水 先 案 内 帳

SECOND TOPICS

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「ADnDの第一歩」

Collum written by 東涙香

「くすくすくすっ。」

　教室の一隅で忍び笑いが聞こえます。いや、笑われているのは私では有りません。笑っている人は本を読みながら、いかにも面白そうに笑っているのです。

　ここは高校の教室です。そして、笑っているのは私の同級生。彼が読んでいる本に、私は非常に興味を持ちました。何がそんなに面白いのだろう？　どんなに楽しい本なのだろう？　私が読んでも面白い本なのだろうか？
　彼が持っていた本はソードワールドRPGのリプレイをまとめた本でした。これが私のTRPGとの出会いになります。そして、大事なことをそのときに教わりました。

　あなたがADnDに新しい人を誘おうとしたとき、どうしますか？
　新しく遊ぼうという人にPHBを買ってもらう？　まぁ、それも必要かもしれません。
　でも、私はもっともっと大切なことがあると思うのです。


　私なら、私が遊んでいるADnDがどんなに楽しい遊びであるのかや、どれだけ興味深い遊びなのかを説明します。私は多彩な世界観に興味を持っていますから、様々な世界観の特徴を、自分のプレイ経験も交えてお話するでしょう。新しく始める人が世界観に興味を持たないようなら、インタビューするかもしれません。普段、どういうことに興味があるのかをね。
　スポーツに興味があるなら、スポーツのどういうところに興味があるのか聞きます。体を動かすこと？　それとも戦術？　それとも……
　歴史に興味があるなら、NPCの豊富さを武器にとって、どんなに面白おかしいNPCが登場するのかや、どんな英雄たちが揃っているのかをお話してもいいかもしれません。
　普段は小説を読んでいる？　だったらおあつらえ向きじゃないですか！　沢山の小説群からあなたのお気に入りの小説をピックアップしてはどうですか？
　パッチワークが趣味です。なら、ボックスセットに一つは入っている大きなマップを取り出して説明してみましょう。カラフルな地図と、点在する城や町。そこから膨らんでくる想像を妨げるものは何も無いはずです！

　そう、大事なことは、あなたが面白いと思っていることをどうやって相手に伝えるかなんです。
　自分がつまらないと思っていることを人に説明するのは難しいことです。何しろ、興味が無いのに話をしなくてはならないのですから。自分が興味の少ない分野について話しているとき、相手は必ずその雰囲気を感じ取ります。そして、相手も急速に興味を無くしていってしまうのです。

　そして、あなた自身も様々な興味を持つようにしましょう。甲冑は？　大規模戦闘は？　戦斧の使い方は？　中世の雰囲気ってどんな感じなんだろう？
　様々なものに興味を持つようにすれば、それだけ豊かな知識と発想を得ることに繋がっていきます。映画を見たり、絵画を鑑賞したり、音楽を聴いたり、料理の為に包丁を握ったり。
　だからといって、異性とデートをする時に映画『ジャンヌ・ダルク』を観に行って、帰り道に「夢の中に出てきたトーチを持って洞窟を歩くシーン。ダンジョンってあんな感じなんだろうねー」という感想は注意が必要。だって、もし相手がRPGに興味が無かったとしたら、デリカシーの足りない人と叱られてしまうかもしれませんからね。

　興味を持った人を集めて、それから初めてADnDへの道が始まります。あなたが興味を持ったことをまとめてみましょう。そして、その魅力を他の人に伝えてみましょう。きっと興味を持ってくれる人が他にもいるはずだし、多くの仲間を得ていくことで、多彩な視点や考え方、そして資料が集まっていくでしょう。

　多くの仲間を得ることにはいくつかのメリットが存在します。それは他の人との交流によって様々な考え方を吸収できることもありますが、ADnDに付き物の、大量のサプリメントを分担して購入することにもメリットが生じます。また、一つのサプリメントに関しても、大勢で読んだほうが、誤読や誤解を減らして行けるはずです。

　ADnDに興味を持った人が集まって、あなたは初めてスタートラインに立てたのです。そして、あなた方の前には、多くの苦難と楽しみが広がっているのです！


　私にとってのADnDの第一歩は、「人がやっていて面白そうだった」でした。
　みなさんにとっての第一歩はいかがですか？

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