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示談の知識
示談が成立するのはどの時点?
示談書の効力
示談書の内容
示談が無効等となる場合
示談交渉および示談の時機
後遺障害が予想される場合の示談の時機
示談するときの注意
時効
時効の中断
示談が成立するのはどの時点?
     示談は、当事者がお互いに譲歩してそれまでの紛争に終止符を打ち、全てを円満に解決させるための取引です。いわゆる裁判外の和解契約といわれています。示談は口頭(口約束)であっても、事実そのものとしては法的な効力を持ちますので、お互いが合意に至った時点で有効に成立したことになります。

     しかし、証拠が残らなければ後になって新たな争いが生じかねないので、示談が成立したら速やかに示談書を作成しておくべきです。たとえ賠償が済んでしまっている場合でもどのような条件で決着したのかを明らかにしておかなければなりません。

示談書の効力

     示談書には決まった様式はありませんが、記載された事実に間違いがなくお互いが合意したことを表す記名捺印があれば、公序良俗に反しない限り有効(裁判の判決と同様に法的拘束力を持つ)となります。

     つまり、ひとたび示談が成立してしまったら、後から勝手に示談条件を変更したり示談そのものを取り消したりすことはできません。示談を行うときは、この点をしっかり念頭に置いて、条件が著しく偏っていたり一方的に不利な条件になっていないかを確認しましょう。

     もし、示談をやり直したい場合は相手の合意を得なければなりません。合意が得られた場合は当事者全員の既成の示談書を全て破棄するか、相手から示談のやり直しに関する合意書を取り付けておくようにします。

示談書の内容

     示談書には、当事者がお互いに円満解決に至ることができた条件や合意事項を記載します。通常は保険会社で定型書式を用意している場合が多いので比較的容易に作成できますが、正しく要点が書かれたものでなければあまり意味がありません。契約書類などを作成したことのない不慣れな方は、専門家とよく相談しながら記入した方がいいでしょう。

    示談条件の要点
    「治療費○○円を支払う」
    「修理費○○円を支払う」
    「治療費、休業損害、慰謝料等として○○円を支払う」
    ※どうしても止むを得ない理由があって金額(損害額)が明らかにならない場合は、何についての支払いであるかを明記する
    例)「○○病院の○年○月○日までの治療費を支払う」等
    不適切な文言、要領を得ない文言の例
    「警察には届け出ないこととする」
    「治療費は自賠責保険で支払う」
    「誠意を持って対応すること」
    記載すべき事項
    -≪事実関係≫-
    事故の当事者
    事故発生年月日
    事故車両の登録番号(ナンバープレート)
    事故発生場所
    事故状況
    -≪示談の条件≫-
    賠償金額
    支払方法(期限や決済方法など)
    権利放棄条項
     示談が成立したら、以後はお互いに何らの債権債務もないことを確認するため、権利放棄条項を必ず記入しておくようにします。

示談が無効等となる場合

    公序良俗違反による無効
     示談の条件が公序良俗に反する場合や、後遺障害などにより損害の程度が示談の条件を著しく超えてしまうことが明らかな場合は、示談は無効となります。
    錯誤による無効
     示談の前提となっている事実について、それを判断させる要素を誤って認識してしまっている場合(理解不十分や勘違いなど)は、錯誤により無効となります。
    事情変更の原則
     示談成立時には到底確認のしようがなかった、損害の増加や変容(不可測的な事態の急変)が示談成立後になってから生じた場合、「事情変更の原則」により請求権放棄条項のみを解除し、示談の効力を失効させることがでます。
    限定的放棄(最高裁判示昭43・3・15)
    示談が、
    1.全損害を正確に把握し難い状況のもとで
    2.早急に
    3.少額の賠償金でなされ
    4.後発損害が示談締結の時において予見できなかった
    という場合は、示談における権利の放棄は「示談の当時に予想できたものに限る」として、被害者に追加請求を認めることがあります。

示談交渉および示談の時機

     示談交渉は、相手の気持ちが冷静になる頃を見計らって始めなければなりません。事故の状況によっては相手がショックからなかなか立ち直れない場合もあり、時機を選ぶのは容易ではありませんが、おおよその目処は次の通りです。

    物損事故 できるだけ早めに
    傷害事故 治癒の見込みがついた頃
    死亡事故 初七日以降(実務では四十九日を過ぎてから)

後遺障害が予想される場合の示談の時機

     後遺障害の発生が予想されている場合は、症状が固定したときを目安にします。

    神経症状を伴う後遺障害
     症状の程度により判断すべきですが、受傷後180日程度経過した時点で医師が症状固定と診断すれば、示談を進めてよいでしょう。仮に、それ以前に症状固定と診断されていても、受傷後180日程度は経過観察を行い、改めて診断を受けてから示談した方がいいでしょう。
    醜状痕を伴う後遺障害
     創面癒着の時期を症状固定と見なし、それから更に180日程度経過した時点で示談します。

示談するときの注意

    後遺障害の損害
     ケガの回復が思わしくなく、後遺障害が残る恐れがある場合には、示談の条件に後遺障害を含むかどうかを明確にしなければなりません。つまり、全損害を把握した上での示談であるかどうか、ということです。
     特に、後遺障害を含まず、傷害の現症のみを対象とするならば、「将来、後遺障害が発生した場合は別途協議する」旨の文言を記載しておきます。
    当事者の行為能力
     示談は法律行為ですから、示談書を作成することができるのは行為能力のある者に限られます。未成年や被後見人は行為能力者ではありませんので示談の締結はできません。
     未成年者や被後見人が相手である場合は、その親権者、その後見人と示談を行います。未成年者や被後見人と示談を結んでも無効であるとして取り消されることがあります。
     尚、親権者と示談を締結する場合は、親権者全て(通常は父母の両方)の記名捺印が必要です。片方の記名捺印が漏れていると、その親権者に固有の請求権を留保させることになります。
    示談の相手
     通常は当事者本人が示談の相手となりますが、事情によって代理人を立てている場合があります。運転者の場合は加入している保険会社に委任することが多いので、この場合は保険会社が代理人となります。自転車や歩行者の場合は委任を受けた弁護士が代理人となるケースが多いようです。
     ここで気をつけなければならないのは、いわゆる示談屋と呼ばれる輩の介入です。弁護士でない者が示談交渉などの法律事務を行うことは弁護士法によって禁止されていますので、示談屋などが介入してきた場合は直ぐに警察へ通報した方がよいでしょう。
    保険会社に委任している場合
     運転者であったものが既に保険会社に示談交渉を委任している場合には、自ら示談交渉を行う必要はありません。もし、保険会社の同意を得ないまま示談(口頭示談を含む)してしまった場合は、保険会社が支払責任を負うべき妥当な額を超過する分につき、その差額を自己負担することになります。
     また、保険会社が示談交渉を進めている場合であっても、被害者への見舞いを怠ってはいけません。特に保険会社から見舞いの時機について指示がない限り、早めに訪問することが大切です。その際に、過失責任や損害額に触れるような話が出されても、決してむやみに返答してはいけません。どんなに心苦しくても、「私からは一切、お答えできません」と断る勇気が必要です。

時効

    損害賠償請求権の消滅時効
     損害賠償請求権は、損害の発生を知った時から3年で消滅時効が完成してしまいます。損害の発生を知った日というのは、普通は事故の日を指しますから、事故日から起算して3年ということになります。
    自賠責保険金請求権の消滅時効
     先の損害賠償請求権の時効は民法上の時効規定ですが、自賠責保険の保険金請求権の消滅時効は原則として事故の翌日を起算日(※1)として2年で消滅時効が完成します。
    ※1)自賠責保険には加害者請求被害者請求の2通りの請求方法があり、それぞれ起算日が異なります。
    加害者請求
     加害者が被害者に対して損害賠償金を支払った日の翌日が起算日となります。
    被害者請求
     傷害については事故の発生した日の翌日、後遺障害については症状固定日(継続加療しても症状改善の見込みがないと診断された日)の翌日、死亡については死亡日の翌日が起算日となります。

時効の中断

     重傷を負って治療が長引いている場合などは特に注意が必要です。重度後遺障害(後遺障害別等級1級3号および4号)に該当する場合は、この消滅時効に引っ掛からないよう「時効の中断(停止)」を請求しておく必要があります。

     「時効の中断(停止)」を請求するには、法的手続きの他に保険会社へ直接申し出る方法があります。保険会社へ「時効の中断」を申し出るときは、保険会社所定の書類により請求します。

     但し、加害者が被害者に対して既に損害賠償金の一部として治療費等を支払った事実があれば債務承認の効果により時効は自動的に中断します。この場合は時効の中断を請求する必要はありません。

    ※内容証明郵便により催告を行う方法もありますが、この場合は書面が加害者の手元に到達した日から6ヶ月以内に司法手続き(または支払督促)を行わなければ、請求日に遡及して時効中断の効力はなくなります。