WEB拍手お礼シリーズ25
<○リスマ○ねたその3>








☆☆今年も、この季節といえば……(1/3)

「って事で、この時期のネタといえば『プレゼントの日』だ!」
「ウィア、あまりメタ発言は……。それに最近からの人は分からないかと……」
「いいんだよフェズ、ここはお遊びなんだから。ってことで、この時期、皆でプレゼントをしあう日ってのがある訳だ。勿論俺は、毎年気合を入れて用意をしてるっ。今年も俺はフェズのためにっいろいろ調べてだなぁ……!!!」
「ウィア、去年好評だったので、今年も皆でプレゼント交換会をします」
「えー」
 と、いう訳で、ウィア側の屋敷の住人+フェゼントの兄弟でのプレゼント交換会が行われる事になった。まぁ、皆でプレゼントを持ち寄って、丸くなって歌を歌いながらプレゼントをまわしていって、歌が終ったときに手元にあったプレゼントを貰う、という奴である。それを、シルバスピナ家の首都の屋敷で、身内だけのささやかなパーティーの最後の締めとして行うのだ。ただし……。
「今年は、シーグルは丁度遠征訓練の日と重なってしまったので不参加になります」
 とフェゼントが言えば。
「えー」
 と、ウィアが盛大にブーイングの声を上げる。
「シーグルがいないとっ、フェズの代わりにフェズ用のプレゼントが行っても楽しいからまぁいっかっていえる奴がいないっ」
「ウィア……」
 フェゼントが笑顔を引き攣らせる。
「なんだよ、ウィアってそんなにシーグルがいるのが楽しみだったのか? いーじゃん、どうせあいつこういう席苦手そうだしさ」
 そう言ったラークの頭を、ウィアが笑顔を浮かべながらげんこつでぐりぐりと挟んだ。
「ば〜か、こういう席だからこそシーグルの奴がいるべきだろ。あいつ、ガキんときにこういうイベントなかったんだから、その分今たっぷりそういうの味あわせてやんなきゃ」
「そうですね……」
「うー……そう……なのかぁ」
 ウィアには文句を言おうとしたものの、悲しそうな顔をしたフェゼントを見て、ラークも口を尖らしながらもしゅんとする。
「だから本当は、帰ってきたら、プレゼントという程でもないくらいで、代わりに何かシーグルにしてあげられることがあればいいんですが……普通なら、ご馳走でも作っておくとかなんでしょうけど、ね」
「まぁ、あいつの場合、フェズの料理は喜ぶだろうけど、食べなきゃってプレッシャーにもなるからなぁ」
「なんですよね。かといって、明らかに何か贈り物を準備してしまうと、返さないとって気を使わせてしまうだろうし。……そんなわざわざ返してもらう必要などないくらい、私たちはシーグルにたくさんしてもらっている事があるのに……」

「ほんっと、面倒な奴だよなっ」
 フェゼントとウィアの会話を聞いていたラークは、そう、不機嫌そうに呟いた。



☆☆今年も、この季節といえば……(2/3)

 今日は、年に一度、友人や家族、恋人間でプレゼントを渡し合う日である。首都にあるシルバスピナの屋敷では、ウィアの兄弟達を呼んで、シーグルの兄弟達とパーティが開かれている筈であった。
 けれども、シーグルは丁度遠征訓練の日が重なってしまって、今回のパーティは不参加となってしまった。仕事の話をした時の兄フェゼントのとても悲しそうな様子を思い出すと、シーグルも胸が痛む。だがそんなシーグルに、こっそりと近づいてくる人物『達』の影があった。
「たーいちょっ」
 顔を上げたシーグルは、ずらりと並んだ自分の部下達を見て、さすがに驚く。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
 聞けば、グスが一歩前に出て、こほりと一つ咳をして、何かの包みを渡してくる。
「今日は親しい人間にプレゼントを贈る日って事でですね……これは、俺達から隊長へのプレゼントです」
「え? ……あ、あぁ、ありが、とう……」
 シーグルは、全く予想外の事にすぐに反応出来なくて、包みを受け取ったもののただ呆然と彼らの顔を見返すだけだった。
「ほら、隊長っ、開けてくださいよっ」
「あ、あぁ」
 どう反応すればいいか分からなくて、シーグルはぎこちなく包みを開ける。中にあったのは、冬場用の毛皮の帽子だった。しかも、手触りとこの濃い灰色の美しい銀の毛はおそらく銀狼の毛で、それを兵士用の、冬の兜代わりに頭をすっぽり覆う帽子として作ってある。普通なら、貴族用のマントや婦人方の冬のドレスや外套に使われるそれでこんなモノを作るのは、どう考えても特注品だと思われた。
「よければ被ってみせて頂けませんか?」
 言われてやはりぎこちなく兜を取ると、その帽子を被る。そうすれば皆が、嬉しそうに笑顔を浮かべて、それがシーグルに似合う事を口ぐちに言い合い出した。その視線が妙に恥ずかしくなって、シーグルは少し顔を俯かせる。
「あの、すまない、ありがとう。とても……嬉しいんだが……その、俺は、何も用意をしていなくて……」
 らしくなくしどろもどろになるシーグルの様子に、部下達の顔が更に笑うというよりもにやけてくる。そんなシーグルの前に、元気よく一歩前に出たテスタが、やはり元気良く答えた。
「そーんなの、いいんですよっ。ていうかですね、俺達にお返しと思うのでしたら、今から当分、寒い間の訓練は、兜ではなくそれを着けて頂けないでしょうか?」
「あ、あぁ、それは構わない、が」
 何故だか喜び合う部下達の様子を、シーグルは理解出来ない。
 シーグルは普段から、訓練中は極力兜までつけた完全な甲冑姿である。というのも、シーグルの着ている魔法鍛冶の鎧の場合、気温によって冷たくなったり熱くなったりしないので、季節に関係なく装備していて問題ないからだった。
「まぁあれです。それを贈って、隊長がそれを被ってくれるとですね、素顔が見れて我々自身へのプレゼントになる、という、最初からお返しを貰うの込みのプレゼントなんですよ。ですから隊長がそれとは別に我々にお返しなんて考える必要はありません」
 そう、こっそりとグスが耳打ちしてきたので、シーグルは尋ねた。
「だが、特注品だろう。相当高かったと思うんだが……」
「隊長の容姿と立場的にはそれくらいじゃないと似合わないって、皆の拘りです。まぁ、全員で出してますし、そもそもテスタの昔の猟師仲間から安く買い付けて作らせてますので、気にせず貰ってやってください」
 そこまでいわれれば、やっとシーグルの顔にも笑顔が浮かんでくる。
「ありがとう、本当に嬉しい……大事に使わせてもらう」
 今度は完全に笑顔で、改めて礼を言えば、部下達は感激して、シェルサ等は涙まで流す始末だった。



☆☆今年も、この季節といえば……(3/3)

 皆でプレゼントを渡し合う日、シーグルは訓練で屋敷を留守にしていたのだが、家に帰ってきたシーグルが自分の部屋にいると、そこに訪問者が現れた。
「ラーク? どうしたんだ?」
 部屋に通された末の弟は、入ってきた途端、入口前で立ち止まって、じっとシーグルを睨み付けるように見つめてきた。
「……今回もさ、俺にお土産持ってきたろ」
「何か問題があったのか?」
 シーグルは遠征訓練の時は、必ずそこで見つけた珍しそうな草や花をラークの土産として取ってくる。植物系魔法使いのラークにとってはそれが何より喜ぶものだと分かっているからなのだが、ラークの表情からそれに問題があったのかと心配になったのだった。
「ないよっ。……たださ、俺にそういうのくれるから、こっちも無視する訳にいかないじゃないかっ」
 シーグルが訳が分からず困惑していると、その目の前に、不恰好にラッピングされた包みが押し付けられた。
「プレゼント。……喜ぶものが分からなかったから、胃薬をいろいろ……がんばって改良してみた。多分、前のよりも、いい感じになってる、筈だから」
「……ありがとう」
 驚いた顔のままシーグルは受け取る。そうすれば、ラークは下を向いてやけくそのように叫んだ。
「じゃぁ、渡したからねっ、おやすみっ『シーグルにーさん』」
 そうして、逃げるように部屋から出て行ったラークを見て、シーグルは暫く驚いたままでいたものの、弟の足音が聞こえなくなってから静かに手の中の包みを見おろすと、嬉しそうに微笑んだ。
「今年は、贈り物の日はないと思っていたのに……貰うばかりで申し訳ないな」
 何が返せるだろうか、と考えながら、思わず目に浮かんだ涙を拭こうとすれば。
「えぇ、こっちもたまには貴方の方から積極的に何かして頂きたいとこなんスけどね」
 と、聞き覚えのある声が聞こえて、それが誰か即座に分かったシーグルは、苦笑しながら振り向いた。
「やっぱり……来たのか」
「そらもー。うちのボスは貴方の事になると、そりゃぁマメですから」
「らしくない」
 今は気分がいいせいなのか、フユの言葉にシーグルは笑みで答える。
「貴方の事なららしくなくても仕方ないです。って事で今回はこれを」
 渡された箱をシーグルは受け取る。けれども、中身は奇妙といっていいものだった。
「これはまた面白いものがいろいろ入っているが……」
 珍しい動物や植物のアイテムや、後は手荒れ用の薬と書いてある瓶やら、可愛らしい菓子まで……意図がよく分からずに、シーグルは考える。
「いやまぁ、今回の件を言ったらですね『なら、あいつから他の連中に配れるプレゼントを用意しておいてやれ、あいつは絶対貰ったもののお返しをどうしようと考えている筈だから』ってですね。あ、人に用意されたの渡すのが気になるんでしたら、礼のメッセージを書いて入れればいいとも言ってました」
 シーグルは思わず呆れた。
「本当に、へんなところに気がつくやつだな……」
「さって、では、逆に何かお返しは……まぁこちらの希望的にはですね、貴方が身に着けている物とかいいんですが」
「とはいっても、使い古しは流石に……あまり安いものや、使えないようなものも悪いだろう」
「いや、なんでもいいっすよ、貴方が使ってるものなら」
 考え込んだシーグルは、そこでふと思いついた。
「そういえば、それなりに高価で、ちゃんと使っていたもののまだ綺麗で、必要なくなったものがある」

 そうして、フユに渡されたのは、去年の後期用に用意して使っていた、冬用の帽子だったという。



<おまけ>

 アッシセグにある、黒の剣傭兵団。その一室、そこの長であるセイネリアの執務室の机の上には、冬期用の毛皮帽子が置いてあった。
「実際かぶってはみたのですか?」
 とカリンが聞けば、セイネリアは、まぁな、と答える。その声も表情も相当に機嫌がいい事が分かった彼女もまた、思わずくすりと笑みを漏らしてしまった。
「サイズは大丈夫でしたか?」
「あぁ、さすがにこの手モノは問題ない。もう少し寒くなったら使わせてもらうさ」
 そう言っている彼の口元はやはり笑っている。黒と茶の毛で覆われた毛皮帽子は貴族の騎士が使うものとしては一般的だが、全身黒づくめの彼が使うと少し違和感があるかもしれない。それでも、白系の帽子でなかった事だけは幸いかと、カリンはその帽子を着けているセイネリアを想像して、寒い季節が楽しみだと思った。
「それにしても、今年は随分と変わった贈り物にしたのですね」
「まぁ、あいつは基本物欲がないからな。何か物を渡すより、あいつの大事な連中が喜ぶ顔を見せてやったほうがいいだろ。……全く、こちらからしてみれば張り合いのない話だが」
「なるほど」
 カリンが納得しかけると、セイネリアはそこに更に笑う。
「とはいえそれは前準備のようなものだ。別にもちゃんと……紛れて入れておいたさ」

 * * * * * *

 首都セニエティ、シルバスピナの屋敷、シーグルの部屋。今、シーグルは机の上に荷物を広げて手紙を書いているところだった。
 フユから渡された箱の中にはいろいろなものが入っていた。中身を見れば、それが誰用に用意されたのかはすぐ想像出来るものばかりで、言われた通り、シーグルはそれを渡す相手用に分けて礼の手紙を書いていたのだ。まだ包まないのは、さすがに人から貰ったものをそのまま渡すだけは気が引けるので、後で追加で何かを入れるつもりだからである。
 そうして、あらかた箱の中身がなくなったところで、シーグルは箱の隅に一つの小さな包みを見つけた。
「これは、つけろという事なんだろうか……だが……」
 小さな包みを開けて出てきた見てモノを見てそう呟いたものの、それは少し問題があった。
「そのつもりなら、サイズが合わなすぎるな」
 『お前に』と簡潔なメッセージが添えられたそれは、見たところ指輪なのだが、子供用かというサイズで、ここまでだと間違ったという話ではないだろうと思う。となれば元からこれはこのサイズの品物で、少なくとも指につけるために寄越したものではないと考えるのが自然だ。
「お守りのようなものか?」
 確かに、美しい銀細工であるそれは表面に羽のようなモノが彫ってあって、幸運を呼ぶという冠虹鳥の羽だろうかとまで考えればそれが正解な気がする。
「まぁ、これなら……」
 少し考えて、シーグルはリパの聖石のペンダントを一度外すと、そのチェーンに手に持っていた指輪を通してまた付け直す。指輪を渡されて、身につけていろ、と言われれば含むものがいろいろありそうで抵抗があるし、正直手の感覚を微妙に変えて邪魔である。だが、こういうものならまだ身につけていてもいいかとも思えた。
「あいつにも、ちゃんと礼の手紙を書かないとならないか……」
 それこそ何か、簡単なお返しをまた添えて。さすがに使用済みの帽子だけを渡して終わりはあんまりだろうしと思いながら。

 * * * * * *

「いやーいつもながら、ボスの読みはさすがっすねぇ」
 窓の外でそれをみていたフユが、肩を竦める。
 普通に指輪をやってもシーグルは付けたりしないから、わざとあのサイズのものを送れば、きっと支援石かリパのペンダントのどちらかにつけて身につけるだろう、とセイネリアが言っていたのを思い出して、フユは苦笑する。しかも、他の者へのプレゼント付きだからこそ、律儀なシーグルは、セイネリアがくれたものをちゃんと使わなくては(=身につけなければ)ならない、という義務感も発生するのではないかというところまで想定済みだ。
「そこまで相手の事が読めるのに、自分はあの坊やに嫌われてるとしか思えないでこんな回りくどいやり方するんですからねぇ……」
 本当に、恋愛感情というのは、その人間の理性も思考力も鈍らせるものだ……と考えながらも、それがあの男にも当てはまると思うのは、それでも違和感というか信じられない思いがあるのが自分でも不思議だとフユは思う。
「さて、俺も帰りにレイにまた何か買っていきますかね」
 含みある笑みを浮かべながら、フユは軽やかにバルコニーから飛び降りてその場から立ち去った。



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クリス○スねたも毎年地味に続いてたりします。これ書いてる頃は騎士団編かな。

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