13. マイナー (1998/12/10,11)


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そろそろ書く内容がそんなにポンポン思い付かなくなってきた。

昨日、同僚Mはコンサートに行く予定だったそうだが、急に仕事が入って行けなくなってしまったようだった。不幸なことである。コンサートがある日は予め上の人に行っておけば、大抵は早く帰れるものであるが、その日はそうも行かなかったらしい。上の人が大阪に出張しており、現地でシステムの稼動を進めていたからである。彼は勤務時間中、その人からのメールを受け取っては作業をし、そしておそらくメールでソースとかを送っていたのだろう。そうして、さあ帰ろうと思って最後にメールをチェックすると、また上の人からメールが来ていて、作業を続けなくてはならなくなったりする。

それはいいとして、そのコンサートは何のコンサートだったのか、私はついに聞き出せなかった。言うのも恥ずかしいぐらいのものらしい。なんでも、バンドブームの頃に流行った一派の流れを汲むバンドらしく、いまでいえば thee Micchelle Gun Elephant が先輩と仰ぐグループらしい。それはいいとして、そもそも thee Micchelle Gun Elephant を知らない人も多いのではないか。彼によれば、そのコンサートのバンドは、50人に聞いて 2,3人しか知らないぐらいのグループらしい。

世の中には、メジャーな文化しか知らない人もいるが、マイナーな文化ばかりに傾倒する人もいる。メジャーな文化しか知らない人は、テレビを見て、彼女(彼)作って交際して、飲みに行ってカラオケ行って、コンパに騒ぎ、夏は海へ、冬は山へ、休日は仲間とドライブへ、ともかく行動様式は大体決まっている。マイナーな文化ばかりに傾倒する人は、先のようなことはほとんどせずに、本を読んだり、マイナーな番組をチェックしたり、マイナーなグッズを収集したり、ともかく他人との接点が出来にくい方向に行動する。彼らは同じ趣味を持つ人間を探している場合がほとんどだが、同じ趣味を持つ人間に出会うことは難しい。

世の中の人間は、まあメジャーな文化だけで突き進む人間とか、マイナーな文化ばかり追い求める人間とか、そういう極端な人間はそんなにいない。傾向としてどちらかに傾いていると見るべきだろう。

あなたが音楽を聴くならば、そしてほとんどの人が知らないけど自分の好きなミュージシャンがいたとすれば、マイナーな文化に傾倒する人の気持ちも分かるだろう。今回はそんなマイナーな文化についてしゃべってみたい。

クラシック音楽の曲名を知っている人は案外少ない。いかにCMで流れようと、曲名までも知っている人は少ない。ピアノとかを小さい頃に習っていた人は、それなりに分かるだろうが、大きくなってやめてしまった人も案外知らないものである。だが、クラシック自体はメジャーな文化である。これはおかしなことだ。まあ、将来マイナーになる可能性はあるが。それよりも、クラシックの流れを汲む現代音楽の方がマイナーである。現代音楽を知っている人はものすごく少ないと思う。

ガンダムの内容を知っている人は案外少ない。もちろん、ある世代のある性別の人はそれなりに詳しいものである。私の弟の話によれば、大学のバンド系のサークルの中で、ガンダムのプラモデルを持ってきた人がいて、サークル内で大受けだったらしい。そこで、私の弟も対抗して、帰りにザクのプラモデルを買って組み立てていた。私の弟はモデラーでもあるので張り切っていた。

ガンダムはマイナーではないが、バンド活動はマイナーな気がする。バンド活動をやる人がやる曲というのは、大抵は洋楽である。しかも、洋楽といっても、タイタニックとかの曲をやるわけではない。中大の学園祭では無理矢理ジャミロクワイをやっているグループがあって面白かったが、これは特殊な例である。大抵は、ほとんどの人が知らないような向こうのハードロックやメタルをやったり(日本のメタルはさらにマイナー。X Japan はれ以外だったが解散したし、なおかつあれはマイナーというよりカルトである)、うまいグループはオリジナルをやったりするが、オリジナルはマイナー中のマイナーである。バンド活動していること事体がマイナーなのだから、演奏する曲がメジャーではない限りどうしてもマイナーになってしまう。

日本の国文学もマイナーである。そんなものを読む酔狂な人間は限られている。コミケの同人誌もマイナーである。誰も知らないような古い漫画やカルトな漫画もマイナーである。

ゲームはどうだろうか。最近プレステが流行ってテレビCMとかたくさんやっているが、やはりやっている人間はマイナーな文化としてやっている気がする。ゲーム雑誌を読むと、ゲームはさもメジャーなように書かれているが、まだまだ熟していない。

アンアンというファッション誌はどうだろう。これは微妙なところだ。このファッション誌に影響を受けた人間はメジャー文化志向の人が多いが、この雑誌を読んでいる人間は多分少ない。たとえその雑誌がメジャー志向だとしても、その雑誌自体がマイナーであれば判断は難しい。

サーフィンもマイナーだろう。やっている人間はメジャーっぽいのだが、やること自体がマイナーである。

何を言いたいのか分からなくなってきた。

マイナーは寒い。サーフィンやっている、などと言う人がいると格好よく聞こえるが、キムタクとかがやるからメジャーなのであって、普通の人がやると、彼らだけのコミュニティしか成立しないのでやっぱりマイナーになる。そして、それを部外者が見ると、やっぱりちょっと寒い。飲みの席で話が出ると、ちょっと格好いい気はするが、でも誰もその話に参加できないのでやっぱり寒い。

でも、マイナーは面白い。人にはそれぞれ好みがあって、色々とマイナーな楽しみを見つけている。だが、他人と共有しにくいし、共有できる集団は孤立している。

メジャーも面白い。飲みやカラオケで初対面の人とも仲良くできる。おいしいものを食べに行くのもいい。スキーも楽しい。

普段自分がなにげなく楽しんでいるものを分析してみると、このように「大体の人と話しを共有できるもの」と「一部の人としか話しが合わないもの」に分けることが出来る。分けてどうというものではないが、何か物悲しい感じがするのはなぜだろうか。


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gomi@din.or.jp