1999年5月25日 匿名希望:スペイン留学生
異国!初心者は国境を越えて
私は今スペインで、何を思ったかコンピュータのプログラムの学校に通っています。
私もまだコンピュータのことはよく分かりませんが、私のクラスメイトの女の人にはただただ驚くばかり。
彼女は本当に全くの初心者で、今までパソコンを触ったこともないという状態でコンピュータのプログラムのコースを始めたという、何だかよく分からない強者なんです。
もうコースが始まって6ヶ月にもなるのに、訳の分からないことをいたいけな外人の私に質問してきて、困らせてくれます。
この前も、ファイル保存ができないと大騒ぎなので、一緒に学校でファイル保存をしてあげました。
それはアクセスのファイルでした。
で、何日後かに私に電話をしてきて、
「あなた、確かにアクセスのファイル保存してくれたわよね。失敗していないわよね」
ときたもんだ。
失礼な、ファイル保存くらいできるわよ、あんたと一緒にしないで。
とむっとしたが、一応愛想のいい日本人。
「うん、確かにしたよ」
「でも、おかしいのよ。またファイルがどこかに行っちゃったのよ。家でどうしても開けないの」
「・・・あのさぁ、家のパソコンにアクセス入ってる?」
「あ」
確か何ヶ月か前に「アクセスはインストールしないと、あんたんちのパソコンには存在しない」ときちんと教えたぞ。いい加減にしてくれ。
とぶつぶつ怒っていたら、昨日も電話がかかってきて、
「私のソフトがおかしいの」
おかしいのはあんたじゃないのかと思いつつ、「何?」と尋ねると、また訳の分からないことを言われて(スペイン語がよく分からないのと、彼女の思考回路が理解できないのが相乗効果をなしている)、面倒くさいので、
「もいっぺんインストールし直したら?」
とアドバイスしてあげると、「え?」と受話器の向こうで凍っている。
「そんなことできない」
「は?」
「どうやるの?」
自分で考えてくれ。外人に聞くな。インストールなんて大体何でも似たようなもんだろ。
そんな彼女は、先生に勉強の相談に行って、
「来年度ももう一度このコースを繰り返せば大丈夫。分かるようになるよ」
と言われて、
「私はバカじゃないのよ」
と、とても怒っていた。
そして、その後、
「私は勉強したら、コンピュータはできるようになるんだけど、私の才能は他の方面に向いているのよ。だから来年度は多分続けないわ」
と私に力説していた。
じゃ、早く勉強してファイル保存ぐらい覚えてくれ。後1ヶ月でコースは終わるぞ。
とにかく何でもいいから早く解放されたい私でした。
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