[INDEX] 映画の感想 6月分  

 

・・・特撰 ・・・秀逸

海辺の家 7/31

 最近、家族愛に弱い。観る前から泣きそうだ。この作品は、余命幾ばくもない親父が、長いこと放ったらかしにしたためにグレてしまった息子とともに、家を建てるというもの。親父の視点に立てば、黒澤明の『生きる』に似ている。この、グレた息子というのがすごい。スター・ウォーズ・エピソード2のアナキン青年ことヘイデン・クリステンセンなのだ。この青年が、父との共同作業を通して更生してゆくドラマである。

 しかし、さわやかさがない。リストラ、ドラッグ、セックス、離婚暦、隣人が入り混じって、混沌としている。家族がテーマなのに、家族そろって観るにはまったく適さない。もっとも、家庭というものは、実際がそうであるように、愛憎に満ちたどろどろとしたものだ。この家庭は、ちょっと複雑で重症だけど。

 やっぱり注目してしまったのは、ヘイデン・クリステンセンだ。エピソード2と比べてしまう。個人的には、今作のほうが印象的だと思った。アナキンの役ってのは、強烈に過ぎる。どら息子のほうが、役者が引き立っているような気がした。

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タイムマシン 7/23

 時間旅行は映画の永遠のテーマ。それは、人類の永遠の夢であるからだ。僕は科学少年であったので、光速を超える乗り物から光源を見れば過去に発せられた光が見えるとか、そういうことを信じていた。でも、いまは科学少年ではないので、作品に出てくる数式なんかもちんぷんかんぷんであるし、そういうことを主題にした映画でないのは幸いであった。もっとも、過去を変えてみたいとか、未来を見てみたいという願望はある。誰にだってあるだろう。

 この教授も、耐えがたい過去への執念から、レトロな風体のタイムマシンを作った。ところが、過去に行っても悲劇は避けられない。そりゃ、タイムマシンを作った動機を消し去りたいというのだから、無理な話だ。そういうことを長々検証する話と思ったら、このあたりの展開は異常に速くて、絶望した彼は遠い未来に行ってしまい、タイムマシンも全然出てこなくなってしまう。

 彼が見た80万年後の未来は、修羅場であった。映画の後半は、そこでの冒険活劇に費やされる。これは原作がそういう設定らしいからなのだが、もっと時間旅行をするところを見たかった。期待するところを、ちょっと間違えた感じ。前半と後半で、これほどテーマが違う映画も少なかろう。もとい、そのテーマの感じ方からして、見方を間違えたのかも知れない。サントラは欲しいかも。

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メン・イン・ブラック2 7/-8

 1を観ていないが、そういう心配はない。冒頭であらすじらしきものを説明してくれるし、そもそも、それほど物語りに期待する映画ではない。それで、「なるほど、1を観ていない人にいろいろと説明してくれるんだ、親切・安心だなぁ」と思っているうちに、半分くらい、映画が進んでしまっている。なにせ、本編時間が1時間半に満たない。今年のクレヨンしんちゃんより短い。どう感想を書いていいものか。奴らはノリで地球を救うっていうキャッチフレーズは、ぴったりだと思う。動員は、いまひとつ。

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スター・ウォーズ エピソード2 6/25

 僕は、スター・ウォーズのファンではない。ただ、役得で試写を観られるので、一足お先に話の種にでも、という動機で観ておきながら、周りは映画館の従業員ばかりで何の自慢にもならず、仕方なくこうしてホームページに感想を書いているのである。

 というわけで、まったくスター・ウォーズには疎いわけで、公開の順に、第4話、5話、6話、1話、2話と続いている構成についても、知ったのは近年のことだ。映画館に勤め始めて、(タダだから観た)エピソード1に出てくるアナキン坊やが、ゆくゆくは悪者のダース・ベイダーになることや、第4話以降のヒーローがその子供であることなどを、「業務執行上、必要な知識」として仕入れているのである。こんな有様だから、エピソード1のときは「すごい映像だな」と、その技術ばかりを注視していて、あとは知識の涵養に徹していたものだから、ちっとも面白くなかった。

 が、今回は違う。アナキン君が成長している。心も体も大人に近づいている。憧れのクイーン(ではないが)アミダラを守るジェダイになっているのだ。「大きくなって・・・」と、感慨も深い。何より、スター・ウォーズという一つの映画史を、ようやく世間並みに楽しめるようになった自分がうれしい。みんなと一緒を望む、典型的な日本人がここにいる。

 僕は、とにかくダース・ベイダーは根性の曲がった悪い奴としか思っていないから、見所は、彼が悪者になってゆく過程を、あれこれ詮索することだ。アナキンは、ことあるごとに師匠であるオビ=ワンに生意気な口を聞くし、自意識の過剰が認められる。また、予告編のとおり、禁じられた恋にも落ちる。だがしかし、これらは思春期の男の子には共通して言えることのような気もする。では、なにが彼を悪の道に走らせたのか。それは、どうやら第1話から第3話までの話と共同して語られることらしい。いろんな過程を総合して、次回作で決定的な何かがある、そう思わせる雰囲気であった。第1話の坊やも2話の彼も、どことなく憂いを持った面持ちをしている。もともとそういう顔なのか、天才的な演技なのかは判断に窮するが、少なくとも今回は、視点がアナキンの心象変化に置かれていることは、素人の僕から見ても明らかだ。

 このエピソード2が単なる「つなぎ」でしかないわけではない。たまたま僕の見方がアナキンに偏向しているだけのことかも知れぬ。クローン兵のこととか、大切な着眼点はあると思う。ただしかし、あんまり全編を通してカッコよさを追求した作りにはなっていないし、CG映像にも、もはや目新しさはない時代になった。特に筋金入りのファンにとって、そのあたりの見方は、分かれて然るべきと思う。

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少林サッカー 6/24

 サッカーブームに便乗してとんでもない映画が来た、と思っていたが、これが面白いのだ。少林拳を駆使して最強のサッカーチームができてしまったのだ。手間のかかるCGを、こんなバカバカしいストーリーに惜しげもなく使ってしまう香港映画は賞賛に値する。大げさな演技、大げさなBGM。でも、やることは少林拳でサッカー。そういう作品のコンセプトそのものがユーモアなのである。秀逸。

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