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● ライナーノート ●

恋ぞつもりて

初出 : 2000年5月21日 『月影夢想』




  こんなことを言うと身も蓋もないんですが、私が今まで書いた友雅×あかね創作の中
 で、一番ピュアな、お話ではないかと思います。
  どなたにも安心して「読んでみて」と言える話と申しましょうか。

  私は一番最初に友雅さんの通常恋愛でクリアしたのですが、エンディングを迎えた時、
 友雅さんの最後の「愛してるよ」って言葉は、どう考えてもあかねちゃんが教えた言葉
 だなってわかる感じのセリフだったので、「おお、ルビーパーティ、一応、時代的な言
 葉には、こだわって作ってくれたのね」と、ちょっと感心したのです。
  特に平安エンデイングのセリフには、そんな感じがしませんか?
  そりゃ、あくまで物語だし、異世界だし、古文でしゃべってるわけじゃないけど、言
 葉の選び方ひとつで、雰囲気や、それっぽさって、大きく影響するものですよね。
 「愛してる」という言葉が美しい情愛の響きを持って男女間で言われるようになるのは、
 明治時代より後なので、そういうこだわりがほの見えると「おっ、やるな」と思います。

  ならば、きっとイベントで、そういうセリフのやりとりがどこかにあったのかな? 
 私がそのイベントを見なかっただけかな? と思っていたんですが、どうやらそのへん
 のやりとりはなさそうで。
  だったら、作っちゃおうかな〜と思ったのがネタのきっかけです。

 「地」シナリオを選んだ時の急展開に組み込める話がいいなと思って、端午の節会の話
 にしました。後半戦で地を選んだ時の第七章の朱雀のところ。
  宮中の行事などをちらっと書くと、平安っぽさが増しますしね。
  いや、私はこれをやりすぎて、いつも理屈っぽい話に陥りそうになるのですが。

  つまりこの話は、友雅さんの急展開イベント1回目が終わっていて、天真くんの妹騒
 ぎの青龍封印のあとってわけです。
  この青龍封印には友雅さんがついていってるという設定です。
  あのなかなかにするどい天真くんへの友雅さんのつっ込み……いいなあ(笑)。

  このあかねちゃんは、たぶん天真くんに現代にいるころから憧れていて、好きだった
 んだろうなと思っています。けれど、シスコン天真くんについていけなくなっちゃった
 わけですね。私、実はこの設定にこだわっていたりするんですよ(笑)。
  また、詩紋くんは詩紋くんで、自分の容姿もあいまって、鬼だ、京だと、ちょっと信
 じられないくらいこちらの世界に肩入れしちゃってるし、あかねちゃんとしては、ここ
 らでホームシックの爆発くらいあって当然かなーと思ったりしたんです。
  ゲームの中では主人公でプレイヤー・キャラだから、そういう感情の爆発ドラマはし
 かけにくいけれど、創作だったら自由にやれますものね。
  だって16歳ですよ。まだ子供なのにね。あんなに元気でばかりいられないんじゃな
 いかなぁ。こういうミッシング・リングを埋めることこそ創作の醍醐味。ふふふ。

  あと、あの百戦錬磨の友雅さんをフォールインラブさせるのには、彼の背中を突き落
 とす何かがあっただろうと思いました。それはどんなことかなと想像するのは楽しいで
 すね。この作品は、私なりに考えたひとつの答えです。
  この後、急展開の第二段階へ一気に傾斜していく感じを出したかったのです。うまく
 イメージを壊さず書けているといいんですけれど、どうかな。
 
  最後の短歌は、古今和歌集の中にあるよみ人知らずの歌を、少しだけ変えてあります。
 『恋をするかな』というところを『恋ぞつもりて』という風に。
  こちらの方が恋に落ちていく様子に合うなと思ったので。いつもながらつぎはぎ短歌
 ですが、友雅さん言うところの「深く考えないのがコツ」を実践していると思って、大
 目に見てください……って、それはちょっと意味が違いますね。はははっ!









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