TMPGEnc MPEG Editor 1.0

2005-11-06

TV と RD と PSP

昨年末に RD-X5 を買って以来、ビデオ(TV録画)に対する姿勢が随分変わりました。 いちばん変わったのは、録画番組の処理を PC で行なうようになった事です。 これまで VHS の頃からずっと、録って・見て・保存するのは、ビデオデッキの役割でした。 それが RD-X5 では録画ファイルを PCにダビングできるので、デッキは録って・見る、あるいは録るだけのマシンになっています。

RD の録画を PC に取り込むのなら、これまで使っていた RD-2000 でも DVD-RAM 媒体経由で可能でした。 録画を PC上でのオーサリングして DVD-R に保存する、とか。 でも、媒体を使うのは何かと面倒でサボりがちでした。 ネットワーク接続と言うだけで、こんなに楽になるとは。

その後、PlayStation Portable(以下「PSP」)を購入しました。 もちろん AVプレーヤとして。 ゲームソフトも買ってそれなりに楽しんではいますが、通勤電車の中で TV録画を消化している時間の方が圧倒的に長いのが現実です。 もちろん、通勤時間が劇的に伸びてしまったという環境の変化も大きいのですが。

前述の「録るだけ」と言うのは、実はこのパターンです。
TV で見なくなった──というのも、変わったところでしょうね。

PSP で TV録画を鑑賞する時は、見ない部分(つまりCM)をカットしてしまうのが吉です。 限られた時間ですので、オープニング/エンディングも飛ばし見している状況では、CM を見る機会はありません。 MemoryStick PRO Duo の容量も余裕がありませんし、再生も楽になります。1 DVD-R に保存する時も、後で見る時も、無い方がスッキリします。2

この様な経緯で、MPEGファイルのカット編集に俄然興味がわいて来ました。

MPEG用エディタ

手持ちの環境でも、実現不可能ではありません。 つまり、TMPGEnc DVD Author 1.5 でオーサリング時にカット編集を行い、VOB ファイルを作成する方法です。 しかし、オーサリング(と言うか、VOB の書き出し)には時間が掛かるのです。

もう一つ、GOP 単位でしかカットできないと言う点も気になります4。 HDDレコーダ本体の編集もそうだし、TMPGEnc DVD Author 1.5 で処理する場合も同様。 カット時に必要な分を少し削るか、余分な物を少し入れておくかの決断を迫られます。

GOP単位での編集になってしまうのには、理由があります。 MPEG動画は全コマにちゃんと絵が入っているのではなく、キーフレームがあって、その差分、そのまた差分、と言う具合にデータが格納されます。 多くの場合、背景は固定で人物が動いているわけで、なら固定の所は1コマ目だけでいいよね。って発想です。 で、この単位を GOP(Group of Pictures)と言うわけです。

つまり、GOP の途中でカットしようにも、いきなり差分から始まっても絵が作れないわけです。 で、仕方ないので一度再生して、再度圧縮し直す(再エンコード)事になってしまいます。 GOP の境界であれば、その様な問題は起こりません。 そう言う話を聞いていたので、そんな物かなと思っていました。

TMPGEnc DVD Author 1.5 のユーザという事もあり、同じ Pegasys の TMPGEnc MPEG Editor が候補として有力です。
幸い、14日間試せる体験版が用意されています。

TV録画の音声は(特に変更していなければ)AC3 で記録されているので、編集時に音声を再生するにはデコーダが必要になります。 TMPGEnc MPEG Editor の場合は TMPGEnc Sound Plug-in AC-3 ですね。 けど、実は TMPGEnc DVD Author 1.5 でも必要なので、購入済だったりします。 これで、試したい事は全部試せそうです。

試してみたら、なかなかいい具合でした。 DVD Author 1.5 の編集機能と比較すると、滑らかさが全然違います。 そんなに違う筈はないのに、なぜか操作しやすい。 ストレスが軽い。 たぶん、思い通りに近い位置まで送ったり止めたりできるからでしょう。

買おう。 試用を始めてすぐ、そう思いました。

DVD-R からの読出し

HDDレコーダで DVD-R に録画してファイナライズすると、もう HDD へはダビングできないみたいです。 RD-X5 にそう言う媒体をマウントすると、普通の DVD-Video と同じように扱われ、「見るナビ」その他の操作が選べません。 DVD-Video を作ったんだから、それで正しい気もしますが。

ただ、そう言う DVD-R の中には PSP で見たい物が含まれていたりするのもまた事実なのです。 つまり、録りっぱなしで見てない物を、PSP で消化しようと。 今になって DVD-RAM にダビングしとくんだった! とか思っていたりしますが、それはヒミツです。

これが、MPEG Editor を使うと DVD-Video の VOB 形式を読み出して編集して HDD に MPEG 形式で書き出せるのです。 DVDの認識(と言うかコンテンツの認識?)に時間が掛かり待たされるけど、便利。 何れ活用する日も来ることでしょう。

なお、当然ながら、コピープロテクトの掛かっている市販 DVD-Video は読み出せません。 買ったまま観てない DVD を電車で見られれば助かるんだけどなぁ。 でも、一般的にはそれを「海賊行為」と呼ぶので、望み薄ですね。 あやしいソフトを使えば、出来ないこともなさそうですが…。

CMカットだけが目的だと、ダウンロード版 4,480円は高く感じるかも知れません。 なぜって、編集した後の MPEG ファイルを何とかしなければいけない訳ですから。 例えば DVD に焼いて保存するとか。 MPEG Editor だけがあってもダメで、別途「何とかする」ソフトを調達せねばなりません。 それなら、最初から MPEG Editor 相当の機能を内蔵している DVD Author を買った方がよいでしょう。 また Pegasys 製でなくても、いいソフトも有るでしょう。

けど、用途や手持ちソフト、慣れを考えると、自分の場合はこれが最良の選択じゃないかと思います。 MPEG ファイルを「何とかする」のは、既に揃っていますから。

なにより、「使う気になる」と言うのは、面倒くさがりな自分にとって重要なポイントと言えましょう。 以後、マメに編集してます。 よく使うアプリランキングでは赤丸急上昇中です。

  1. 再生が楽になる
    PSP には、HDDレコーダにある様な「30秒スキップ」といった機能がありません。3 早送りする事になるのですが、素早く送ってかつちょうどいい所で止めるのは難しいのです。 見ない所が最初からカットされていれば、この様なストレスを感じる事はありませんから。

  2. CMは無い方がスッキリ3
    コンテンツ主体に考えるとそうなりますが、CMは時代を映す鏡でもあるので、あれば有ったで面白いのもまた事実。 古い録画を見た時に懐かしい CM が流れれば、それなりに楽しいでしょう。 もっとも、古い録画を見る事自体、あまり考えられませんが。 自分の場合、「見るかも知れない」と言う不安に対し、録画しておく事で安心感を得るのが第一の目的なので。

  3. CM飛ばしの問題
    この辺は色々と問題になりがちで、世の中いは CMを飛ばしてスッキリされては困る人もいるわけです。 何とかしてスポンサー様の CMを見せようとするわけです。 一方で多くの消費者は何とか飛ばそうとしているわけで。 HDDレコーダの普及で、今の仕組みでは立ち行かなくなるのが明らかになりつつあります。 供給側のゴリ押しで、CM視聴が must になったら嫌だなぁ。

  4. GOP単位でしか編集できない
    TMPGEnc DVD Author 2.0 を使えば、フレーム単位での編集が可能。

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