変わり行く者




  【4】



 閉じられた白い瞼がぴくぴくと震える。
 苦しげに寄せられた眉が眉間に皺を作り、噛みしめていた筈の唇が今にも声を上げそうに開いていく。
 揺れる視界の中で、シーグルの顔を観察しながら、セイネリアはひたすら彼に雄を突き入れる。

「ふ……ぁ、ぐ、ぅ……」

 既に一度中に出してやっている為、そこはほぐれきって男を嬉しそうに銜えこみ、ぬめりがそれを助けて極上の快楽をセイネリアに返している。
 そんな体の反応に反して、シーグルの顔は屈辱で苦しそうに歪み、快感の声を上げまいと歯を噛みしめていた。

 とはいえ、耐えきれずに僅かな喘ぎが漏れてしまう度、彼は必死に唇をまた噛みしめ、そして深い突き上げに唇をわななかせる。
 小刻みに彼の中を突き上げている今、彼は何度も快感に流されそうになって、それが悔しいのだとでもいうように閉じた目から涙を落としていた。

「や、やだ……嫌……」

 びくんびくんと、彼の肩が跳ねる。
 嫌がって彼が顔を左右に振れば、透明な涙が宙に舞う。
 無意識に閉じようとした彼の足がセイネリアの体を挟み込み、男を受け入れる彼の肉が、絞り込むようにきゅうっと締まる。セイネリアであっても、それは耐えるのが厳しい程の快感だった。
 だからセイネリアは、彼の両足を更に大きく広げて地面に押しつけ、その奥深くを抉るように突く。

「や、あ、ぁ、ぁぁぁ……」

 押さえようとした所為で、掠れて殆ど声にならない彼の悲鳴が、大きく開いた唇から漏れる。
 ひときわ強く締め付けてきた感触には、さすがにセイネリアも片目を軽く閉じ、性器から欲望の証を吐き出すシーグルの姿を見下ろす。

「う……く……」

 自分がイったことが悔しいのか、歯を噛みしめたシーグルは、息が整ったところで目を開けてセイネリアの顔を見返す。涙に濡れた青い瞳が憎しみを込めて向けられれば、彼の中に埋まったままのセイネリアの欲望も波打つように膨れ上がる。
 それに気付いたシーグルの顔のが一瞬だけ不安そうに曇り、逆にセイネリアは笑みを浮かべた。

「随分男好きのする体になったな。俺のを銜え込んで離さない」

 言えば、青い瞳は一層の憎しみを燃やす。

「気付いてたか? お前、前を触られてないのにイッたな。そんなにココがヨクなったのか?」

 喉を震わせて笑い声を上げ、緩く腰の動きを再開する。そうすればすぐに、彼の顔よりも正直に中が奥へ引き込むようにひくひくと蠢き、セイネリアの雄に絡まってくる。
 まったく、いい体になったじゃないか、と。
 思いながらも、それが自分の所為だと思えば、更に心の奥から沸き上がる喜びに堪らない気分になる。
 だから今度は抑える事もせず、彼の中を強く突き上げる。嬉しそうに絡み付く彼の媚肉を押し退けて、中を強く擦り上げてやる。

「う、やぁぁ……やめっ」

 そこまで言って、後は喘ぎにしかならないと悟った彼は、右手で自分の口を押さえた。
 セイネリアは構わずに、今度は自分の快感を最後まで追う。
 けれど、いつもなら、限界かと思ったところでそのまま彼の中へぶちまけてやるところを、セイネリアは直前で彼の中から引き抜いた。
 セイネリアの吐き出した白濁が、白い彼の肌の上を走る。顔にまで多少それが付いた事で、セイネリアは満足そうな笑みを浮かべた。

「いい格好じゃないか、シーグル。今のお前にはお似合いだ」

 言えば、また彼の瞳から悔し涙が落ちる。

「言ったろ、お前の中も外も、俺で汚し尽くしてやると」

 セイネリアの手が、シーグルの体を撫でる。
 彼の体の上に散った自分の出したものをまるで塗り込めるように、体に白濁の液体を伸ばしていく。
 シーグルが嫌がって、それをやめさせようとセイネリアの手を掴む。……もっとも、その手にはセイネリアの腕を抑える力など残っているはずもないが。

「そう嫌がるな、半分はお前が出したものだぞ。お前のと俺のを混ぜて、お前の体に塗りこんでやっているだけだ」

 白いぬめりを彼の体中に塗りつけ、最後にシーグルの顔についたものを指で拭うと、セイネリアはそれをそのまま彼の口へと押し込んだ。

「んうっ」

 驚いたシーグルが、それでもすぐに指に噛みついてくる。

「そう力一杯噛むな、剣が握れなくなるだろう?」

 そう言えば、噛む歯から力が抜けるのだから、セイネリアは笑いを抑えられない。
 シーグルはセイネリアを憎んでいる。だが、憎んでいても、セイネリアに彼の理想の戦士としての像を重ねている。だからこそ、その像を正々堂々の戦い以外では壊そうとできない。
 甘いな、と声に出さずに呟いて。
 セイネリアは、ぐっと指を深くまで入れてシーグルの舌を撫で、それから抜いた。

「痛いな。まったく凶暴な口だ」

 指を押さえて見せながらも、セイネリアは楽しそうに笑う。

「だが分かったろ、それが俺の味だ、覚えておけ」

 青い瞳が目で射殺さんとばかりに強くにらんでくる。

「ふざ……けるな」
「ふざけてないぞ、そのうちそれを口一杯に注いで飲ませてやる」
「誰がッ」

 必死に睨んでくる彼には、笑みだけで返して。
 セイネリアは脱力している彼の体を持ち上げると、今度はうつ伏せにさせる。そうして、まだ抵抗する程体に力の入らない彼の腰をつかんで上げさせ、そこにまた膨れ上がった自らの欲望の肉を押しつける。

「やめっ……」

 だが、制止の言葉より、シーグルの中がセイネリアに占められる方が早い。
 既にほぐれきった中は、男を欲しがるように、セイネリアの雄をあっさり引き入れる。ぎゅっと、肉と肉がびっちりと収まる感触に、セイネリアも快感のため息をつく。

「お前、剣の腕よりも、こっちの方が才能あるぞ。男娼でもそうそうここまで男を悦ばせられない」

 言いながら突き上げれば、力の抜けた彼の腕は体を支える事も出来ないのか、肩と顔を地面にすり付けて、やっとセイネリアの動きを受け止める。
 完全に腰だけを上げて犯される彼の体を覆うように、セイネリアは彼に被さるようにして、後ろから彼を彼を突き上げる。

「は、あ、うぐっ、くっ……」

 熱は入っているものの懸命に抑えていた声は、今では殆ど嗚咽と変わらない。実際、悔し涙を流しているだろう彼の、涙に濡れる顔を思い出して、セイネリアは更に腰の動きを速くする。

「お前のここだけは正直だぞ。分かるか? どれだけお前の中が俺を締め付けて、俺を引き込もうとしているのか」

 被さった体勢のまま、彼の耳に近い場所で囁けば、顔の半分を地面にすり付けたまま、シーグルは片目だけでセイネリアを睨み返した。

「う、る、さいっ……」

 まだそんなことがいえるのかと、それにセイネリアは嬉しくなって、一度ぎりぎりまで引いた腰を、一気に奥まで突き込んだ。

「や、あぁあっ」

 激しく奥を突けば、ぐぷりと、その度に未だ彼の体に残る最初の時に出したものが溢れ出して、彼の足の間をだらだらと伝って汚していく。

「腰が動いてるぞ。そんなに気持ちいいのか?」
「違、う、ぁ……」
「すごい締め付けだ、そんなにがっつくな」
「違うっ、嫌……」

 瞳からはとくとくと涙がこぼれているのに、懸命に睨もうとしては快感に目を閉じる、彼の様子がおかしい。
 セイネリアは、動きながら、繋がっているその場所に指を這わせた。

「シーグル、お前のここはな、めいっぱい広がって俺を飲み込みながら、まだ欲しいとこんなにひくつかせてる……」

 突きあげながら、その周りを指で撫でて押してやる。それにさえ反応して中で肉を締め付けてくるシーグルに、セイネリアはごくりと唾を飲み込む。
 それから、結合部を撫でていたその手を離し、今度は彼の胸を撫でてやる。予想通り、すっかり固くなって手にその感触を返す突起を指で摘めば、切ない喘ぎと共に、中が益々セイネリアをきつく締め付けた。

「悪かったな、お前はここも触って欲しかったんだろ」
「ちが、う……黙れ……」

 それでももう、彼の声には力がない。
 睨み返す余裕もなく、薄く開けた目に光がなくなっていく。
 さすがにそろそろかと思ったセイネリアは、今度は両手でシーグルの太股を掴むと、そのまま自分の体を起きあがらせて彼の足をすくい上げるように持ち上げた。

「や、あぁぁっ、く、うぅっ」

 一瞬、耐えきれずに悲鳴のように喘いでしまってから、シーグルはぐっと最後の力を振り絞って口を閉じる。
 けれど、そんな小さな抵抗など、もう無駄なことはシーグルでさえ分かっている。
 背後から突き上げられながら、座ったセイネリアの上に足を思い切り広げられて座っているシーグルの体勢は、前から見たら繋がっている様さえよく見えるだろう。
 両足を掴んで持ち上げ、勢いをつけて落とせば、自重で深くまで雄を銜えこんだ彼の体が足のつま先までぴんっと伸びて体全体に力が入る。もちろんその瞬間、セイネリア自身を強く締め付けて、陵辱者に極上の快感を与えていることなど彼は知らない。

「はぅ、ぅ、ぅ、んっ、くんっ、ぅ」

 完全に口を閉じる事も今は出来ず、突き上げられる度に漏らす小さな声は切なげで熱く、快感の色を濃く含んでいる。
 そんな彼の耳たぶに軽く噛みついて、セイネリアは囁く。

「なぁ、シーグル。どこかで視線を感じないか? こんな風に犯されてるお前の姿を、誰か見てるかもしれないぞ」

 もう言葉で返せない彼は、返事の代わりに体に緊張を纏い、結果、中のセイネリアをきゅうっと締め付ける。

「何だ、見られてるのがいいのか? 嬉しそうに締め付けて、とんだ淫乱だな」
「あ……」

 閉じていた目を薄く開けて、彼の瞳がまた涙をこぼす。

「……冗談だ、ちゃんと人が来ないように見張らせている。ただ、そいつにはお前のこの姿は丸見えだろうがな。毎回毎回、お前は見られてたんだ、よかったな」
「や、あぁ……」

 力なく首を振ってもがくように、身を捩るシーグル。
 けれどもう、彼も限界だろう。
 セイネリアはシーグルの足を強く掴むと、今度は容赦なく彼の体を上下させ、下からも突き上げた。

「ふ、あ……あぅ…あ……ん」

 抑えきれなかった甘い声が、殆ど意識の飛びかけた彼の唇から漏れる。
 そうして、力のなくなった体がぶるりと震え、中で最後にセイネリアの雄を絞り上げたところで、彼はまた自分の雄を欲望で汚した。
 同時に、完全に力を失った体を、セイネリアは自分に寄りかからせてやり、その顔だけを上を向かせて固定する。

「意地っ張りめ……」

 嬉しそうにそう呟いてから、涙に濡れるその頬を舐める。それから唇に唇を重ねて、じっくりとその口腔内を愉しむ。

「ん……あぁ」

 少しだけ下から突き上げてやれば、キスしながらも彼の唇は甘い声を漏らす。
 片手で彼の顔を抑えているため大きく突き上げるのは難しいながら、セイネリアは持った彼の片足だけを持ち上げて、大きく動けない分小刻みに彼を突き上げてやる。

「あ、あぁ、はぁ……んぁ、あぁ」

 動きにあわせて感じるままに喘ぐ彼の唇を塞ぎ、舌を絡め、口の中を舌で突き上げるようにして唾液を彼にそそぎ込む。小さな声はその最中にも漏れ、セイネリアを夢中にさせる。
 そうして、また彼の中に欲の飛沫をそそぎ込むと、セイネリアは大きく肩で息をして、再び彼と深く唇をあわせた。



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愉しそうなセイネリアさんでした。ヘンタイちっくだなぁ(==;
てか、シーグルを嬲って愉しむ為とはいえ喋りすぎですね。



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