第一回ゴールウェイ国際音楽コンクールは大成功のうちに幕を閉じた。
コンクールを取材した『JJ・ニュース・ショウ』の特別番組は好視聴率を得た上に、
その年のエミー賞の候補にもなった。
第1位を受賞したジョルジオ・ローニはコンクール終了後、優秀なオーストリアの音
楽マネジャーと契約し、一か月後にヨーロッパ・デビューを果たした。
アン・イチノミヤは十三歳ながらニューヨークのジュリアード音楽院に入学し、ヴァ
イオリンの勉強を続けている。近々、バーンスタインの指揮で、ゴールウェイ交響楽団
への客演が予定されている。きっとまたアスタロトですばらしい演奏をして聴衆を魅了
するだろう。
ゴールウェイ・カンパニーはコンクールの企画の成功によって、大きな信用と知名度
を得た。ゴールウェイ・レコードが発売したコンクールのライブ盤はミリオン・セラー
となり、ゴールウェイ交響楽団の運営は好調で、ホールは連日、充実した様々な公演で
華やいでいる。
バーンスタインはゴールウェイ・カンパニーとのブレーン契約を延長した。
ゴールウェイ・コンクールが何度か回数を重ねた頃、JJは、ロイ・クライブがイタ
リアのクレモナへ渡ったという噂を耳にした。クレモナは古くからヴァイオリン作りで
有名な土地。ストラディヴァリの故郷だ。
ビッグ・ゴールウェイは、新たにハリウッドの映画産業に乗り出した。
ゴールウェイ・フィルムのオフィスの住所は、偶然、バロンが買収したレストランの
隣りであった。
ロサンゼルスのバロンのレストランは、なぜか流行らず、ゴールウェイ・フィルムが
出来てから一年ほどたった頃、突然つぶれてしまった。
バロンが、今、どうしているのかは、わからない。
JJは、とびきりのアンカーマンになりたい。アメリカ一の。世界一の。
きょうもアメリカのどこかから、テレビの前にいる人たちに呼びかける。
「ハロー! JJです!!」
ごきげんな風が、吹いてる。
【 終 】
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