嫌われ子供の子守歌
※この文中には、最後までしてはいないですが、性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【15】



「さぁってと……まったく、酷いですね、こりゃ……」

 キールが呟けば、てっきりもう正気がないと思っていたシーグルから声が返る。

「ネイ……クス、は?」

 正直呆れた魔法使いは、目を見開いて、苦しそうに薄目を開けているベッドの上の人物をみる。
 彼の息は荒い、開いた青い目にはいつも通りの力強さはなく虚ろで、けれどもちゃんと意志の光は残っている。実のところ、この匂いからだけでも、キールには彼がどんな薬物を使われて、それがどれ程ひどい量かもわかる。
 だから、彼が今どんな状態かもほぼ正確に理解しているつもりだった。

「ったく貴方は……そんな状態でまだ他人の事気にしてるんですかぁ」

 呆れながらも苦笑して、キールはシーグルに近づいていくと、懐から水袋を出して、ベッドの脇に座った。

「大丈夫ですよ、ちょっといろいろ調査すっことになるとは思いますけどねぇ。父親であるバーグルセク卿が保護者放棄しないって約束しましたんで、分別のつかない子供って事で彼自身の罰にはなりませんよ。ただ、危険だからってぇギルドの方でマトモな師が見つかるまで預かる事になるとは思いますが」

 言いながら、彼は手際よく水袋の中身をシーグルの体のあちこちに振りかけるように落としていくと、最後に自分の両手にその中身を掛けて濡らす。

「さすがにこのままはヘタすっと貴方が狂い兼ねませんからねぇ、薬物成分をできるだけ抜きますよ」

 キールは濡れたその手で、先ほど落とした液体を塗り込めるように、シーグルの素肌を撫でだした。

「んっ……」

 びくり、と肌を震わせたシーグルは、それだけの感触に背を跳ねさせる。
 構わずにキールはシーグルの体を撫でていく。その手の動きにシーグルの体は揺れ、堪らない甘い吐息がその唇から漏れる。
 それでも、シーグルは目をきつく閉じてその感覚を耐えようとしているから、魔法使いはくすりと笑みを漏らして彼に囁いた。

「辛いんでしょう? 人払いはしてますんで、押さえないで遠慮なく感じちゃってていいんですよぉ」

 それでもシーグルは唇を引き結ぶ。
 正直苦笑を通り越して、キールは困っているくらいなのだが、シーグルは未だに感覚に流されまいと耐えていた。

「んーとですねぇ、貴方体力的に限界でしょう? これ以上体力無くされると本気で困るんであんま我慢しないで貰えますかねぇ。あっさり乱れてくれた方がこっちもさっさと終わりますし」
「く……」

 それでもシーグルは、撫でるというよりも確実に愛撫しているキールの手の感触を拒むように歯を噛み締めていた。とはいえ、やはり意識はどうにか出来ても身体はもうどうにもならないのか、震える肌も、すっかり固くなった胸の突起も、誘うように揺らめく腰も、そして、完全に勃ちあがって欲の印をとろとろと零れさせる雄も、感覚そのままに快楽に溺れ切っている事を示していた。
 耐えようとしても、身体は震え、もどかしく身を捩り揺れる腰は、誰がみても誘っているようにしか見えない。
 最初のうちこそ、シーグルの反応をみつつ、特に彼が感じそうな場所を撫でて楽しんでいたキールだったが、ここまで頑なに耐えられるのは予定外で、このままだと体力的にも精神的にも彼の為にはよくないのは明白だった。

「仕方ありませんねぇ」

 正直、キールだってこんなのを見せられているのは結構きついのだが、ならばと調子に乗ってヘタなことをすれば、命の危険がある事は最初の時でわかっている。
 それでも、これくらいまではあくまで治療の手段ですからね、とここにいない相手に脳内で言い訳をして、キールは濡れた手をシーグルの下肢へと下ろしていった。

「や……め……」

 弱々しく言うシーグルはけれども、すぐに言葉を出す余裕もなくなる。
 キールの手は、膨れ上がるシーグルの性器を軽く撫で、そのまま通り過ぎて、中を埋めて欲しいとひくつく後孔に触れる。その感触に、無意識に足を開いたシーグルの反応に笑みを浮かべてから、濡れた指を3本纏めてずぶりと深く突き入れた。

「あ、あぁぁぁっ」

 耐えられなかったシーグルが、高い声を上げて達する。
 けれどもキールはその指を止めない。唇で術を唱えながらシーグルの中で指を開き、中をぐるりと撫でまわして、内壁全てを指で擦る。今まで散々ネイクスや例の魔法使いに弄ばれていただろうそこは解れきっていて、指を拒むどころか指を飲み込もうと蠢き引き込む。
 ここへ自らをものを突き入れたらどれだけの快感が得られるのだろう、なんて事を頭の隅で思っても、それが出来ないのだから仕方なく頭からその考えを追い出すしかない。けれど、いくら頭で平静を保とうとしたって、押さえられない苛立ちが指に伝わって、尚一層激しくシーグルの中を掻き回す。

「やあっ、はぁあぁっ」

 顎を上げ、口を大きく開き、ひたすら喘ぐシーグルにはもう意識が殆ど残っていない。キールはシーグルの中を指で掻き混ぜながら、すぐにまた欲に膨れ上がったシーグル性器を口に含むと、舐め上げながら少し強く吸い上げてやった。

「ふ……ぁ、ぁ、ぁ」

 シーグルの声にはもう喘ぐ力さえ消えかけている。キールの口の中でまた達すると、聞こえなくなる声と同時に、シーグルの体は完全に動かなくなる。

「まったく、強情というか、意地っ張りというか……まぁ、こっちをそこまで信用してくれてないってのもあんでしょうけどねぇ」

 やっと気を失ってくれたシーグルを見下ろし、ほっとしたような残念なような微妙な気持ちのキールは、とりあえず溜め息をついてから、気まずくなって目を逸らした。……気を失ったものの、肌は上気したまま、未だ苦しげな息遣いで小さく甘い声を漏らす彼の姿は、直視していると、さすがにこちらもヤバイと思ったので。
 それでも気を取り直し、これで一仕事終えたとほっとしたキールは、シーグルから目を逸らしたままベッドの脇に座ると、がっくりと肩を落して体から力を抜いた。

「ともかく、今回は私も相当無茶して来たんで、これくらいの役得は許容範囲として下さい。……私も命が惜しいですからねぇ、何があってもこれ以上はしませんから」

 それから部屋の惨状を見て、これからどうやってテッセンの街の屋敷までシーグルを連れていくかの手順を考えて、……その後に今度はドアの外のざわめきにも気がついて、他の連中にこの状況をどう説明したものかとも考える。
 そうして、暫く考えた後、彼はまたそれはそれは大きな溜め息をついて立ち上がった。

「ま、声抑えてくれましたし、弱ってくれてたおかげであっちまでは聞こえなかったでしょうし、都合が良かった、とも言えなくもないでしょうかね」

 シーグルの上にぐしゃぐしゃになった上掛けを掛けると、口周りを拭い、手を拭いて、キールはドアに向かって歩く。
 今何してたかバレたら、黒い騎士の部下より先に、隊の連中の怒りを買うに違いないなと思いながら。



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短めですいません。キールさんのこっそりお楽しみタイムでした。
確かにバレたらただじゃ済まないところでしょう。ただ、キールさんや魔法使いがシーグルとやりたがるのには ちょっと理由があったりします。それはまた別のエピソードで。


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