51. いまさら Dual Celeron (2000/1/13,14)


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恥ずかしくも、私の PC 更新は半年になっているようだ。私は新しいマシンを組んでしまった。

新しいマシンを組んだ理由は、AGE of EMPIRES II というゲームでコンピュータの思考ルーチンを組んで遊ぶという楽しみ方をしていて、作った思考ルーチンを戦わせている間に思考ルーチンの編集をしたいと思っても、一台のコンピュータでは不可能だからである。それと、このゲームのネットワークマルチプレイ対戦が、とても高いスペックを要求されることも大きな理由である。

私は前から色々とパーツを物色していて、お買い得なパーツがないかを探していた。しかしいまのこの時期はどうも悪い。新しいチップセットにもメモリにも勢いがなく、いまだに BX チップセットや SDRAM が幅を利かせている。最近になって、オーバークロックに向いた FPGA Pentium!!! 500MHz なんかが二万五千円ぐらいで手に入るようになり、マザーボードにも coppermine (Pentium!!! の新しいコア) に対応したものが出てきた。古いマザーでも BIOS で対応できるものもあるようだが、あいにく私の持っているマザーは Epox (製造元) から見捨てられており、なんと製品カタログにも載っていないのだから完全に無理だろう。私のマザーはどうやらメーカー製PC に搭載するために OEM 供給しているマザーなのではないかと思った。

で、しらみつぶしに調べても良いパーツがあまりなく、良いように思えるパーツでもケチがついているものがほとんどである。結局私は三つの方針に絞った。一つは、Athlon 500MHz マシンを組むことであり、もう一つは FPGA Pentium!!! 500MHz マシンを組むことであり、最後が Dual Celeron マシンを組むことである。

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Athlon 500MHz は、後半から 650MHz としても売り出せるぐらい質の高いコアが使用されているらしく、あとでオーバークロックの楽しみもあるので候補に上がった。それに何と言っても安い。二万円ちょっとで買えてしまうのである。しかしこの選択にはいくつか難がある。

一つは、Athlon の現状の 0.25μプロセスの製品では、電源が安定していなければならず、普通に安く売っているケース+電源を買うと安定して動作しない可能性が高いのである。その前に電源が 250W 以上無いと動かないという話もある。なにしろ開発販売元の AMD 自身が、以下の電源で動作します、というリストを出しているぐらいなのである。

もう一つは、出回っている Athlon 用のマザーに載っているチップセットにはリビジョンと呼ばれる一種のバージョンがあり、あるバージョン以降はキャッシュの効率が上がって、なんと一割ぐらいの性能向上が見込めるというではないか。つまり、単純に考えれば 500MHz の CPU が 550MHz ぐらいの性能で動くというのだ。それで、AMD はわざと旧リビジョンと新リビジョンの判別がつかないようにして、マザーボードメーカーに配慮して、旧リビジョンのチップセットを搭載したマザーが売れ残らないようにした。それで、いま Athlon のマザーボードを買うと、運が良ければ性能の良い方が手に入り、悪ければ性能の悪い方が手にはいることになるのである。

まだある。Athlon 750MHz から、AMD は Athlon を 0.18μプロセスで製造している。こちらの方が当然性能が良いし、オーバークロック耐性も高い。それになにより電源の性能を極端に要求しなくなっているという。しかし現状では 750MHz の Athlon は非常に高価で、九万円以上してしまう。もう少し時間が立てば、AMD は全ての Athlon を 0.18μプロセスで製造するようになるだろうから、そうなるとその頃のローエンド Athlon が仮に 600MHz ぐらいだとすると、その Athlon は安価で買える上にオーバークロック耐性の高いものになる可能性が高い。しかもその頃には銅配線技術を使った Athlon が出回り始め、当然マニアはその CPU に群がるだろうから、通常のアルミニウム配線の Athlon の値段は落ち着くものと思われる。それに、その頃になると Socket A と言われるローエンドの Athlon が出ると見られ、その Athlon がまさにかつでの Celeron のようにオーバークロック可能なハイコストパフォーマンスの CPU である可能性が高いのである。無論、オーバークロックをしなくても十分速くて安い CPU になることは確実である。

そんなことで、結論を言えば、Athlon を買うには今はまだ中途半端な時期だということである。いま買っても 700MHz ぐらいで動かせるかもしれないのだが、半年後ぐらいにはそのあたりが当然のようになる可能性が高いのである。

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一方の雄、Intel の FPGA Pentium!!! 500MHz もお買い得な CPU である。この CPU は、FSB100MHz × 5 = 500MHz なので、FSB を 133MHz にすれば、133 × 5 = 666MHz で動くようになる。Pentium!!! 600EMHz が五万円ぐらいすることを思えば、半額でそれ以上の CPU をオーバークロックにより手に入れられるのである。もっとも、これには難があって、まず現在 FSB133MHz を正式にサポートするチップセットは、最新の i820 と VIA の互換チップセットで、両者ともに問題がある。前者は、RDRAM を前提としているため、SDRAM での動作が遅く、後者は互換チップセットということもあってキャッシュ周りなどでどうしても遅くなってしまう。そういうことなので、普通は正式サポートなしで Intel の BX チップセットをマザーボードの無保証設定で使用することが多い。それから、そもそも FSB133MHz というのは最近になってようやく一般的になりつつあるので、まずメモリも PC133 以上のものを使用した方が良かったり、マザーボードが PCI の周波数を正しく設定できるものであったりする必要がある。それからマザーボード自体の能力の限界もあるようなので、どのマザーの信頼性が高いかを十分に調べる必要もある。それからどんなオーバークロックにも常に CPU の発熱の問題が付きまとい、下手をすると CPU よりも値段の高い CPU クーラーを買うことになることもある。ただ、マニアはあっさりとこれらの問題をクリアするので、普通の人でも注意すれば可能である。

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最後の Dual Celeron といえば、もう半年ぐらい前に流行ったものである。KIKUMARU という人が、Dual 化できない Celeron を、比較的簡単な工作により Dual 化する方法を発見した。ちなみにここで確認しておくが、Dual とは、CPU を二つ使ってコンピュータを動かすことである。当然、一個の CPU で動かすよりも速くなるが、単純に性能が倍になるわけではない。しかも、現在 PC で主流の Dual 方式は、SMP と呼ばれるもので、この方式ではメモリバスなどを共有するため、メモリアクセスが CPU 間で取り合いになったりして、キャッシュが有効に働かない限りは性能が向上せず、実際には二割程度しか速度が上がらないと言われている。ちなみに、Athlon も Dual 化可能な設計になっているようであるが、現在のところチップセットがまだ存在しないため不可能なようである。しかし、チップセットが開発されると、Athlon のメモリ帯域には余裕があるため、二つの CPU がメモリをそんなに取り合わずには済むらしく、速度の向上も見込めるようである。

当初 Dual Celeron は、Slot 1 と呼ばれる Celeron の CPU 自体にハンダゴテを入れていたため、失敗すると CPU が壊れる可能性があった。しかしその後、Slocket と呼ばれる、Slot 1 のコネクタを Socket370 のコネクタに変換する部品が開発されたので、この少なくとも CPU より安価な部品に手を入れるだけで改造が出来るようになった。さらにその後、この Slocket 自体に手を入れるメーカーが出始め、Slocket 自体が Celeron の Dual 化を可能にするに至った。そして現在さらに突き詰められ、なんとマザーボード自体が Socket370 を二つ持つに至り、マザーボード自身が Celeron の Dual 化を可能にしてしまったのである。そのマザーボードが、Abit というメーカーの BP6 という製品なのである。

この BP6 は、発売当初は二万円近くの値段が付いていた。しかし私が見た頃には、なんと 13,200円まで値段が落ちていた。そうなると、八千円以下の Celeron を買えば、マザーボードと CPU 二個のセットがなんと三万円で手に入るのだ。はっきり言って安い。最低ランクの Pentium!!! が二万円を切る頃に市場から消えていくので、この最低ランクの Pentium!!! と対応マザーを買っても三万五千円ぐらいは掛かる上に、性能は Celeron の上位クラスとあまり変わらない。Athlon の最低ランクは、マザー自体の数が少なく値段も若干高めなので、まあ四万円ぐらいは覚悟した上でなおかつ電源ユニットにも気を配る必要があり、さらに安定してオーバークロックしようと思えば特殊なデバイスの購入または自作が必要になる。

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そんなわけで結局私は BP6 を買って Dual Celeron マシンを組むことにした。秋葉原を巡り歩いた結果、BP6 の最安値はどうやら 13,800円(通販ページでは 13,200円だったが、値札の上に値札が張られた跡があった)で、結局私はポイントカードのある ZOA で 13,900円で購入した。ちなみに私の中では、秋葉原の中では ZOA が一番お勧めの店である。大型店なのに安いのが良い。地上三階地下一階で、一階は自作と関係ないフロアで、地下は少し狭いがケース専用フロアとなっている。T-ZONE PC-DIY は店舗がかなり広いが、値段がそれほど安いわけではないので、品定めに使うと良いと思う。

CPU は Celeron 433MHz が最もコストパフォーマンスが高いと判断して、TSUKUMO DOS/V パソコン本店II で 8,000円にて二つ購入した。この店ももちろんお勧めであり、買う物の種類さえ注意すれば安く買える。

ZOA では他にケースと HDD とメモリを買った。ケースはアルミケースである。星野金属工業の MT-PRO1000 PremiumDark というケースで 34,500円もした。つまり、マザーボードと CPU 二個の値段よりも高いのである。私は以前にも MT-PRO800 Betty を買って満足しているので、三万円を越すケースに対しては金銭感覚が麻痺しているのかもしれない。特に私が自作を始めて一番最初に買ったケースがとんでもない粗悪品で、ろくに排気の出来ない熱々なマシンが出来上がってしまい散々苦労したので、そんな苦労をするぐらいならアルミで良かろうと思うのである。星野金属工業のアルミケースでは他に JAZZ という新シリーズの、フロントパネルとかが斜めに傾いている格好いいケースがあったが、あれじゃあケースの上に何も置けないぞ、なんていう単純な理由で却下した。

ハードディスクには、話題の Seagate barracuda ATA 20GB 7200rpm を購入した。このハードディスクは UDMA33 の限界を超えているみたいで、とにかく性能が高いと聞いていたからである。騒音がうるさいと友人から聞いたが、私にはそんなに気にはならなかった。メモリは、ZOA でマザーボードとセットで買うと安く買えるものがあったのでそれを買った。リテールで箱入り永久保証の PC133 128MB SDRAM CL=3 が 16,800円だった。以前買った PC133 のメモリは 14,999円だったが、バルクなので不安だった。バルクで動かなかった試しはないのだが、一万円より大きい買い物で何か問題が起こると不安になる。

私は VGA(ビデオカード) には金を掛けない主義なので、DOS/V パラダイスにて STB 3Dfx Velocity 100 AGP 8MB の輸入版を 5,980円で購入した。本当は、友人やネット上の人々が薦める Matrox G400 SH 16MB あたりを買おうとも思ったが、値段が一万二千円ぐらいしたのと、あまり良いモニタを買うつもりがないのでやめた。この VGA は文字とかの表示がくっきりしていて良いらしい。一度試してみても良かったのだが、私にはそれ以上に、前に買った nVIDIA RIVA TNT2 M64 との廉価高性能VGA 対決をしてみたかったので、nVIDIA と並ぶ 3Dfx 陣営の廉価VGA には興味があった。

私は今回、CD-ROM でも CD-R でもなく DVD-ROM ドライブを買った。CD-RW ドライブのバルクでソフト無しのものが 11,800円ぐらいで売られているのを発見してしまったが、その時には既に DVD-ROM ドライブを買っていたのと、既に CD-R ドライブを持っていたのとで、購入をやめた。もっともそのドライブは、私が最も信頼できないメーカーである松下グループの製品だったので、元々買う気は無かった。

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ケースとモニタは配送してもらうことにしたため、次の日の午後ぐらいから組み立て始めた。さすがに三台目となると、組むに当たって特に問題は起きない。今回は仮組みによるチェックも行わず、いきなりマザーをケースの土台につけた。とは言ってもケースの土台はさすがに高級ケースだけあって簡単に取り外しがきくので便利である。

例によってフロッピーのケーブルをまた上下逆につけてしまい、アクセスランプが点灯しっぱなしにになる。これで三回連続同じミスをしてしまった。それと、電源ランプやハードディスクのアクセスランプの配線も逆にしてしまったみたいで、配線を逆にしたら正しく点灯した。MT-PRO700 Betty の方もなにやらランプがつかなくなってしまったのだが、似たようなことをやっているか、単にケース内で配線が取れたか、どちらかだろうと思う。いつまでもこんな単純なミスをするのは、半年のブランクがあるからであろう。

電源をつけようと思ってつかなかったが、それは単に電源ユニットのスイッチをオフにしていたのと、マザーに電源コネクタを付けるのをすっかり忘れていたためであった。これもありがちである。

以前 CPU クーラーを取り付けるのに手間取った覚えがあったので、今回も気合いを入れたのだが、今回はあっさりとうまくいった。今回は二つ付ける必要があったが何の問題も起こらなかった。以前やったときは、クーラーを取り付けるときにあまりに硬かったため、金具がマザーボードの配線を傷つけないかどうか不安だったのである。

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ハードが組みあがると、次は OS を入れることになる。今回は OS を買っていない。予定としては、Windows2000 RC2 と Linux を入れればよいかなと思っていた。それでまず最初に Windows2000 RC2 から入れることにした。しかし、この OS は評価版である。組み上げて無事に動作が確認できたわけでもないマシンにいきなり評価版の OS を入れるというのも馬鹿な話である。

結局、いきなり Windows2000 RC2 を入れることは頓挫した。理由は、どうやら UltraATA66 の IDE コントローラが Windows2000 RC2 に対応していないからのようだった。というか正確に言うと、最新のドライバにバージョンアップしておくと平気みたいだったが、私の買ったものは古いドライバのディスケットが入っていた。コントローラの BIOS のアップも必要みたいだった。それらは WWW から手に入るみたいだったのだが、あとで調べたところどうやら Linux を入れるにもカーネルにパッチを当てるだとかで面倒なようだったので、あきらめて通常の UltraATA33 のコントローラを使用することにした。

これ以上のトラブルはごめんなので、とりあえず Windows98 を入れることにした。こちらの方はあっさりうまくいった。UltraATA66 の方でうまくいったのだが、さきほど言ったように途中で UltraATA33 の方に切り替えた。ところが、切り替えたにも関わらず、ハードディスクがブートしてくれないのである。原因を色々調査するのに時間が掛かったが、結論は単純であった。通常の UltraATA33 のコントローラが、デバイスをわざと認識しないように初期設定されていただけの話であった。それで、設定しなおすとうまくブートした。

ちなみに、DVD-ROM ドライブからブートしてくれないのも同じ理由であった。DVD-ROM ドライブからブートしてくれなかったので、最初に Windows2000 RC2 を入れた時はなんとフロッピー四枚でインストーラを起動し、DOS モードで設定ファイルをコピーしたため、鬼のように時間が掛かった。多分一時間以上掛かっていたと思う。まあファイルのコピーに時間が掛かったのは、多分 Windows2000 RC2 を初期インストールしたからだと思う。あとで Windows98 をインストールしたあとにデュアルブートで Windows2000 RC2 をインストールしたときは、Windows98 上で Windows2000 RC2 のファイルをコピーしてくれたため、そんなに時間は掛からなかった…と言いたいがやはりかなり時間が掛かった。

さすがに Windows98 では全ての機器を認識した。とは言っても、AGP の Velocity 100 と PCI のサウンドカードとモデム、それに ISA の NE2000 互換LAN カードだけだったのだが。いや、一つ不可能なのがあって、UltraATA66 のコントローラ二つのうち一つが認識されなかった。多分これはリソースが競合しているからなのだろう。PCI カードの挿した場所が悪かったのかもしれない。

Windows2000 RC2 ではさすがに認識しないものがある。まず AGP の Velocity 100 が Voodoo3 と認識されたが、これは正常に動いている。PCI のヤマハのサウンドカードは、MIDI の再生機能があるのだがドライバが組み込まれず、あとで無理矢理 NT 用のドライバをインストールしようとしたが不可能だった。モデムはメルコの安心できるカードを買ったつもりだったが、あいにく「NT4.0ではないので使えません」とインストーラに怒られるし、自動認識もされなかった。NE2000 カードは正常に使用できたが、なぜか Accton 製だと思われている。これはやはり ISA のプラグアンドプレイの限界なのかもしれない。UltraATA66 のコントローラは認識すら出来ない。ついでに、Windows98 では正しくドライバを組み込めた Planex RX-25H という USB 2.5inch HDD リムーバブルドライブも、NT 用のドライバが正しくインストールできなかった。こうして振り返ると、Windows2000 RC2 で正常に認識されて全機能が動いているのは USB マウスぐらいであった。まあこれは、これらの部品が全て比較的新しいからだとも言える。案外私の VAIO なんかに入れてみると、全機器が認識されたりするのだろう。ただし私の VAIO は MMX Pentium 233MHz なので、入れたらまず死ぬだろう。試しに入れてみたいのだが、RC2 はアンインストールできないらしいので、やめておいたほうがよさそうだ。ただ、私の VAIO は最近、モデムを使っている間になぜか例外エラーが発生しやすいのと、メインマシンを完全に乗り換えようと思っているのとで、一度クリーンインストールしようかなとも考えているので、そのときに一度遊びで入れてみるのもいいかもしれない。SONY の PC は余計なドライバとかソフトが組み込まれすぎているので、まさか Windows98 よりも Windows2000 RC2 の方が軽かったなんていう馬鹿なことは起きないだろうが、あまり重くならなかったら笑えるものがある。メモリも 128MB 積んでいるので不可能ではないと思うのだが…。

モデムが動かないのが痛すぎる。モデムが動かないので、Windows2000 RC2 の登録が出来ない。登録が出来ないと、万が一 Windows2000 の製品版を正式に買う気になっても、登録による割引がない正規の値段で買う気は私には一切ない。アホか。三万を超える希望小売価格をつけるとは、いよいよ Microsoft も戦略を誤ったか、マーケティングにスパイを送り込まれているのか、などなど想像をめぐらす。が、私は Windows2000 RC2 を試用してみて、この OS がなかなか気に入ってしまった。だから、やはりこの OS を買う人はそれなりに出てきそうな気がする。しかし私は例え気に言っていても、少なくとも現在の価格で買う気は無い。どちらかというと、Microsoft が潰れてくれる方に一票を投じたい。そのときは Linux をメインにするとしよう。BeOS も気になるが、対応機器が少ないので Velocity 100 が使えなさそうだ。そのときは手持ちの ATI Rage IIc で悲しくも我慢するより他ない。

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今回の買い物には無駄が多い。分かりやすい無駄から説明していこう。

まずメモリだが、私が買ったのは 128MB SDRAM PC133 CL=3 である。そして、私は現在メモリを 66MHz で使用している。つまり、このメモリは現在の使用ではマージンが二倍あることになる。PC100 でさえ十二分なのに、なぜわざわざ高いメモリを買ったのかというと、当然このメモリを使いまわすことを考えているからである。ただ、SDRAM 自体の寿命は恐らくあと一年か二年だろうと思われるので、半年後か一年後ぐらいにまたマシンを組む時に使えばよかろう。

DVD-ROM ドライブ。いまのところ DVD を買う気はない。ただし、Microsoft は既に DVD-ROM でのソフトの供給を行っている。たとえば百科事典である。CD-ROM だと五枚分だが、DVD-ROM だと一枚で済む。それと、DVD-ROM ドライブで今年から生産されるものは地域コードというものが入ってしまい、地域を越えた再使用が不可能になっているようなのである。だから、一台ぐらい早めに買ってもいいかな、と思って買った。8,950円ぐらいで「あきばおー」にて購入した。

サウンドカード。XWave 6000-Pro というものを買った。こいつはどうやらサラウンドスピーカーシステムが使えるものらしい。しかし私がこいつを買った理由は、単に外部MIDI が使えるという理由だけである。まあ何よりも YAMAHA Y-MF744 が載っていることが購入理由なのだが。こいつは五千円ちょっとで手に入った。ちなみに T-ZONE PC-DIY では、こいつの一つ古いバージョンで Y-MF724 のものが五千円弱で売られていたので注意したほうがよい。

ケース。アルミな上に Seventeam 製の電源まで付いている。34,500円。既にこの値段とスペックが無駄である。もちろんこれは私が気に入った上での無駄ではあるが。また、このケースは逆の意味で無駄でもある。それは、このアルミケースは星野金属工業のラインナップの上では、既に下のクラスのケースなのである。このメーカーの最も安い ATX アルミケースは MT-PRO1000 250W モデルの 26,800円である。私の MT-PRO1000 PremiumDark は、同じく 250W の電源で、ケース外面が漆黒のアルマイト塗装になっており、フロントパネルもダークなスケルトンになっているのだが、それだけで 7,700円も高い。実は PremiumDark には本来別売りの五千円ぐらいするキットが標準添付しているという特典もある。しかし、上位クラスの MT-PRO2000 シリーズが、より品質の高いアルミと 300W の電源を持っていて、別売りキットなしで 36,800円ぐらいで売っていたりする。ちなみにこのメーカーの一番高いケースは五万円ぐらいする。

ちなみに、私は黒いケースを買ったが、フロッピーディスクドライブの黒いやつは千円高いのでやめた。DVD-ROM ドライブもフロントベゼルが真っ白である。まあ、カラフルなケースに白いドライブはよくないが、黒いケースに白のドライブはそんなに悪くは無い。

ハードディスク。私の買った Dual Celeron に最適なマザー Abit BP6 は、私の買ったハードディスク Seagate barracuda ATA と相性が悪いらしい。これはあとで WWW を見て気づいた。もっと買う前に調査しておけばよかった。これから買うものよりも、買ったあとの品物の方が気になるのが人間である。それに、いかに今回の買い物がいい加減だったかも分かるものだ。

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CPU も後悔した。Celeron 433MHz を買ったのであるが、買ったあとで WWW で調べたところ、いま一番よさそうなのは Celeron 400MHz を 600MHz で駆動することらしい。まあさすがに 600MHz 駆動させるには、あたりの CPU を引かなければいけないようなのであるが、当たってしまうと 620MHz ぐらいをリテールファンの空冷で動かせるらしい。ただし、デュアルプロセッサの場合はオーバークロックが多少厳しくなるみたいなので、ここまでは不可能かもしれない。あとは、いまではほとんどバルクのみでしか手に入らないが 366MHz のものだと FSB100MHz で 550MHz なら普通に出せるらしい。…もう専門用語を解説する気もないが、もしこれらの用語が分からないかたは、とにかく Intel の CPU でオーバークロック動作させるには、ただ単純になるべく値段の高い CPU を買えばよいというものではないということである。

Celeron 433MHz と Celeron 400MHz の CPU が同じくらいの値段だったのだが、私は数字につられて 433MHz を選んだ。でも仮に Celeron 400MHz を買ったとして、FSB 93MHz × 6 = 558MHz で動かないような場合だと、今度は PCI バスの損傷を避けるために FSB を 75MHz ぐらいにしなくてはならないため、そうなると 75 × 6 = 450MHz が安定動作ラインになる。一方 Celeron 433MHz の場合だと 75 × 6.5 = 488MHz で動作し、大体 37MHz 分ぐらい早くなるが、あまり大した違いはないかもしれない。ちなみに Celeron 466MHz は少し値段が上がって一万円超になるが、これを買うと 500MHz を超えるものを安定動作させることが確実に可能である。

私はどうもあきらめきれないため、FSB 93MHz × 6.5 = 598MHz で起動させようとしたが、BIOS 画面すら出なかった。それでもうオーバークロックはあきらめたつもりだったが、コア電圧を 2.2V にして再度挑戦してもみた。すると、BIOS の画面が出て、Windows98 と Windows2000 のどちらを立ち上げるかを選択するブートセレクタの直前でハングアップしてしまった。ひょっとするとこれは、コア電圧を 2.3V ぐらいにして高価な CPU クーラーを買えば 600MHz ぐらい出せるかもしれないな、と思った。しかしもう私はこの結果に最低限満足したため、パフォーマンスに不満が出るまでは定格の 433MHz で使用することにした。

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そして私はこのマシンをクロと命名した。うちには真っ白な猫と白黒の猫はいても、真っ黒な猫がいないのでちょうどいい。私は代々マシンの名をケースにちなんで名づけており、一台目を「ガルベス」としたのは排熱の悪いケースでマシンが熱くなることによる。今回も面倒なので、ケースの色から安直に名づけることにした。しかしよく考えたら、このケースの製品名は Premium Dark つまり「闇」が正しいじゃないか。これとは別に Premium Black という高いケースがラインナップ上にあるので紛らわしい。まあでもマシンの名前を「闇」にちなむほど因縁深くない PC なので、今回はあっさり「クロ」ということにしたい。どうせこのマシンで特別なことをするわけでもないし。

Figure 1. 机の下に収まっているマシン。ゴミ箱がきたない。上には USB ゲームパッドとポータブルハブ 10Base-T が置いてある。


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