幸せぽい日常―弟子取り編―




  【5】



 翌日。ベッドでぐったりしているレイに、朝からすっきりした顔でいつも通りの仕事の恰好をして立っているフユ……というのはお約束だが、おバカなレイでも今日はある事に気が付いた。

「お前……今日はまだ、休み、じゃ……」

 フユのお休みの理由である小さな王様は昨夜はリシェに泊まりで、夕方にならないと帰ってこない。

「おんやレイ、おバカな頭でよく覚えていましたねぇ」
「ふふふだから寝てていい筈だと覚えているんだっ、そういう訳でおやすみだフユっ」

 いってばたりとベッドにまたつっぷしたレイだが、今日はそれでも無理矢理起こされる事はなく、異様な静けさに部屋が包まれる。

「えー、別に寝ててもいいスけどね、子供の前ならもうちょっといい恰好したほうがいいっスよ〜」

 気楽に言われたその言葉に、思わずレイはがばりと起き上がる、そして。

「はい、二人とも〜これが三食おやつ付きのおやつ係のレイっすよ」

 パンパン、と手を叩いたフユの傍には二人の子供が立っていた。
 思わずレイはそこでポーズを取ってしまう。

「ふははははっ、俺がこの将軍府のスゥイィィーツ担当、ゆくゆくは王宮料理人に名を連ねる事になるレイ様だっ」

 そこでまたフユがパンパンと二回手を叩く。

「はい、そういう訳で見ての通りかなりのおバカなので見本にしちゃだめっスけど、おやつが欲しければ馬鹿にしてもダメっスよ。適度に持ち上げておけばレイは調子に乗って気持ちよーくおやつ作ってくれるっスから〜」

 そこで少年の一人が前に出て、未だに素っ裸でポーズを取っているレイに向けて一言。

「租チン馬鹿」

 と呟いた。
 同時に彼の頭の上にはフユのげんこつが落ちる。

「いてっ」

 上を向いて抗議をしようとした少年は、笑みなのにぞっとするほど冷たい目で見てくる灰色の男を見て固まった。

「いいっスか、レイを本気で馬鹿にしていいのは俺だけっスから、そこはよーく覚えておくように」

 その勢いにコクコクと頷いた少年は、そそくさとフユから離れて後ろへ下がった。フユがまた手を二回、パンパンと小気味良い音をさせて叩く。

「はいはいレイ、いつまでその態度の大きさに見合わない小さくて恥ずかしいモノを見せてるんスか。いくら小さくて子供みたいで可愛いとか使ってないからとか言い訳しても、ソレ自体は子供の教育に悪いから隠して欲しいっスね」
「まてまてまてっ、小さい小さい言うなっ、俺のは普通ーだーーーというか標準のジャストサイズと言ってもらおうっ」

 だがフユはにっこり笑うとレイに告げる。

「レイ、それをボスのを見た後でいえるっスか?」
「いやまておいあれを基準にするなっ、あれはだめだろ、あれは標準とか通常規格で図るべきではなくなー」

 だがフユはそこでくるりと背を向けて子供の方を向くと、子供達を前に押し出してきて言ったのだった。

「そんな訳で、あれがレイっす。んでレイ、こっちがエリアドで、こっちがノーマっス。二人は俺の弟子になったんで、以後面倒よろしくっスね」
「……弟子ぃ? ぬぁにー〜お前がぁかぁぁぁあ?」

 レイが大げさにポーズをつけて驚きを表現すれば、フユはさっとその股間をシーツで隠し、子供達二人は気まずそうに顔を逸らして返事をした。

「よ、よろしくお願いします……」

 フユに股間を隠されたまま、レイは再び別のポーズを取って見せた。

「おぉ、子供とぅおいう事ーは、今後俺のスィーツの味見係も出来るという事だなぁっ」
「えぇまぁそれもありって事で、だから普段から面倒見よろしくっスよ」
「おう、任せておけっ」

 そうしてやはりまたポーズを取ったレイから視線を逸らしたまま、子供達の顔にはちょっとばかり後悔の色が浮かんでいたという。



END.

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 ってことで弟子取り編はここまで。
 



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