129. ファイナルファンタジーXI (2002/12/19)


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環境がきつかった PlayStation2 でのリリース後、間隔があいたがようやく Windows 版が 2002/11/7 に発売された。私がこれを書いているのは 2002/12/9-19 なので一ヶ月がたつ。私の生活の中心は完全にこのファイナルファンタジーXI になってしまった。そこで、ゲームの紹介からこの一ヶ月のことまでをまとめて書くことにする。

■MMORPG

ファイナルファンタジーXI は MMORPG と呼ばれるジャンルの一つだ。Massive Multiplayer Online Role Playing Game の略で、日本語訳すると大規模多人数通信役柄演技遊戯。いやここまで訳さなくていいか。ネットワーク上にある仮想世界一つに、数千人ぐらいのプレイヤーが自分の分身を持ち、その世界の住民として振る舞って遊ぶゲームだ。

一般の RPG の系譜をひいているので、戦闘が主体のゲームになっている。ただし謎解きも多い。一人でやる RPG の場合、どうしても詰まったら攻略本や攻略サイトを見ればいいが、このゲームでは大勢のプレイヤーがいるので、その世界の住人に訊いたりできる。それが面白い。むしろこの世界や出来事を話題にしてチャットするゲームなんだと言い切る人もいる。

MMORPG の元祖はウルティマオンラインだ、と前に書いたら、スラッシュドットジャパンというコミュニティでそれは違うと突っ込みが入った。どうやら元祖は他にあるようだ。メモってないので忘れてしまったが、ほとんど知られていない名前だった。ウルティマオンラインが元祖だと言ったのを訂正する。

■系譜

ファイナルファンタジーXI は、噂を集めてみると、EverQuest の系譜をひいているらしい。私はこの EverQuest というゲームを知ってはいるがやったことがないのでよくわからない。比較記事が読みたければ他を当たってほしい。

なんでも中心開発者の何人かが EverQuest のファンらしい。ちなみに EverQuest 自体はソニー系が買収したらしい。オンラインゲームは採算がそんなに思ったほどではないようで、相乗効果を狙った戦略という以上に思い入れで買ったような気がする。

EverQuest の特徴は、ウルティマオンラインが疑似3Dもっと詳しく言うとクォータービューつまり斜め上方から見下ろした視点固定だったのに対して、EverQuest は完全な3Dだということ。私は実際にプレイするまでは、疑似3Dだろうと完全な3Dだろうと大した違いはないものと思っていたが、実際にプレイしてみると完全な3Dの方が世界への没入感が全然違う。操作しづらいかと思いきや、キーボードのテンキーで移動しカーソルキーで視点を変えるという操作さえ覚えれば、動きたいように動きながら見たいものを見れるようになる。

■必要ハード

ファイナルファンタジーXI for Windows は、その必要環境の高さが発売前から話題となっていた。この手のゲームでは、必要環境は意味をなさず、推奨環境こそが事実上の最低水準だとする見方が支配的だ。そこで推奨環境を見ると、Pentium 4 の 2.0GHz 以上だとか、GeForce4 Ti シリーズ以上、などという文句が並んでいる。

最近ハード関係の文章を書いていないので私のハードは随分変わっているのだが、この時点での私のハードは Athlon MP 2000+ と Xabre 400 だった。

スクエアはわざわざベンチマークソフトを用意してくれていて、ゲームが出る前にダウンロードできるようにしていて、自分のマシンがゲーム可能かどうかを計る目安が分かるようになっている。私のマシンのスコアは 2000くらいだった。スコアは、1500以下だとプレイ不可、3000以下だとプレイ可能、4000以下だと快適にプレイ可能、それ以上だとバンプマッピングも OK らしい。もちろん単なる目安なので動作保証はしていない。まあ、一応プレイ可だけどちょっとキツいだろうね、といったところだろうか。その後、常駐ソフト類を切ったら 2800くらいにまで上がった。

話の順序は変わるが、このゲームは面白いということが分かり、ハマってきてしまったので、結局ビデオカードを買い換えた。Albertron という新興メーカーの GeForce4 Ti4200 128MB をソフマップで 19,800円で購入。改めて計測してみると、4800 になっていた。これなら余裕だろう。ただし、キャラクター数が多い場所に行ったり、荒れた天気で砂が舞っていたりすると、もたついたりする。

■プレイ前

ゲームは四枚組で、インストールだけでも結構時間がかかった。なおかつネットワーク経由でバージョンアップが行われる。この手のオンラインゲームは、問題が起きたときや新趣向を追加したりするときに、ネットワーク経由で自動的にゲームソフトが更新される。だから初回にプレイするときは随分長く待たされるのが常だ。

準備が終わったら、自分の分身であるキャラクターを作らなければならない。まず種族。多分人間と小人は選ぶ人が多そうだなということで回避。残るは耳の長いエルフもどきとメスオンリーの猫人間とオスオンリーの巨人。巨人はナシだろう、と前々から思っていたのだが、いざ自分がプレイしようという段になると、いやこれって逆にアリかも、と翻身して選んでしまった。

巨人を選んでしまったので、もう武闘派のジョブを選ぶしかあるまい。戦士かモンクしかない。モンクは格闘のプロだが、装備が限られる。戦士は装備に金が掛かりそうだけどゴテゴテ色々装備できるのだろう。というわけで戦士を選んだ。

所属国も選ばなければならない。この世界には四つの国があり、そのうち三つの国から祖国を選ぶ。人間と巨人の工業国が一つ、エルフもどきの騎士の国が一つ、そして小人と猫人間の魔法の国が一つ。私はシャレで、巨人が小人と猫人間の国にいたら面白いだろうと考えて、ウィンダスという魔法の国を選んだ。

世界選択では、その時点で一番新しい Cerberus にした。なんと世界は現時点で 22個もあるそうだ。あんまり人口を多くすると、サーバマシンの構築や維持管理が大変になるし、ゲームとしても世界が広くなくては人口過密になってしまうからだろう。ウルティマオンラインがせいぜい日本だけで 6つ7つだったのと比べると、かなり多い印象がある。これだと、いくら他の場所で「ファイナルファンタジーXIやってます」という人に出会っても、違う世界の住民である可能性が高くなってしまい、交流できないと考えた方がいい。まあ現実世界での出会いよりもゲーム世界での交遊のほうが重要なので、いったん仲間ができるとそんなことはどうでもいい問題になる。

■初日

オープニングムービーが美しい。相変わらずスクエアのグラフィックスはきれいだ。いま思い返してみると、本編とはほとんど関係ない映像で、単に現在の世界の背景となった過去の獣人との戦争を描いただけだ。各種族の兵士たちが戦っている様子は確かに世界観をよく描いているが、ゲーム本編が始まると一介の冒険者としてこれからの話が語られる。

とにかくマップが広いように感じた。これまでのファイナルファンタジーの街の比ではない。それから人も多いので、街の全員に話しかけて回るだけでも多分三時間は掛かるんじゃないかと思う。街は四つの区画に分かれており、境界をまたがるときだけ読み込みがあって待たされる。

ちなみに私はファイナルファンタジーX はやったことがないので、これまでのファイナルファンタジーと言ったときは IX までのことを言っていると考えてほしい。

適当に街の人々と話しているうちに、とりあえず一度戦闘をしてみたい、と街の外へ出た。プレイヤーキャラクターがまばらにいて、戦闘していたりする。敵がいないので、少し遠くに行ってみた。ちょっと記憶があいまいなのだが、最初の戦闘は負けてやられたんだと思う。二回か三回ぐらいやられた。とても勝てない。

そのうち、もうレベル7 の戦士の人と少し仲良くなったので色々訊いてみた。どうやら街を離れると敵が強くなるらしい。それと、街の近くの弱い敵は、今晩からはじめる人たちのあいだで競争になっていて、敵が出現したらすぐに戦って倒してしまうので、ほとんど見かけないのだった。

敵と戦う前に敵を調べなくてはいけない、ということを教えてくれた。敵を調べると、敵の強さに関するメッセージが出てくる。「丁度よい」だとか「楽々」とか「自分と同じくらいの強さ」とか「とてもとても強そうだ」なんていう風に出るので、それを目安に攻撃するか逃げるかする。

■戦闘システム

このゲーム、誰か他の人が戦っているモンスターと戦うことは原則できない。ウルティマオンラインの場合、誰でも一つの敵と戦えて、確か最も多くダメージを与えた人が、そのモンスターの持っていたアイテムやらお金やらを獲得する権利を得られたんだったと覚えている。どっちのゲームも敵の取り合いが起きるのだが、ファイナルファンタジーXI の場合は最初に攻撃したプレイヤーが戦う権利を得られる。多分 EverQuest も同じシステムをとっていて、それを FA (First Attack) と呼ぶらしい。2ちゃんねる用語の FA (Final Answer) ではない。ちなみに同じ系統のゲームのせいか、EverQuest で使われていた用語がそのままファイナルファンタジーXI にもってこられたりしているみたいだ。一番有名なのが「トレイン」で、複数の敵に追いかけられて電車ごっこみたいになっている状態を指すらしい。

戦闘システムはオートバトルになっている。戦士の場合、攻撃モードに入ると、相手が攻撃範囲にいたら自動的に武器を振り上げて戦ってくれる。魔法使いの場合、使う魔法を選択して、対象を選択する。

敵にはアクティブなものとそうでないものがある。アクティブでない敵は、すぐ横を素通りしても襲ってこない。アクティブな敵は、近くに寄ってきたものに対して気がついたら攻撃してくる。序盤のフィールドには、街のまわりには非アクティブな敵しかいないので、いくら歩いても平気だ。ちょっと離れると、アクティブな獣人がいて、襲ってくる。敵はフィールド上をのたりのたりと動いている。可視なので、見つけたら戦いを挑むことができる。倒しても、そのうちまたフィールド上に出現する。これを「敵が沸く」と言う。

敵と戦って勝つと経験値がもらえる。経験値がたまると、そのうちレベルアップする。一つレベルアップすると明らかに強くなる。このへんはいままでのファイナルファンタジーと同じだ。レベルアップしていくと、まわりの敵が相対的に弱くなって、経験値があまりもらえなくなっていく。

この世界は何個ものフィールドで構成されている。一つのフィールドには、雑魚モンスターからヌシのようなモンスターまでいる。ただし、同一のフィールドには限られた範囲のレベルでしか適正で戦えないようになっている。たとえば、最初の街の周りにあるフィールドは、レベルが 15 くらいになると、ごくまれに出現する特殊なモンスター以外はどの敵を倒してもほぼ経験値がもらえなくなる。経験値が入っても 12 とかしかもらえない。

敵を倒したときに得られる経験値は、自分と同じくらいの強さの敵が 100、丁度いいくらいの敵が 50 か 72 くらいだ。レベル1 のキャラクターが 2 になるために必要な経験値は 500 だ。以下、レベルが上がるごとに必要経験値が増えていき、いま私のキャラクターのレベルは 20 なのだが確か 4600 ぐらい稼がなければ次のレベルに上がれない。大体 250 刻みだろうか。いままでに獲得した経験値、といった概念はなく、次のレベルまであとどのくらい、という表示になっている。

それから、敵にやられたら経験値が下がる。必要経験値の一割が減ってしまう。さっきの私の例の場合、たおされたら 460 減る。マイナスになったらなんとレベルダウンする。ただしレベル3以下は適用外なので何度たおされても平気だ。

■ジョブ

さきほどレベルという言い方をしたが、正確にはジョブレベルと呼ぶ。ファイナルファンタジーXI は、ファイナルファンタジーV で導入されたジョブチェンジの概念を受け継いでいる。自分の家に帰れば好きなようにジョブチェンジできる。ただし、それぞれのジョブでレベルと経験値があるので、いくら戦士のジョブレベルを高くしても、はじめて黒魔導師にジョブチェンジしたときはジョブレベルが 1 になり、ゲーム開始直後と同じ強さになってしまう。

こうまでしてジョブチェンジする必要はあるのかというと、これがサポートジョブと呼ばれるシステムによって成立しているのだ。ある条件を満たすと、サポートジョブという副業を設定できるようになる。ただし、サポートジョブに設定したジョブも、レベルによって副業として発揮できる力が決まるので、サポートジョブにするジョブのレベルも上げた方がいいのだ。

それから、メインジョブのレベルがある程度まで上がって条件を満たすことで初めてジョブチェンジできるようになるジョブもある。これらのジョブのことをエクストラジョブと呼ぶ。ナイトや暗黒騎士なんかがこれにになる。

これらのシステムがあるおかげで、ゲームの世界が進んでも高レベルのキャラクターがあふれないで済んでいる。たとえばこれまでの普通のファイナルファンタジーだと、50時間もあればレベル40以上いって最後のボスを倒して終わりだ。これと同じような感覚で考えると、生まれてから長いことたった世界では、高レベルなキャラクターだけがあふれかえるようになりそうなものだ。しかし現実には、まず最短でレベル18 以上でサポートジョブを身につけられるので、そこから一旦他のジョブのレベル上げをすることになる。それから最短でレベル30 以上でエクストラジョブにチェンジできるようになるので、そこからまたエクストラジョブのレベルを上げるようになる。さらに自分が上げたエクストラジョブが気に入らなければ他のジョブになってまたレベルを上げ直したりすることになるので、普通にプレイしていればレベル1 から数十までを何回か行き来することになる。高レベルのレベル上げはドラゴンクエストII以上に大変なので、レベル上げだけでもかなり長いことやらなければならない。

■ミッションとクエストとパーティ

もちろんこのゲームは敵と戦うだけのゲームではない。自分の所属する国から指示を受けてこなしていくミッションと、街の人々の頼みを聞いていくクエストがある。

ミッションもクエストもやることは似ているのだが、ミッションは自分の国での地位を得るためなのに対して、クエストは街の人々を助けるためだ。クエストによって名誉を得ると街でモノが安く買えるようになる。ミッションで地位が上がると特別な計らいを受けたりできる。ただし、どちらもこなすにはレベルと装備が必要だ。

ネットワークゲームなので、他のプレイヤーのキャラクターとパーティを組むことができる。最大で六人までパーティを組める。パーティを組んでみんなでモンスターと戦うと楽だ。みんなでボコボコにしてしまえるので、とても強いモンスターとでも渡り合うことができる。経験値は分け合うことになるので、普通のモンスターを倒しただけだと 9 ぐらいしか経験値がもらえなかったりするのだが、とてもとても強いモンスターを倒すと 200 ももらえることがある。だから、パーティを組むと、難しいミッションやクエストでも比較的低レベルで攻略できる。ミッションやクエストの多くは、敵が強い場所に行って何かを取ってくるというものが多いので、一人よりもパーティのほうが強力だ。そうやって手にしたお金やアイテムで早くから装備を整えると、今度は一人で戦うときにも楽になっていい。ただしこのゲーム、レベルが 5つぐらい上がると、六人パーティで普通に戦える敵と一人で戦えるようになってしまう。

ちなみに、異なるレベルの人が一緒にパーティを組むと、パーティ全体の基準獲得経験値はその中で一番高いレベルの人に合わせられる。一番レベルの高い人はその分をそのまま受け取れるが、レベルが一つ下の人はもらえる経験値が 3 低くなる。だから、レベル差が 3つも開くと 9 低くなり、場合によってはもらえないこともある。だから、最大でもレベル差は 3つまでという暗黙の決まりがある。このあたりは、それまでのファイナルファンタジーやドラゴンクエストのシステムとは異なる点だ。もしこのシステムが無ければ、レベル1 の人がゲームをはじめて、高レベルの人たちと一緒にパーティを組んでいきなりものすごい敵と戦い、どんどんレベルアップしてしまうという現象が起きてしまうからだろう。

■初パーティ

私が初めてパーティを組んだのはたしかレベルが 4 か 5 ぐらいのときだった。ミッションを攻略するために一人で塔に飛びこんでいったのだが、中には敵がウヨウヨいる。一匹一匹の敵は一人でも対処できるのだが、二匹以上と同時に戦うことはできない。そこで、なんとか一匹ずつ倒す作戦をとるしかないのだが、敵が多くてはいつまでもくっついていて各個撃破ができない。

ふとあたりを見回すと、二人の小人がいた。このままではどうしようもないので話しかけてみた。その二人も、一人では無理なのでさきほどパーティを組んだばかりだという。そこで私も入れてもらい、三人パーティになった。こうなるとゴブリンはものの数ではない。二匹か三匹かたまっているところに突っ込んでいき一匹ずつボコって倒した。そして指示通りの作業をこなして無事目的を達成したのだった。このまま二番目のミッションも攻略しようということになって、次も順当に終わり、最後は塔の前で記念撮影をして別れた。そのうちの一人とはいまも親交が続いている。

それからしばらくして三番目のミッションの攻略の攻略にも行った。今度は、マップをよく知っているという人がいて、その人をリーダーにしてついていった。このときのパーティは、街の門の前で募集かけていた人に参加させてもらう形で組んだような記憶がある。リーダーは別の世界で既に遊んだことのある人で、最近 Windows 版が出てから生まれた新しいこの世界に新たにキャラクターを作った人だった。だから安心してついていったのだが、道に迷って奥深くに行ってしまい、最後は日本刀を持った獣人にやられて全滅してしまった。

その次のミッションは、攻略するにはもっと高いレベルが必要なので、しばらく一人でプレイしてた。

レベル10 までは、経験値をためるには一人でやったほうが効率がいい。それ以上になると、パーティを組んで強い敵を倒した方が効率がよくなる。特に、白魔導師はレベル11 になると中級回復魔法のケアルIIを覚えるので、ここから強い敵とあたっても大丈夫になることが大きい。

ちなみにファイナルファンタジーシリーズをやったことのある人だけに解説すると、ケアルの次がなぜケアルラじゃなくてなぜケアルIIなのかというと、語尾の「ラ」とか「ガ」に特殊な意味を持たせるためだろう。ケアルガはあるがケアルラはない。その代わり、「ラ」は補助魔法系の集団魔法につくようになっているみたいだ。

■経験値稼ぎパーティと人気ジョブ

経験をためることが目的のパーティは、ギリギリの敵と戦うほど効率がよいので、パーティの編成からレベルから条件が厳しくなる。さきほど述べたように、成員のレベル差は最大でも 3つが限度だ。それから、それより厳しいのがジョブの偏りを避けることだ。回復魔法が使える白魔導師が一人か二人は必ず必要になる。それから経験値をたくさんくれる強い敵には直接攻撃よりも魔法のほうが効くので、黒魔導師が一人か二人が必要になる。あとはこれらを守れる肉の壁となる戦士系が一人か二人。エクストラジョブを除いて一番理想的なパーティは、恐らく戦士二人に白魔導師二人に黒魔導師二人だと思う。もちろん敵にもよる。戦士は「挑発」という敵の目を自分に向けるコマンドが使えるので、魔導師がいるパーティには欠かせない。

レベルが近くてなおかつジョブの組み合わせという条件もあるので、パーティに欠員があると探すのに苦労することがある。特に白魔導師は不可欠でかつ常に不足気味みたいだ。というか、最初にパーティを組むときに白魔導師から探さなければいけない。

パーティのメンバーを探すためのシステムというものが存在する。一つは、パーティ参加希望マークを出すことができること。このマークを出している人を探して勧誘する。もう一つは、同じエリアにいる人を検索する方法だ。検索すると、ジョブレベルと種族と名前が羅列されるので、既にどこかのパーティに所属している人を除いて勧誘することができる。

人が少ない時は、街の近くでのんびりしているときにいきなり交信が飛んでくることがある。このゲームでは、普通に声を出すと周辺に聞こえるだけだが、名前の分かっている特定の人に対してだけ声を届けることもできる。相手がどこにいようと、ゲームの世界のなかにいれば交信できるのだ。狩場から街の近くのエリアをサーチして、経験値をためたいから一緒にやらないか、どこそこへ来てくれ、とやる人もいる。

パーティに誘われにくいジョブというのもある。シーフが一番誘われにくいらしい。モンスターが落とすアイテムを目当てにするときはとたんに人気が出るのだが、それはシーフの特殊能力「トレジャーハント」が敵のアイテムを落とす率を高くするからだ。

編成による難が起きることもある。直接攻撃には連携というシステムがあり、このシステムを使えばうまく敵にダメージを与えることができる。しかし、特定の技を組み合わせなければならない。戦士の場合、武器を数種類持てるので、武器によって技が違うので技も使い分けることができる。しかしモンクは格闘武器しか使えないので、出す技が限られてくる。それなので、戦士が二人いるとパーティの効率は上がるが、モンクが二人いると効率が下がる。赤魔導師は片手剣と短剣ぐらいしか使えないので、戦士は片手剣を使って合わせることができないので、違う武器を使わなければならなくなる。

武器の種類によって熟練度が設定されている。熟練度が高くなければ武器の攻撃力や命中率は落ちてしまうので、武器を使い分けるためにはそれぞれ使い回さなければならない。熟練度はレベルによって縛りが掛かるので、低いレベルのうちは一定の値までしか習熟できないようになっている一方で、いったん高いレベルになっておくと楽勝で勝てる相手と戦うことで熟練度があがっていく。

パーティを組む必然性があり、パーティを組みやすいようシステムが整っているので、このゲームでは人と人との交流が活発になりやすい。レベルを 5つぐらい上げれば、パーティを組まなくても一人でできてしまうのだが、パーティを組んだ方が経験値やお金が入りやすい。

私がウルティマオンラインをやっていたときは、ほとんど一人で行動していた。人を集めるためのシステムがなく、また人が集まってもダンジョン観光や金稼ぎや宝探しぐらいしかない。固定メンバーが揃ったときに出掛ければいいので、その場その場で見知らぬ人と一緒にやることがほとんどない。

■合成

戦闘以外に、このゲームではなんとアイテムを作ることができる。ポーションなどの使用アイテムだけでなく、装備品も家具も食べ物も作れる。これらを総称して合成と呼ぶ。

合成には必ずクリスタルが必要になる。クリスタルには属性に応じて何種類かあり、それぞれの色のクリスタルにはそれぞれの機能がある。たとえば風は掘削、炎は燃焼などなど。クリスタルを一個使い、材料を加工するのだ。

合成には分野があり、それぞれにスキルが設定されている。はじめのうちは低いスキルしか持っていないので、大したものは作れない。そのうち色々なものが作れるようになり、自分で使ったり装備したり、他の人に売ってお金儲けをしたりできるようになる。

合成に必要となるクリスタルは、敵を倒して得るしかない。他の材料は店でも売っているものがあるが、クリスタルだけは敵から奪わなければいけない。しかも、自分にとって弱すぎる敵からは取得できない。だから、レベルの高いプレイヤーがクリスタルを独占することはなく、強い人も弱い人もクリスタルは平等に敵からもらえる。ただし、クリスタルを競売に出すことができるので、弱い人は自分が獲得したクリスタルを自分で使わずに競売に出すことにより、お金持ちの強い人が高値で買ってくれたりする。このあたりがうまいことできているので、どんな人でも最低限の合成をやることにメリットがある。

■エリア・リージョン

フィールドの最小単位をエリアと呼ぶ。エリアとは、読み込みなどの待ち時間なく連続して歩行できる範囲である。エリアがあつまって街やダンジョンを構成したりする。さらに、それらが集まってリージョンつまり地域とよばれる単位になる。リージョンは戦略単位であり、ゲーム内の三ヶ国が支配を争っている。自分の所属している国がリージョンを支配していると、その地域に自国のガードが配置され、色々と便宜を受けられる。

エリアはほどよく広い。最初は途方もなく広く感じたが、えっちらおっちら歩いているうちに、このスケール感はよく考えられているなと感心するしかない。一つのエリアを通りすぎるのに最大で6時間ぐらい掛かったりする。ゲーム内での 24時間がちょうど現実での 1時間になるので、一つのエリアを抜けるのに歩いて 5〜15分ぐらい掛かる。チョコボに乗るとかなり早く移動できるが、それでも自分で操縦しなければいけない。レベルが上がってくると、自分のレベルにあわせた最適な狩場まで移動しなければならない。この時間は長すぎず短すぎず、実によくできている。

■雑感

もう体系的に語るべき内容は語り尽くしたので、細々とした雑感を書くことにする。

▼これはファイナルファンタジーなのか?

魔法の名前とか、チョコボや飛空挺、ボムなど一部の印象深い敵なんかを見ると、これはファイナルファンタジーシリーズなんだと思うことができる。しかし、このゲームがファイナルファンタジーシリーズだとは到底思えない。

まず住民からして違う。小人のタルタル、巨人のガルカ、猫人間のミスラ、エルフもどきのエルヴァーン。これらの亜人間に、いままでのファイナルファンタジーの要素が少しでもあるだろうか?

おなじみのアイテムが全然身近にない。たとえばポーション。99個常備が常だったのに、よっぽどの金持ちでないかぎり常備しようと思えないほどの値段に設定されている。ポーションがなければどうやって回復すればいいのかというと、ヒーリングという動作を行って地面にうずくまっていれば、HPもMPも自然回復するのだ。武器や防具の名前にもまったく懐かしみがない。まあよくよく調べてみると、これまでのシリーズに登場していた装備品があったりする。

▼廃人、β厨

2ちゃんねる系の掲示板を読んでいると、廃人だとかβ厨なんて呼ばれる人々が非難されている。

廃人というのは要するに現実世界をうっちゃってゲームだけを延々とやりつづけている人のことだ。それだけゲームするのだから、経験値をかなり稼いでいてとにかくレベルが高い。合成スキルを上げている人もいる。あいつレベル高いから廃人だ、などのように妬み半分で囃す言葉となっている。

廃人だからと非難するのは、特に合成スキルの高い人に対するいらだちがあるのだろう。合成スキルが高ければ高いほど、あとに続く人が儲けにくくなってしまう。ジョブレベルの高い人を非難するのは、狩場を荒らされるからだろう。私が見た限りでは、非難する側により多くの問題があるように思う。2ちゃんねるだけあって、匿名でこいつむかつくとキャラクタ名を晒して、みんなで叩いたりしている。ごく一部本当にたちの悪い人もいるみたいで、そういう人はまた別枠で叩かれている。こちらのほうはスクリーンショットによる証拠があって分かりやすい。しかし大抵の場合、自分が一番になれないことによる嫉妬に突き動かされているのだろう。

β厨というのは、β版をモニタとしてプレイしていた人、つまり商品となる前のゲームを公募によりテストプレイしていた人たちの中で、自分が色々物知りだということを自慢したがる人たちのことを言う。初めてプレイする人が、βではこれこれこうだったんだよ、などとしつこく聞かされてはたまらない。ゲームのドキドキも減るし興もなくなる。

私はいわゆるβ厨と呼べるような人と一度だけパーティを組んだ。一度だけ短時間だけだったのでそれほどでもなかったが、なるほどこれは嫌われそうだなと思った。私たちにとっては未知のダンジョンを、まるで我が庭のように案内してまわり、ボスが出現したときも「いま沸いたって」などと日常作業のような表現で伝え、みんなでボコボコ叩きまくってあっさり終了。

かく言う私も、人より先に進んだ部分もあり、人より多くの知識を持っている部分もあるので、それを得意気になって開陳していることもあるかもしれない。なるべく、伝聞であることを断ったり、あいまいな表現にしたりしているが、不愉快に思っている人がいるかもしれない。そのあたりは難しいところだろう。

▼ゲーム世界の日常

このゲームの何が面白いかって、ゲームの中の世界にある日常が面白いのだ。

一人用の RPG では、次のシナリオに進むだとか、新たな街に足を運ぶだとか、装備を新しく買い換えるとか、ボスと戦って勝つとか、ストーリーを進行させるとか、そんなことが楽しみなはずだ。これらの要素はこのファイナルファンタジーXI にもある。しかし、このゲームの楽しいところは、同じ世界の仲間との会話にある。単に装備を買い換えたときでも、買った瞬間よりも、仲間に「さっきバトルアックス買っちゃった」と言って反応が返ってくる瞬間の方が楽しい。

競売場があるので、各アイテムの相場は常に動く。装備品だったら、欲しいものを安いときに買い、自分がそれまで着ていたものを高いときに売ると得をする。こういう相場の状態というのも、プレイヤー間で格好の会話ネタとなる。

▼サーバ負荷

現在、競売システムの負荷が高く、プレイヤーの不満がたまっている。スクウェアはこれを問題とし、先週末にメンテナンスを行ったそうだが、いまだに事態はよくなっていない。ほかの負荷はうまいこと回避しているようで、ウルティマオンラインに見られた深刻なラグ(処理がもたついて一瞬固まる)は発生していないようだが、競売場のまえで文句を言う人が絶えない。

▼合成システム設計不良

正直、合成システムは明らかに大味に設計されているように思う。特に、通称「分解祭り」と呼ばれる三四日間で、明らかな設計ミスにより大量のお金を稼いだプレイヤーが沢山現れたらしい。これを気にゲームをやめると叫ぶ人が 2ちゃんねる系の掲示板で沢山見られた。緊急メンテナンスにより大量に金を稼ぐことは不可能になったが、巻き戻しつまり変更前の時点まで時間を戻すよう希望する声が多く出た。まあ実際にゲームをやめた人がどれだけいたかは知らないが、多くの人が不満に思ったことは確かだろう。幸いなことに私がプレイしているサーバでは、この祭りに参加できるほど合成スキルの高い人がほとんどいなかったので、さして問題にはならなかった。

▼モグハウス

ウルティマオンラインの場合、屋外のフィールドで特定の条件さえ満たせば好きなように自分の家を建てることができた。普通にいろんなプレイヤーが通る場所に家を建てられるというシステム自体は非常に素晴らしいものだったが、空いているスペースに家が乱立しまくって通行の邪魔となったり、土地の争奪戦となり土地に高額の値段までついて家の入手が困難になったり、飾りつけされた家がネットワークに負荷を与えたりと、色々な問題があった。

ファイナルファンタジーXI では、プレイヤーキャラクターは家を持つことはできるのだが、マンションのような共同住宅みたいなものになった。居住区と呼ばれる入り口があり、そこに入るとそれぞれの部屋に即座に案内される形となる。家を買う金も必要なく、全員が平等に同じ形の家を持つので、問題はまったくない。しかし、所有の喜びは少ない。珍しい家具を買ってきて自分の家に設置しても、それを見ることができるのは自分だけだ。他人の家に招かれるということはない。また、街に近い高額物件を所有する喜び、といったものもない。まあそのような喜びがあるとしても、現実世界と同様に一部の限られた人間だけが得られるものだが、つくづく幸福感とは相対的なものであることに気づかされる。

▼寝マクロ

普通のネットワークゲームでは、不在での自動制御は禁止されている。不在での自動制御とは、プレイヤーが外出したり就寝しているときでも、ゲームの操作をなんらかの形で自動で行えるようにした状態のことだ。これを認めてしまうと、ゲームのサーバが重くなってしまうからだ。普通にプレイしていれば一日二時間からせいぜい八時間程度の負荷を想定していればいいが、24時間プレイしっぱなしの人がいると一人で数人分の負荷が掛かることを前提に設備投資しなければならなくなる。これをやる人とやらない人との間で差がつき、料金の面で不公平が生じるというのも考えられるだろう。

ところが、現在のファイナルファンタジーXI では、不在での自動制御、通称「寝マクロ」は、まったく禁止されていない。これにより、自動で魚釣りをしたり、自動で採掘したりする人がいるそうだ。何もしなくても放っておいただけで魚や鉱石なんかが手に入る。魚や鉱石なんかにはあらかじめ採れる量が決まっているので、自動で採っている人がいるとその場所ではほとんど何も採れなくなる。普通にゲームをしている人の間で不満が起こっている。

こういった状況をスクウェアは静観しているが、単に運営の仕方が悪いだけなのか、あまり当たり障りのあるような制限はしたくないのか、よくわからない。ウルティマオンラインなんかでは、このような不在での自動制御は、繰り返せばアカウント停止となることもある。つまり契約解除だ。

■これから

このゲームは、2002年12月17日現在の時点でまだまだ発展する予定らしい。大体一ヶ月ごとにまとまった更新が入る。私がプレイしている期間中でも既に大きな変更が入り、戦闘のコツを変えるほどのシステム変更が入った。これからもまだまだ変わっていくだろう。これらの更新が入っても基本的には基本料金しか掛からない。スクウェアにとっては、いかに飽きさせずに更新を加えていくかがこれからの勝負となるだろう。

また、拡張ディスクも予告されている。三カ月後くらいに発売され、新たな世界が広がるらしい。基本料金に加え、また金を払わされるのは正直納得できない面もあるが、とにかく私の現在の生活の中心になるほど楽しませてもらっているゲームなので、多少の出費ぐらいなんてことはない。


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