残された者と追う者の地
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【7】



 天幕の天井を眺めて、シーグルはため息をついた。
 目が覚めてから現在まで、4日程が過ぎていた。どうやらこの天幕はレザ専用のものらしく、彼はここから出かけてどこかへ行ってくるものの、夜は必ずここへ帰ってきて睡眠をとっていた。彼の文官らしいひょろりとした青年はほぼ常時この中にいて、定期的にシーグルの怪我の様子をみて塗り薬を変えたり等の処置をしてくれている。青年とレザはよく深刻な会話をしていたが、そういう時は早口過ぎてシーグルでは半分程度しか聞き取れなかった。それでもずっと聞いていると耳も慣れてくるもので、ある程度までは現在の戦場の状況を知る事が出来た。
 現状シーグルがいる場所は、ノウムネズ砦の後方――つまりクリュースの国境からは外に当たる場所で、どうやらクリュースには援軍が来たらしく、蛮族達はノウムネズ砦まで押し返されているらしい。その事自体にはほっとするものの、彼らの会話によるとアウグ軍は本国から帰還命令が出ているらしく、どの段階で撤退するかを彼らは連日話していた。
 レザに『ついていく』と言ったのだから、シーグルはこのまま彼らと共にアウグ本国に連行されるのだろうと思われた。すぐ傍に自軍の者達がいても帰る事は叶わない。いくら今はクリュース側が優位にいるといっても、砦の後方にあたるこちらまで攻めてくる可能性はほぼないに等しい。せめて自分がここにいると伝えられればとも思うが、それで無理してシーグルを助けに来た所為でたくさんの犠牲が出るのは避けたかった。

「さって、容体はどうだ?」

 夕方近くになって帰ってきたレザは、まず最初に、上機嫌でシーグルの顔を見に来る。彼は本気で自分を気に入っているらしく、この中にいる間、文官の青年と話をしている時や何かやる事がある時以外は、こうしてちょくちょく顔を見て話し掛けてきていた。
 そうして彼と話している所為で、アウグの言葉にシーグルも大分なれた。それにレザは、正体がバレないように気をつけて言葉を選んで聞けば大抵の質問にも答えてくれた。
 どうやら彼が目が覚めて最初に話し掛けてきた時言っていたシーグルの状況を説明する言葉は全て本当の事らしく、シーグルは一人で林に倒れていたらしい。だから少なくとも部下達はその場にいなかったという事で、彼らが生きている可能性は高いと思われた。ボウ族の格好をしていたというのも本当なら、誰かが偽装させて隠してくれたのだろう。――気を失った後の経緯を見ていないシーグルには、ソフィアやクリムゾンが何をしたのかなど想像出来る筈もなかったが。

「見れば見る程綺麗な顔してるな、まったく俺は運がいい」

 話をしている最中に、そう言ってレザが更に顔を近づけてくる。
 にやにやと嬉しそうに近くにしゃがんで顔を近づけ、じっくりと顔を見られるのもいつものことだった。そして、その顔が近づいて……。

「ン……」

 唇が塞がれる、それもまたいつものことだ。何度も噛んでやろうかと思ったものの、シーグルは大人しくレザからのキスを受け入れていた。なにせ、今はここで彼に保護して貰うのが一番無事国に帰れる可能性が高い。この怪我では隙を見て逃げ出す事は出来ないし、もし逃げ出せたとしても敵の陣内ではどうにもならない。今は余計な事をせず、彼の捕虜となり、大人しく身代金の交渉がまとまるのを待った方がいいと判断する。
 男のキスは益々深くなる。舌が入ってきて歯列をなぞり、噛み締めた歯が開かないと分かると唇の角度を変えて合わせ直し、ちゅ、と音をさせて吸ってくる。更には男の手がシーグルの胸を軽く押してくれば、傷が痛んだ拍子に僅かに開いた歯の隙間をこじ開けて口腔内にまで舌が入ってくる。そうなればもう後は男にされるがまま、舌を絡められ、唾液を吸われ、口の中を思うまままさぐられるのは仕方ない。唇の端から唾液が落ちて、まるで舌同士を擦り合わせるように舌を激しく出し入れさせてくる。水音が激しくなって、鼻から高い声が抜ける。嫌なのに体に熱が灯されていくのを感じれば、男の手が服の中に入り、胸の尖りを包帯の隙間から摘まんでくる。

「あ……」

 それにびくんと体が震えてしまって、声が漏れると同時にシーグルの瞳からは涙が落ちた。
 すると男は唇を離して、さも残念そうな、そして心配そうな顔をしてシーグルの顔をじっと見下ろしてくるのだ。

「まだ痛むか? いい加減、抑えるのも限界なんだがな」

 言って男は今度は触れるだけのキスをしてくるとすぐに離し、また見下ろして苦笑する。

「ったく、本当にたまらない顔をしてくれる。これでお預けはやってられないぞ」

 いつもならここで恨み言をもう2、3言呟いて、それで体を離していってくれるのだが、その日はそれではすまなかった。
 男の手は更に胸を弄る。さすがにこちらの傷を気にしているのかその手つきは相当に慎重でそっとではあるものの、確実に胸の尖りを指で転がして擦り、こちらの熱を引きずりだそうとしてくる。

「ん……」

 シーグルもまたその度に感じてしまいながら、傷に響かないように体の反応を押さえようとする。そうすれば相手の手は調子に乗って、更にシーグルの下肢に伸びていって股間の辺りを服の上から撫でてくる。

「やめ、ろ」

 言っても男の手は止まらない。それどころか、手を離してくれたと思えば、今度はレザの体はシーグルの足を慎重に開かせながらその間に入ってくる。

「やだ、嫌、やめろっ」

 今度は、レザの顔が近くにくる。

「悪いがもう限界でな。出来るだけ気を付けてはやるが、多少は我慢してくれ。悪化させたくないから抵抗はするな。どっちにしろ無駄な事は分かってるだろ?」

 少し焦った声からすれば、男が止める気がないという事を実感としてシーグルは理解する。レザの手が、そっとシーグルの折ってない方の足を上げて下肢の服を脱がせる。それで曝されてしまった下半身を更に開かされて、今度は折っている左足の方を肩に担ぎ上げながらレザの体温が開かれた足の間に近づいてくる。

「や、だ……」

 言ってもゆっくりと腰を浮かされて、尻を割るようにレザの雄が擦り付けられる。そこで暫く動いたと思えば、一度離されて指が中に入ってくる。ぐぶ、ぐぷと濡れた音が聞こえ出した事から、レザの先走りのぬめりをそこに塗りつけられたらしいというのが分かった。

「う……ぐ、あ……」

 指は最初は浅く周囲を解していたが、そのうちぐっと深くを抉って出し入れを始める。最初はゆっくりと探るようだったその動きは、すぐに指を増やされて速いテンポの抽送に変わる。レザの体躯に見合った太い指は確かな質量で中を抉り、体にその場所が覚えている感覚を引きずり出そうとする。

「やぁ……あ……や、だ……」

 零れる涙を止められず、中を擦られる事で広がっていく疼きを止められず、シーグルは首を振って感覚を押さえようとした。けれども、体の熱も声も抑えられなくて、シーグルは競りあがってくる熱い感覚に流されてしまった。

「は……ぁぁ」

 ぐったりと力が抜ける。荒い息を吐いて、感覚が引いて行くと共に目を開ければ、嬉しそうに笑みを浮かべているレザと目が合った。

「随分こっちは慣れてるな。ここだけでいけるなら相当経験があるんだろ」

 言って男は顔を近づけてくると、キスをしてすぐに舌を入れてくる。

「ン、ンン」

 喉で唸ってももうシーグルは抵抗する気もなく、男の好きにさせる事しか出来なかった。男が擦り合わせる動きに合わせて舌を合わせ、男から注ぎ込まれる唾液を飲み込む。

「これは……まずいな」

 呟いて、喉を鳴らしたレザは離した唇をぺろりと舐めると、興奮を隠そうともせず息を荒くしてシーグルの腰を浮かせ、自分の股間を押し付けてくる。そうして、入口に他人の熱が押しあてられたのを感じてすぐ、それはシーグルの体を開いて侵入してくる。

「う、ぁ……」

 指で広げられた程度では到底足りない質量が無理矢理そこに入ってくる。イった直後の体は敏感で、入ってきたものをすぐひくひくと痙攣するように締め付けているのが実感できた。

「本当に慣れてるな。こんな体じゃ、疼く度に戦場で部下に入れて貰ってたんじゃないのか?」

 耳元でささやかれると同時に、乱暴に奥を突かれる。
 ずん、と頭の先まで響く衝撃に、シーグルは怪我していない足で床を蹴って、大きく喘いだ。

「あ、うぁっ」

 すぐにレザの体は動きだす。中がぐちぐちと何度も擦られる。奥に叩き込まれるように突き上げられる。
 出来るだけ怪我に響かないようにと思っているせいか、あまり大きな動きはせず、その分小刻みに速いスピードでレザの肉がシーグルの中を擦り上げる。

「は、あぁ……あん……ぐっ、ふぅっ……」

 体が跳ねないように抑えているのもあって声が抑えられず、深くを突かれる度にシーグルは声を漏らす。胸に負担が掛からないようにすれば、自然と腰はレザの動きを追い、手は相手の体を掴む。床を蹴って暴れながらも、右足は自然と更に開かれていく。相手の肉を包む自分の中は、ひくひくと蠢いて男に絡みつく。

「いいか、ここで俺を覚えろ。俺だけを欲しがるようになれ、悪いようにはしない」

 耳に囁き掛けられる声は、今のシーグルでは殆どマトモに聞き取れていなかった。

「あ、やぁ、あん、あんっ、あぅ、あ、あ、あぁぁっ」

 男の動きが止まる。体内の奥深い場所に、相手の体内の熱と同じ液体が注ぎ込まれる。

「嫌だ、嫌……だめ、だ……」

 半分意識が朦朧としながらそう呟けば、唇が塞がれてまた舌を合わせられる。口内で抽送をするように舌を出し入れされて、再び吐き出してぐったりとしていた自分の雄を掴まれてそれを扱かれる。そうすれば当然、びくびくと反応する自分の肉が銜えたままの相手を締め付けてそれがまた膨らんでいく。そうしてすぐにまたレザは動きだす。

「や、嫌だぁっ」

 言っても当然止めてなど貰えない。激しく突かれて、シーグルはまた腰を揺らす。足を広げて、高い声を上げる。立派な体格のその体が覆いかぶさってくれば、その体に手を回して抱きつく。

「まずはたっぷり俺を味わえ。いくらでも楽しませてやるからな」

 シーグルは涙を流す。嫌だと叫びながら顔を左右に振る。

「違う、イイだ。イイって言ってみろ、ほら、イイんだろ、お前の体はイイっていってるぞ」
「違う、あ……や、あぅ、あぁ……」

 そうして再び中に注がれて、抜かれた途端、どっと溢れる男の出した液体の感触に体を震わせる。とくとくと体の奥から落ちていく熱い流れを惜しむように、入口の肉がひくりと震えるのを自覚する。

「ん? そんなに俺のは美味かったか? こんなに欲しそうにして」

 そうして再びそこに入ってきたのはまた男の指で、だが今度は最初から一本ではなく複数らしく、中を大きく広げながらもぐちゃぐちゃと音を立ててかき混ぜてくる。

「どうだ? イイだろ? それとも指じゃ足りないか? 俺のをつっこんでもっと中に注ぎ込んで欲しいのか?」
「やめろっ、嫌だ、嫌、だ……ぅ、あ、あぅ」
「違うだろ、イイ、だ。イイって言うんだ、ほら……」

 ゆっくり奥を探っていた指の動きはまた速くなる、高い音を鳴らして、水が飛び散っている事さえ分かる状態でシーグルの中を擦り上げている。
 それが唐突に抜かれたと思えば、すっかり膨らみきって大きさをとりもどした男の性器がまた押しあてられ、一気に深くを突き上げてくる。

「や、あぁぁあっ」

 その衝撃にシーグルはまた達する。けれど入れたばかりの男は構わずそこから抽送を始める。感じすぎてびくびくと震える中を構わずに、男の肉は乱暴にこじ開けて犯してくる。

「やぁっ、やめ……――」

 そうしてまた、中一杯に男が征服の証を吐き出すまで揺らされて擦られる。けれどまた、抜かれる前にすぐに男の雄は硬さを取り戻すと動きを再開し、シーグルは休む間もなくひたすら中を擦られ、体を揺らされ続ける事になった。




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 レザさん、本国では大量の愛人に囲まれてる自信家なんで(==;。



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