魔法使い達の古い事情
<成長編・1>
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。





  【4】




「大好きです、ティーダ」

 始めてからすぐ、最初に言う言葉はいつも決まっている。
 行為の最中は、名前を呼んでもいいと許可をもらったのはいつの事だったか。いや、許可をもらったのではなく、彼の方から名前にしろと言ってきたのだ。『やってる最中に師匠呼びは萎える』と。メイヤとしては願ったりかなったりではあったので、嬉しくてその日はやたらと彼を名前で呼んだ覚えがある。……当然、その後に、散々文句は言われたのだが。

「ったく、図体ばっかでかくなりやがって」

 寝転がった彼の体の上に伸し掛かっていけば、すっぽりこちらの体の下に収まってしまったのが悔しいらしく、そんな彼の呟きが聞こえた。

「すいません、図体ばかりで」

 言いながらその額にキスを落として、ついでにペロリと閉じかけていた瞼を舐める。そうすれば自然と彼が肩を竦ませて、自分の下でさらに体を小さくしてしまうから楽しくなる。
 ただしここで、『可愛い』なんて思った通りの言葉を言ってしまったら台無しになる、というのくらいはメイヤも分かっているので、ここは笑うに留めておく。それでも彼は不機嫌そうにこちらを睨んでくるので、後はひたすらこちらが下手に出るしかない。
 長い黒髪を顔から避けて、そのまま宥めるように指で梳く。たまに頬やこめかみに軽く触れるだけのキスをして、ゆっくりと丁寧に髪を梳く。そうしていれば、その内彼の機嫌も直って、うっとりと目を細めて体の力を抜いてくれる。

「本当に……体ばっかでかくなってさ……」

 同じ事を言っていても、今度の彼は軽く笑みを浮かべている。だからメイヤは、髪を梳く手を止めて、彼の唇に唇を重ねた。

「ン……」

 短い吐息を漏らして、ティーダの手がメイヤの背に回される。
 最初は浅く、唇同士を触れさせて、それから舌を軽く伸ばして互いに触れ、絡めるように擦り合わせながら、今度は顔を横に傾けて唇を深く合わせる。完全に密閉された口内で舌同士を深く絡ませあえば、体制的に唾液がティーダの口の中にばかり溜り、やがてその唇の端から零れていく。それが嫌なようで、ティーダは離そうと顔を振るが、メイヤは彼の顎を手で押さえて更に深く唇を合わせる。
 そうして、思う様彼の口内を楽しんだ後、唇を離した彼の顔を見下ろして、唾液に濡れて光る彼の口元を見てメイヤは口元を綻ばせた。

「ったく、しっつこいんだよお前は」

 ただし、そうしてすぐに口元を拭われてしまうから、そんな彼を楽しんでいられるのはほんの僅かではあるのだが。
 だからこちらもこの不満な気持ちをぶつけるように、手を彼の下肢へ伸ばし、少しだけ既に反応している彼のものを緩く掴む。

「うぁ……っくそ」

 感じてしまったのを顔に出してすぐ、舌打ちをしてティーダは顔を背けた。顔は耳まで真っ赤で、ここで『可愛い』という言葉を我慢するのがメイヤとしてはとても辛い。
 背けた横顔の、目の前にある彼の耳元にキスをしてやって、今度はゆっくりと手の中にある彼のものを擦ってやる。そうすればすぐに彼が目を瞑って熱い吐息を漏らし出すから、またメイヤはそのピクピクと揺れる彼の瞼を舐める。

「馬鹿、お前っ、は」

 言いかけて、こちらの顔を引き離そうと伸びてきたティーダの手を、メイヤは掴んで押さえつけ、更に下に回した手の中では彼のものを強く扱く。

「やめ……このっ、やめろってば」

 文句の声も、切なく甘くなっていく。それを耳で楽しみ、けれどもその声が掠れてもう限界だというぎりぎりを見極めて、メイヤは彼から手を離した。
 感覚が上り詰める寸前で止められてしまったティーダは、その瞬間、一番無防備で艶のある顔をする。呆けた綺麗な緑色の瞳も、熱い吐息を漏らしたままの唇も濡れていて、体を小さく竦ませているその姿は、あまりにもメイヤの雄を刺激してくれて困る。だからその後、自分の状態に気づいた彼が怒るのを分かっていても、メイヤはこんな意地悪を彼にしてしまうのだ。

「……っとーーーに、お前はいつもいつも……」

 けれどメイヤは、文句を畳みかけられる前に、彼の耳元に囁き掛ける。

「好きです、ティーダ」

 途端、彼の肩が上がって、肌が震えたのが分かる。
 それで口を閉じたティーダに、また正気に戻る隙を与えないよう、メイヤはすぐ次の行動に移す事にする。

「うあっ」

 彼の足を大きく広げ、閉じようとする前に顔をもぐりこませる。そうして、今度は口で彼のものを包んでやって、彼の先走りで濡れた指を後孔に挿入する。

「くそ、やめっ……あ、ぁ……」

 先ほどイク寸前で止められたティーダの雄は、簡単に熱を持つ。悪態をつく声はすぐに甘い喘ぎにすり替わり、熱に意識を委ねてしまう。そんな彼に笑いながらも、メイヤは丁寧に、愛し気に、彼のものを口で愛撫し、指で彼の中を突き上げる。

「ん、あぁ、あん、はぁ」

 自分が下をやる立場は悔しがるくせに、一度快楽を受け入れてしまえばティーダはすぐに熱に溺れてくれる。頭の上から聞こえる声はどこまでも甘く艶やかで、指に返る彼の肉の弾力と締め付けを感じてしまえば、メイヤの方も正直きつい。
 ほどなくして、既に限界に近かったティーダの性器はメイヤの口の中で爆ぜる。それでくったりとしたティーダの足をそのまま抱え上げて、メイヤはすぐに自分の熱を彼に押し付けた。

「馬鹿、休ませろ」
「嫌です。俺の方が限界です」
「ったく……」

 このガキ、と聞こえた気がしたが、こちらが限界なのは本当の為、メイヤはそのまま彼の中へと入っていく。本当は、ここで彼を気遣ってやりたいとも思うのだが、それを出来るだけの経験と余裕は、悔しいがまだメイヤにはなかった。

「ティーダ……」

 吐息のように名を呼べば、彼の中は彼の声以上に敏感に反応しながら受け入れてくれる。
 彼の中は熱く、きつく締め付けては蠢くその肉の感触は強烈で、入れただけでもメイヤはすぐに達してしまいそうになる。それでもまだ、最初のその強い刺激をやり過ごせるようになっただけメイヤも成長したといえて、一旦収まった射精感の後、ティーダの様子を見て慎重に体を動かし始めた。

「は、う……ぁん」

 揺れる視界の中で、ティーダが身を捩って背を反らし、胸を上げる。だからその胸を掌全体で撫でた後、尖った感触を返してくる場所を潰すように、強くその周囲を擦りあげる。それに反応して締め付けてくる感触を彼の中に埋めた部分で感じて、耐えられず乱暴に彼の深くを突き上げる。

「あ、やぁ」

 それでびくんと体を跳ねさせた彼を受け止めるようにこちらの上体をおろしてやれば、縋り付いてくる彼を受け止めて、唇を重ねる。
 しっかり抱き付いてくる彼の腕を背に感じ、互いの荒い息遣いを耳で感じる。激しい動きに唇が時折離れてしまってもすぐに重ね直して、その度に漏れる声が余計に熱を煽る。
 抱き付く彼の手に力が入り、断続的に強張る体はその度にメイヤを締め付け、耐えがたい快感を与えてくる。メイヤは軽く歯を食いしばり、ベッドにつく手をきつく握りしめる。後はただ、夢中で彼の中へ熱を押し付け、貪るように彼がくれる快感を追うだけだった。

「はあああぁ」

 メイヤが中で達すれば、彼がぎゅっと抱き付いてきて、更に強く引き込むようにメイヤを締め付ける。その快感が強すぎて、メイヤも更に歯をきつく噛みしめる。そうしながら、強張って背を反らしたティーダの体を強く抱きしめ、メイヤは彼の肩口へと顔を埋めた。
 はぁはぁ、と暫くは声も出せず、互いに荒い息を吐く音だけが、暖炉の火の爆ぜる音と混じって静寂を作る。
 それでもその沈黙を破って、悪態をついたのはティーダの声だった。

「終わったらさっさとどけ、この馬鹿」

 最初の内はそれにすんなり従っていたメイヤだったが、今はまずその声に従わない。

「嫌です」
「ざっけろ」

 なら実力行使だ、とばかりに逃げ出そうと暴れ出したティーダの上から退き、横に寝転がった体制で彼を押さえつける。そこから完全に抱きしめて動きを封じ込め、メイヤはティーダの顔や首、いたるところに触れては離すやさしいキスをしていく。

「こんの、やめろ離せうぜぇクソガキ」

 そうは言っていても、それで離そうと押してくる手があまり力が入っていない事を、今はメイヤも気づいていた。

「好きです、ティーダ。ずっと、ずっと、これからも」

 押してくる手を握ってその手にもキスをする。まるで誓うように、好きです、と何度も呟きながら、彼の手の甲にキスをする。暫くすれば、諦めたように彼が抵抗をやめるから、メイヤもそこで彼を抱きしめたまま黙る。

「ガキがじゃれついてるみたいだぞ、お前……」

 そんな力の入っていない憎まれ口は、実は彼が諦めた印だと知っている。

「こういう時くらいガキ扱いはやめてくれませんか」

 だから笑ってそう言えば、ティーダも笑う。

「ガキはガキだな」

 笑いながらもわざと意地悪い顔でティーダがそう言ってきたので、メイヤは少し考えた。それから、軽く上体を起こすと、にっこりと笑顔でメイヤもまた意地悪く返す事にした。

「成程、事後に俺の事をまだガキというという事は、まだ満足なさってない、という意味ですね。分かりました、満足するまで付き合って差し上げます」

 それにはさすがのティーダの顔にも焦りが浮かび、彼は急いでまた起き上がろうとする。

「おいっ、ちょっと待てって、じょーだんじゃねーー。ただでさえこっちは体力馬鹿のお前より多くイってるんだ、これ以上付き合ってられっかよ」

 その顔が本気でひきつっているのが楽しくて、思わずメイヤは吹き出した。メイヤが肩を震わせて声を上げてまで笑っているのに気づけば、ティーダもぐったりと倒れこむように体から力を抜いた。

「ったく、本気でイイ性格だよな、お前って。……冗談の質が悪ィ」
「えぇはい、冗談です。勿論俺は付き合えますが、貴方が今日はまだやることがあるって言ったのは聞いていましたからね」

 不貞腐るティーダは、それで大人しくこちらに抱かれるままになってくれるから、メイヤは嬉しくなる。また少し乱れてしまった黒髪を梳いてやってから、彼の耳元にキスを落とし、小さく、けれども真面目な声で彼に言う。

「本当に貴方が嫌だという事なら、俺はしないと言ったじゃないですか」

 そうだな、と彼がそれに小さく返したのを聞いて、メイヤは目を閉じた。

「だから、もう少しだけこうしていてください……」

 言って彼をゆるく抱きしめれば、彼もまたこちらの体温に縋るように体を摺り寄せてくる。メイヤはティーダの髪を鼻でかき分けるようにして、そのまま顔を彼の髪の中に埋もらせた。
 大好きな彼の匂いに包まれて、その体温を感じている事がとてつもなく心地良く、幸せだった。




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えぇもう本気で弟子×師匠のいちゃいちゃHでした。
メイヤの浮かれっぷりと、師匠のツンを過ぎたデレ交じりぶりがこの二人のお約束。
メイヤ君も最初の頃に比べれば随分大人になったのが分かったかと(==。




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