79. どこが「大戦略」 (2000/9/24)


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私は悪い癖で、ついつい安いゲームをいくつも買いあさりプレイしているところである。本当ならばゼルダの伝説〜時のオカリナ〜という超名作ソフトをクリアしていてもおかしくないのだが、最後のダンジョンの手前でいま一週間ばかりストップしている。

▼大戦略シリーズの紹介

そんな中で私が最近ついプレイしてしまうのが「大戦略マスターコンバット」である。

このゲームは大戦略シリーズと呼ばれる軍事シミュレーションゲームの傍流にあるゲームで、本流のシリーズは無機質にひたすら兵器を作ってマップを占領していって戦闘をしていくゲームなのであるが、このマスターコンバットには一応シナリオが用意されている。それから、部隊に熟練度があって成長していくので、部隊を消耗させるのではなく成長させることも重要となっている。

私がこの大戦略シリーズと初めて出会ったのは、SUPER大戦略と呼ばれる傍流の元祖とも言える位置付けを持ったゲームである。本流とどう違うのか分からないが、兵器の種類が増えてプレイしやすいとかなんとか解説されている。私はこのゲームにハマった。フリーウェアとして公開されている創作マップにも手を出した。

このゲーム、実は私はそんなに熱中したというほどではないのだが、なぜかプレイしてしまうのである。なぜかというと、敵の思考時間中はヒマになって別のことが出来るからである。だから、ついつい少しでもあいている時間があったり、他のこともやりたいときでも、パソコンの電源をつけてプレイしてしまうのである。

次に買ったのは大戦略III である。こちらは本流の三作目にあたる作品であるが、これまでの本流どころか傍流とも大きく変わった作品である。私はこの作品が大好きである。というのは、この作品にはターンがない、つまり将棋のように交互に駒を動かしていくのではなく、速いユニットたとえば戦闘機はどんどん動くし、遅いユニットたとえば歩兵なんかはじりじり動くのである。生産も自動化され、金がたまったらどんどん作ってくれる。部隊には移動目標を設定し、あとは勝手に進軍したり戦闘したりしてくれる。

▼おいおいどこが大戦略なんだ

で、私は最近、戦争に関する本を読んだりしているのだが、実際の戦争と比べて大戦略というゲームがいかにデフォルメされているのか、非常に良く分かった。まあ、大戦略というのは戦争の一部を切り取ったゲームであることは分かる。にしてはお粗末ではないだろうか。

飛行場くらい作らせろと言いたい。飛行場なんて、ブルドーザー用意したり鉄板ならべたらすぐに作れる。現に日本軍は島々に飛行場を作っていった。イギリスはシンガポールに要塞港を作った。ところがどうだ。大戦略と名乗るこのゲームは、中立の飛行場とやらを接収するしかないのだ。しかも、この飛行場には 1ターンに一部隊 10機の飛行機しか着陸できないし格納も出来ない。

攻める側も守る側も互いに相手の首都を目指す。しかし「大戦略マスターコンバット」では、一つ一つの戦いは局地戦なのだ。こんなに首都があってはたまらない。

部隊数の制限も気に入らない。人海戦術を仕掛けようにも、最大部隊数が 48 とか 60 なのではどうしようもないではないか。そうなると、ただひたすら性能の良い兵器を生産するしかない。他のシリーズはどうあれ、この「大戦略マスターコンバット」では部隊も予算も持ち越せるので、必然的に最新鋭の部隊で戦うことになる。旧式の兵器をうまく使うなどという現実的な視点が無視されている。

というわけで、現行のゲームバランスの範囲内で出来ることなら、軍港はともかくとして飛行場くらいは工兵で作れるようにしてほしい。それと、施設破壊や復旧も出来た方が良い。補給所も作れた方が戦略に幅が出るだろう。それと、トラックの中にはパラシュートで落とすことのできるものもあるらしいので、それを占領部隊に出来るとなお良い。

やはり Age of Empires シリーズで 20世紀の戦争を扱ってくれるのが一番良いのだが。

▼A列車で行こう 復刻版

が、そんな不満もある中でついついやってしまうことは否めない。今日実は Age of Empires II : the Age of Kings の拡張パックである the Conquerors を買ってしまったので、大戦略マスターコンバットはしばらくやらないとは思うのだが、そんな理由もなく封印したゲームがある。それが「A列車で行こう復刻版」である。

このゲームは、現在までに数種類を数える A シリーズの鉄道を中心とした町経営シミュレーションゲームの元祖にあたるゲームである。

私は一応、いまではだいぶ枯れてしまったが、ゲームを作ることを常に考えている。一番最後に作ったゲームは何年前だかもう忘れてしまうほどであるが、常に何か良いアイデアとスタッフ(要するに手伝ってくれる人のこと)と時間を求めている。という話とは実はあまり関係ないのかもしれないが、そんなわけでこれまでに出たゲームの中で名作または佳作との評判の立っているゲームはなるべく欠かさずプレイするようにしている。

それで A列車で行こう に目が向いたわけである。というのは、私の幼なじみの兄弟がこのゲームにハマったという話を聞いたりとか、このゲームからスタートしたこのシリーズがいまでは PlayStation2 上で最新作が出ており非常に完成度が高いだとか、アートディングという一風変わったマニアックなゲームを作る会社がはじめて作ったゲームだからとか、いくつか理由があるのである。

それでまあ期待してプレイしたのであるが、残念ながら期待はずれであった。15年前を懐かしみたい人にだけ薦められよう。

このゲーム、一言で言ってしまえば、チクタクバンバンとシムシティの悪い面を合わせたようなゲームである。列車の線路をひくのは、昔プラレールや Nゲージで遊んだことからワクワク出来るのであるが、複数の列車を運用するのはチクタクバンバンのようにハラハラする。それと、何をするにも金が掛かるのであるが、金の収支に常に目を光らせなくてはならないところが非常にイライラする。

ああ、ひょっとするとチクタクバンバンを知らない人もいるかもしれないので説明していこう。チクタクバンバンとは、15パズルのそれぞれのピースに刻まれたレールの上を、目覚し時計の形をした電車がじわじわと走りつづけ、無事外に電車を誘導すれば勝ちである。なにしろ 15パズル自体それなりに頭を使うのに、それに時間制限を加え、電車はチクタク音を出してイライラさせられ、間違って脱線したらこの世の終わりのような音を出すのである。まあ面白いゲームだとは思う。これを考えた人は偉い。しかし私は生理的に嫌いである。

なおかつこのゲームには、生意気なことに謎掛け要素まであるのだ。しばらく線路を作っていくと、どうしても通れないところが出てくる。さてどうしよう。ある面では、近くに線路を通したところ、邪魔になっていた田んぼが消えて、線路がひけるようになった。しかし、私が投げ出した面では、何をどうしても進路が出来ないのである。…多分私の根気が足りないのだろう。少なくとも当時の基準では。このゲームが発売された当初は、このシンプルなゲームを夢中になってやっていた人が多かったに違いない。しかし私は、バチ当たりなことに、さっさとクリアして終わらせたかったのである。一万円くらい払ってプレイした人と、私のように復刻版を 2,380円で手に入れた人との違いかもしれない。

というわけで私はさっさとこのソフトを封印することにした。

▼余談

さきほども言ったが、Age of Empires II : the Age of Kings の拡張パックである the Conquerors は値段が高すぎである。たかだかゲームの拡張パックつまり単体ではゲームが出来ないにも関わらず、高い店(ソフマップ)では 5,980円で売っているのである。

まあ発売日に買ったのだからそれは仕方がないのかもしれない…というわけではないのである。本家アメリカで発売された英語版は、予約販売価格が $29.95 つまり 1ドル 120円で換算しても 3,600円くらいなのである。私は今日、秋葉原の T-ZONE ミナミで、輸入された英語版が 4,100円で売られているのを見た。ローカリゼーションにここまで金が掛かるものだろうか? 海外で発売されているピカチュウとかマリオとかソニックとかのゲームはここまで割高なのか?

一説によれば、前回の拡張パックがネットを通じて大量に出回って、タダで違法入手した人が多かったので値段が高くなったとも言われている。

にしても、最近はやりたいゲームが多すぎて困る。店頭から消えていくゲームを確保することも考えると、頭の痛い問題である。が、遊ぶときは気楽に遊びたい。


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gomi@din.or.jp