示談が成立するのはどの時点?
示談は、当事者がお互いに譲歩してそれまでの紛争に終止符を打ち、全てを円満に解決させるための取引です。いわゆる裁判外の和解契約といわれています。示談は口頭(口約束)であっても、事実そのものとしては法的な効力を持ちますので、お互いが合意に至った時点で有効に成立したことになります。
しかし、証拠が残らなければ後になって新たな争いが生じかねないので、示談が成立したら速やかに示談書を作成しておくべきです。たとえ賠償が済んでしまっている場合でもどのような条件で決着したのかを明らかにしておかなければなりません。
示談書の効力
示談書には決まった様式はありませんが、記載された事実に間違いがなくお互いが合意したことを表す記名捺印があれば、公序良俗に反しない限り有効(裁判の判決と同様に法的拘束力を持つ)となります。
つまり、ひとたび示談が成立してしまったら、後から勝手に示談条件を変更したり示談そのものを取り消したりすことはできません。示談を行うときは、この点をしっかり念頭に置いて、条件が著しく偏っていたり一方的に不利な条件になっていないかを確認しましょう。
もし、示談をやり直したい場合は相手の合意を得なければなりません。合意が得られた場合は当事者全員の既成の示談書を全て破棄するか、相手から示談のやり直しに関する合意書を取り付けておくようにします。
示談書の内容
示談が無効等となる場合
示談交渉および示談の時機
後遺障害が予想される場合の示談の時機
示談するときの注意
時効
損害賠償請求権の消滅時効 |
損害賠償請求権は、損害の発生を知った時から3年で消滅時効が完成してしまいます。損害の発生を知った日というのは、普通は事故の日を指しますから、事故日から起算して3年ということになります。 |
自賠責保険金請求権の消滅時効 |
先の損害賠償請求権の時効は民法上の時効規定ですが、自賠責保険の保険金請求権の消滅時効は原則として事故の翌日を起算日(※1)として2年で消滅時効が完成します。
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(※1)自賠責保険には加害者請求と被害者請求の2通りの請求方法があり、それぞれ起算日が異なります。 |
加害者請求 加害者が被害者に対して損害賠償金を支払った日の翌日が起算日となります。 被害者請求 傷害については事故の発生した日の翌日、後遺障害については症状固定日(継続加療しても症状改善の見込みがないと診断された日)の翌日、死亡については死亡日の翌日が起算日となります。 |
時効の中断
重傷を負って治療が長引いている場合などは特に注意が必要です。重度後遺障害(後遺障害別等級1級3号および4号)に該当する場合は、この消滅時効に引っ掛からないよう「時効の中断(停止)」を請求しておく必要があります。
「時効の中断(停止)」を請求するには、法的手続きの他に保険会社へ直接申し出る方法があります。保険会社へ「時効の中断」を申し出るときは、保険会社所定の書類により請求します。
但し、加害者が被害者に対して既に損害賠償金の一部として治療費等を支払った事実があれば債務承認の効果により時効は自動的に中断します。この場合は時効の中断を請求する必要はありません。
※内容証明郵便により催告を行う方法もありますが、この場合は書面が加害者の手元に到達した日から6ヶ月以内に司法手続き(または支払督促)を行わなければ、請求日に遡及して時効中断の効力はなくなります。
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