う……」

 びくんと体が跳ねる。その拍子に力の入った体は中の魔法使いをきつく締め付ける。それで更に膨れ上がった魔法使いの肉が暴れて中を滅茶苦茶に擦り上げてくる。

「ふふ、あぁ、そんなにはしたなくがっついて、きゅうっと締め付けてきて……すごいですよ、食いちぎる勢いです、なんてはしたない肉穴なんでしょう」

 見開いた目から涙が溢れ、苦しさに叫びたくなる声をそれでもシーグルは抑えた。
 魔法使いは抽送を止めないまま、その手を今度はゆっくり下ろしていく。シーグルは予想される感覚に身構えて、ぎゅっと目を瞑った。

「やはり……次はここも触って欲しいのでしょう?」
「あ、ぃ、ぁ―――っ」

 言うと同時にシーグルの性器の先端に指の感触と振動が伝わる。シーグルは喉を逸らせて身を捩りながらも、それでもやはり口を開くだけで声だけは出さないように耐えた。
 そうすればやっと、魔法使いはこの状況を思惑通りに理解したらしく表情を曇らせる。体は止まることはないものの、不機嫌そうな目で見下ろし、不機嫌そうな声が呟く。

「少し、やりすぎたでしょうか。声が聞こえないのは……つまらないです、し、解除しても……もう、大丈夫でしょう」

 言ってから魔法使いが唇だけで何かを呟く。それと同時に、ずっとシーグルに聞こえていた耳鳴りが消えた。
 代わりにぐちゃぐちゃと、体の中を突き上げられる時のよく知っている交わりの音が聞こえてくる。はぁあぁと荒い、自分と相手の息遣いの音が聞こえてくる。肉と肉がぶつかる乾いた音が聞こえてくる。
 急激に耳を満たした生々しい音達に、思わず喘いだシーグルはそのまま感覚に流されて男を締め付けてしまう。

「あぁ、すごい。すごいですよ、素晴らしい」
「や、ぁぁっ、はぁっ……あぁぁぁっ」

 魔法使いは快感にだらしなく歪む唇を舐めて、更に抽送の動きを速くしてくる。シーグルの体は揺らされるだけの人形のようにがくがくと揺れて、深くを突かれる度にびくんと跳ねるように震えた。

「ほら、欲しいのでしょう? 中に吐き出してもらいたいのでしょう? 綺麗で淫乱な騎士様は中に注がれて感じてしまうのでしょう? ほら、欲しいといってごらんなさい、中いっぱいに注がれてぐちゃぐちゃにして欲しいと言うんですよっ」

 狂人のような笑い声を上げながら、魔法使いが体毎ぶつける勢いでシーグルの中を突き上げてくる。
 シーグルはそこで快感をやり過ごすために歯を食いしばって、それから思い切って叫んだ。

「コルゴース、セネ……ドっ」

 快感に夢中になっている魔法使いが、揺らす腰を止めないまま僅かに眉を寄せたのが見えた。
 シーグルは叫ぶことで気力を使い果たし、体から力を抜いた。
 けれど、力が抜けて一瞬気が遠くなりかけた視界の中で、魔法使いの体が雷にでも打たれたよう跳ね上がった。それからすぐに魔法使いの体は視界から消えて、彼の悲鳴だろう声だけが聞こえてくる。体に触れていた感触がすべてなくなったのを理解したシーグルは、そこで大きく息をついた。




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久しぶりのエロ。がんばってみたんですが、エロくなってますかね(==;;



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