嫌われ子供の子守歌
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【9】



 朝、陽が上って部屋の中に光がさしてすぐ、シーグルは目を醒ました。
 どうにか無事夜が明けてくれたかと、ほっとしながらも窓を開けて外を見れば、まだ早朝のせいか静まり返った街の風景が朝の澄んだ空気の中に広がる。
 清々しい空気を感じながらも、僅かな肌寒さを感じて、シーグルは窓をしめた。
 それから首と腕を軽く筋肉をほぐすように動かしてから、シーグルは棚においてある水瓶を持ってくると、水受けボウルの中にそれを注いだ。
 ボウルから水を掬って顔を洗う。
 冷たい水は気分を引き締めてくれて、シーグルはふぅと一息つくと、拭き布を手にとって顔を拭こうとした。
 の、だが。

「っ……」

 顔から落ちた水滴が、喉を伝って体の中へ落ちていく。
 その、感触に、シーグルは思わずピクリと肌を震わせ、布を持っていた手を止めた。

「何だ?」

 シーグルには何が起こったのかわからない。
 呆然としていると、また水滴が体の表面を滑るようにすいと伝って落ちていく。

「ぁ……」

 今度は確かに感じたその感触に、思わずシーグルの膝が折れる。
 自分の体に何が起こっているのかわからなくて、シーグルは床に膝をついたまま、うずくまるようにしていた。
 そうすれば、次々と、水滴が服の中に入ってくる。

「何、が……んっ」

 最早それが不自然な現象である事は確定だった。
 なにせ、水滴達は体の中に入った後、ただ肌を伝って落ちていくだけではない。まるで意志を持った生き物のように、体の上を水滴が這っているような微妙な感覚を体中のあちこちに感じる。特に胸の頂のあたりや、シーグルの下肢にまで落ちてきた水滴達は、そこへまとわりつき、優しいといえるほど微かな刺激を与えてくる。

 ――魔法使い?

 すぐにシーグルはそう思ったが、魔法の気配はほとんどない。もちろん人の気配はない。
 水滴達は、シーグルの感覚が強いところで重点的に動き、震え、微かな振動と伝うその感触をシーグルに伝えてくる。

「くそっ」

 シーグルが着ている夜着の布を押さえて、上から服の中の水滴達を拭く。水さえ拭えばそれで済むと思ったシーグルだったが、棚の上においたはずだった水瓶が見えない力でカタカタと震えているのには気づけなかった。
 ばしゃり、と水瓶が落ちて、水瓶自体はシーグルを直撃をしなかったものの、その中身をシーグルの体にぶちまける。
 拭いようがない程水浸しになったシーグルは、次の瞬間、信じられない感触に思わず声をあげた。

「あ、あぁっ……」

 出た声に驚いて、思わず口を押さえる。
 けれどもそんな暇もないほど、次の衝撃は驚くものだった。

「うあっ、……あぁ……」

 手をぎゅっと握りしめ、体を支えて床につく腕がぶるぶると震える。
 先ほどより大量に増えた水が、下肢に集まって秘所からシーグルの中へと入ってくる。液体が体の中をさかのぼってくる感触に、シーグルはぞくぞくと肌を震わせた。

「やめ、ろ……」

 明らかに意図的な意志を持って体の中に入ってくる水。それらを操っているだろう者に向かってシーグルは言う。

「やめろ……くそっ、貴様の目的は俺を嬲る事かっ」

 語尾は半ば叫びになって、シーグルは見えない何者かに呼びかける。
 そうすれば、下肢にまとわりついていた水達が、一斉にシーグルの後孔を広げるように入ってきて、ぐじゅりと卑猥な音をあげた。

「ぅ、ぁあっ」

 シーグルは歯を噛みしめる。
 下肢ではじゅくじゅくと水音をたてて、操られた液体達がシーグルの中で暴れている。それだけではなく、体中にまとわりついた水は肌の上で蠢いて、シーグルにまるでたくさんの手であちこちをなでられているような感触を与えてくる。

「く、そ……」

 それでもシーグルは立ち上がって、力の入らない足で懸命に歩き出す。時折水が身体の奥で膨らんで、その場でうずくまりそうになりながらも、壁に手をついてどうにか寝室へとたどり着く。
 水達はシーグルの肌の上で踊り、身体の中でも暴れてシーグルに甘い疼きを与えていく。よろけながらもシーグルは、ガクガクと震える足に力を込め、ベッドの上に倒れ込んだ。
 ベッドには大量の布がある。いくらびしょぬれのシーグルでも、ベッドに潜り込めば肌の表面にある水達は布に吸い込まれていく。ベッドは濡れるだろうが、そんな事を気にしている余裕などない。
 シーグルが思う通りに、ベッドの上で何度か寝返りを打つように転がれば、肌の上で暴れていた水達の感触はなくなる。
 シーグルはベッドの上で息をつく。
 それでもまだ、身体の中で蠢いているものがある。

「う、く……んっ」

 まるで体の表面の仲間を拭われた事を怒っているかのように、中の水はさらに激しく暴れ出す。
 シーグルは震えながらも、今度は上掛けを手に持ってそれを下肢にもっていく。中の水を出来るだけ拭おうとした手は、だが、その目的を果たす事は出来なかった。

「あ……なん、だと?」

 上掛けの布が絡まって、シーグルの腕の自由を奪う。今度は布達が意志を持って動きだし、まるで両腕を後ろで拘束するように、シーグルの腕を動かなくする。

「やめ、ろぉおおっ…んぐっ」

 叫んで口を開ければ、その中に布が入ってくる。しかも気味が悪い事に、意志を持った布達は口の中でも生き物のように動いてシーグルの口腔内を擦り、舌にいたずらに絡んでこようとする。
 シーグルは激しく首を振る。どうにかして口の中の布を吐き出そうとしても、布達は意志を持ってシーグルの口をふさぐ。

「んー、んーっ」

 布はもちろん、身体にもまとわりついてくる。
 水よりもやっかいな事にしっかりとした質感のあるそれらは、水を吸った布独特のざらつきでシーグルの身体の表面を擦ってくる。水の微妙な感触と違って、しっかりとモノに擦られている感触は強烈で、シーグルは頬を染めて強くなってくる甘い感覚をじっと耐える事しか出来なかった。
 しかも、それではっきりと欲望を主張しだしたシーグルの性器にも布達が殺到し、我先にと巻き付いてくる。それを感じたシーグルは、声を出せないまま表情を強ばらせて固く目を閉じた。

「う、ん……」

 布達が、包み込んだそれを擦りあげる。
 ざらついたその感触の分、へたに手で擦られるよりも感覚は強い。
 シーグルが耐える為に口の中の布を噛めば、それらもまるで生き物のようにびくびくと蠢いてシーグルの舌に触れてくる。
 下肢では布が性器を擦る感覚にどうしようもなく腰が揺れ、足を閉じてすりあわせてしまう。胸を覆った布達も、既にぷくりと尖った頂をしつこく重点的に擦りあげ、シーグルは肌をぴくぴくと震わせて感じてしまう事しかできない。
 もう動けないシーグルは、ただ身体を固くしてそれらの感触を耐える事しか出来る事がなかった。
 布達は巧みに、シーグルの身体を快感一色に染めていく。特に性器に絡まる布達は、時に強く、時に緩く、擦りあげてきたかと思えば締め付けてきて、シーグルの体はその動きに翻弄されてベッドの上で何度も跳ねた。痛いくらいに激しく擦りあげ、そうして軽く撫でる程度に優しくなるその動きは、何度も上り詰めようとしたシーグルを止めて、思考さえも快楽に染めようとしてくる。
 けれども、何度かそうしてシーグルを弄んだ後、布達は一斉にシーグルの体を強く刺激して、とうとうシーグルは達してしまう。
 そうすれば、今までシーグルを拘束していた布達が嘘のように力を無くし、ただの布に戻ったように手から解け、動かなくなる。
 とはいえ、さんざん布達に翻弄されていたシーグルは、すぐに身動きがとれなかった。ベッドの上に倒れたまま荒い息を吐き、ただやっと解放されたのかと体から力を抜く。

 それでも、それはまだ終わった訳ではなかった。

 シーグルが気づかない足の周囲、ベッドの上で乱れていたシーツがまくれあがる。
 僅かなその動く気配にシーグルが気づいた時には既に遅く、シーツは両足に絡みつきその自由を奪っていた。

「くそ……いい加減、姿を現せっ」

 布が落ち、口が自由になっている間にシーグルは叫ぶ。

「こんなバカな遊びが目的ではないのだろうっ」

 それでも事態はなにも変わらない。
 シーツはシーグルの足をベッドの端に縛り付けるような形で拘束し、大きく広げさせた状態で固定する。止まっていた上掛け達も再びもぞもぞと動きだし、シーグルの体の上を這ってくる。ついでに、頭の上の方からまくれ出したシーツは、シーグルの腕を再び拘束してくる。

 こんな事をやってくるのであれば、相手は魔法使いで確定と見て間違いない。しかしここで問題となるのは、これがグスの言っていたここへ呼ばれた魔法使いの仕業なのか、それともネイクスの仕業なのか。

「出てこいっ、それとも俺が狂うまでただ見ているだけかっ」

 すると。

「それってさ、見てるだけじゃなくて、自分でヤってみろっていう風にもとれるよね」

 くすくすという笑い声と共に、少年が姿を現す。
 そうではないかという予感はあった、だからシーグルは驚かなかった。けれども、そうでなければいいとシーグルは思っていた。

「ネイクス、何が目的だ?」

 聞けば少年は満面の笑顔で近づいてくる。
 けれどもその笑みに悪意がある事は明白だった。

「ふふ、シーグル様とっても素敵な格好だね。僕の魔法はどうだった? シーグル様の体、犯されるの大好きだからすごく気持ちよかったでしょ?」

 言いながら、身動きのとれないシーグルの肌に人差し指で触れ、すいと肌をなぞるネイクス。
 同時に体の中の水が思い出したようにぐぷりと暴れて、シーグルは声を出さずにはすんだものの、その感触に肌と吐息が震えるのは抑えられなかった。

「肌も綺麗、でもやっぱり騎士さまだなぁ、肉はどこもかしこも固いや。こんなとこでも感じちゃうんだね、触る度にぴくぴく揺れてるよ」

 少年の手が、優しくシーグルの肌の上をなぞる。くすくすと笑いながら、シーグルの胸の尖りを指でくるくるとこね回すように弄り、ちろりと舌で舐めてから、今度は唾液で濡れたそこをまた指で弄る。
 シーグルが甘い吐息を漏らしてしまえば、少年はうれしそうにシーグルの肌のほかの部分も舐めてくる。

「ねぇ、指と水とどっちの方が気持ちいい? あのね、形のない物を自分の意志で操作する魔法は基礎でね、最初は煙とか出来るだけ軽いものから始まって、どんどん動かし難いような重いものにしていくんだ」

 少年はどこか遠い目をしながら、シーグルの肌を舐めたり撫でたりを繰り返している。
 身動きをとれないシーグルはされるがままになるしかなく、まるで見せ物のようだと思っていた。

「僕はあまり重いものは動かせないけど、その分、母様が教えてくれた水とか土とか布とかね、軽くて柔らかいものを自由自在に動かす事が出来るんだ。ほら……」

 言うと少年は、どこから持ってきたのか、コップをシーグルの上で傾け、その上に水を落とす。
 落とされた水は数滴だが、落ちた途端それらは跳ねて震え、のたのたとシーグルの肌の上を這いながら、シーグルの乳首へと絡みついてきた。

「っ……」

 シーグルは思わず目を閉じかける。
 ふるふると揺れる水達は、その姿形を変え、生き物のように跳ね、シーグルの赤い尖りに微妙な感覚を与えてくる。

「こいつらはそこまで強い感触ってないから、ここすごく敏感なんだね。こんなに感じちゃってる――でも……」

 ネイクスはシーグルの肌を手のひらで撫でる。
 そのまますいと、それを下肢へと下ろしていって、今はまだ力無くうなだれているシーグルの性器に触れた。

「まだこんなんじゃ足りないよね? こっち全然反応してないもの」

 そうして手は、性器を軽く撫でるだけで通り過ぎ、その奥へとのびていく。

「ここに欲しいんでしょ? シーグル様」

 指が触れた場所は閉ざされた後孔で、その途端、中に入っていた水がまた中で膨れた。

「うぁっ……」

 不意打ちだった為に思わず声を漏らしたシーグルに、ネイクスは満足そうな笑みを浮かべた。

「あぁやっぱり、シーグル様はここを犯されるのが大好きなんだよね。だって、今までここにたくさん男をくわえ込んで来たんでしょ? もしかして今はとっかえひっかえ部下さん達のをくわこんでるんじゃない?」

 体の中の水はじゅくじゅくと音を鳴らしてシーグルの中で蠢いている。シーグルはそれに耐えながら、ネイクスから目を離さないようにじっと彼を睨んでいた。

「ふざ……けるな。彼らとはそんな馬鹿な間柄じゃない」

 そういえば、不満そうにネイクスは口を尖らせる。
 そうして、入り口を撫でているだけだった指をシーグルの中へ乱暴に押し込んだ。水とは違った質量の確かな感触に、シーグルの腹が跳ねた。

「えー、でも部下さん達は確実にシーグル様のここに入れて貴方を滅茶苦茶にしたいって思ってるよ。あの大男さんだってさ……」

 中の水と呼応するかのように、ネイクスの指はシーグルの中を乱暴に突き上げてくる。既に水のせいで広げられたそこは簡単に二本目の指を許し、水では出来なかった質量の感触で中を擦り上げてくる。
 それでもシーグルは歯を噛みしめて、ネイクスの顔を見た。彼の言葉は聞き流す訳にはいかなかった。

「ラン、に何かしたのか?」

 彼の様子はおかしかった。
 あれだけ頑固にシーグルから離れようとしなかった彼が、何故急に出ていったのか。

「うん、シーグル様を僕のものにするのに邪魔だったからさ。ちょっとね、軽い暗示を掛けて貰ってシーグル様を襲わせようとしたんだよね」

 ぐちゅぐちゅと、指は未だにシーグルの中で動いている。それに息を荒くしながらも、シーグルは顔を顰めた。

「あぁ言っとくけど、まったくその気がなかったら暗示自体にかからないからね。元々ない感情を思わせる事は出来ないから。だから、確実にあの男も貴方の事を犯したがってたって事さ。暗示に掛かった彼はね、思い切り股間膨らませちゃってさ、貴方の事を襲う気満々でベッドに行ったんだよ」
「……だが、あいつは、何もしなかった」

 シーグルが言えば、楽しそうに笑っていた少年の表情が曇る。
 ぐず、と指が深くまで押し込まれて、シーグルはきつく片目を閉じた。

「もう少しだったんだ。なんか眠ってるシーグル様みたら、あの男急に正気に戻っちゃってさ」

 よく考えれば、あの時のランは酷く辛そうだった。あれはきっと、自分がしようとしていた事の罪の意識に打ちひしがれていたのだ。
 後は彼の考えた事がすぐにわかる。
 真面目な彼は、そんな事をしようとした自分がシーグルの傍にいるべきではないと、そう判断したのだ。




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次回は引き続きシーグルさんが悪戯されまくります。
一応エロなんですが、どうなんだろう、こういう悪戯シーンって。



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