2004年10月30日 Sazzi [URL]
配布!無料のはずなのに
2、3年前の8月下旬、ある日曜日のことです。
まだ残暑厳しい某駅前で、私は午前中から夕方まで数人の仲間達と駅前でうちわ配りのアルバイトに励んでおりました。
うちわといっても、駅近くにあるモデルルームへの地図と案内が絵柄の代わりに書かれているという、要するに不動産の宣伝なのですが。
私たちは、
・白いサンバイザーに白いミニスカート
・黄色いTシャツ
という格好で、駅前を行き交う人々に笑顔でうちわを配りました。
「うちわ、どうぞお持ちになってください」
私は7月の初めから、毎週土日にはそのアルバイトをやっていました。
暑い夏の盛りにうちわを配り、人に喜ばれるという仕事は、人の冷たさを知り心がすさむだけのチラシ配りとは比べ物にならないほどやりがいがありました。
だけど・・・その日だけは何か違ったのです。
うちわを手にしてくれたあと、バッグから財布を出して小銭を渡そうとしてくる人や、
「お金は要らないの?」
と尋ねる人が数人。特にお年寄り。
そして「お金は要りませんよ」と答えると・・・
なぜか怪訝そうな顔で去っていく・・・
私は仲間達と「何でだろうね?」と不思議がりながらも、何とか仕事を終えました。
実際、私が知る限りはその日まで、無料で配っているうちわにお金が要ると勘違いする人はいなかったものですから。
しかし!
自宅へ帰り、テレビを点けた瞬間に謎が解けました。
画面には大勢の黄色いTシャツを着た芸能人が並び、その中で徳光和夫氏が涙をぬぐっている。
そしてオーケストラの演奏が始まり、みんなが歌いだした歌は「サライ」。
そっかあ、私たちは募金を集めるためにうちわを配っていると勘違いされたのね。
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