古き者達への鎮魂歌
※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【4】



 目が覚めた場所は、少なくとも外ではなかった。
 部屋は暗いようでランプの明かりで辛うじて周囲が見える。気付いた瞬間、一瞬もう夜なのかと思ったシーグルは、視界がはっきりしてここが暗い理由を理解した。
 そこは、木の根……というか、先ほどシーグルを襲った蔓のようなものがびっしりと絡み合って天井と壁を作っている空間で、広さはよくある冒険者の共同小屋くらいはあった。目の前には泉のようなものも見えて、その先は通路になっているらしく奥は暗くて見えない。

「ここは……なんだ?」
「お、もう目が覚めたのか」

 聞こえた魔法使いの声は自分の腰のあたりで、シーグルは驚いて身を捩る。だが、そこいらの壁からそのまま伸びてこちらに絡みついている蔓達のせいで身動きは一切できず、その様子を見て魔法使いは笑った。

「いやー、鎧を脱がしてからで良かったわ。本当にアレには手間取ったからなぁ」

 言われた通り、確かに鎧は外されていた。そして今、魔法使いはシーグルのベルトを外している最中だったという訳だ。

「何をする気だ」
「そりゃ、あんたの服を脱がせてるに決まってるだろ」
「何のためだ」
「当然、あんたから力を貰い易くするためにさ」

 言いながら魔法使いは慣れない手つきでシーグルのベルトをやっと外す。それで鎧下のボタンを外して前を開けてから、またベルトがあることにうんざりした顔をした。

「ってか、騎士様ってのはなんでこんなにあれこれ着込んでるんだ。脱がすだけでこんなに苦労すると思わなかったぞ」
「当たり前だ、体で直接武器を受けられるだけの装備が簡単に脱がせられてたまるか」

 この魔法使いの目的もおそらく、シーグルから魔力を吸おうとしたほかの魔法使い達と同じではあるのだろう。だから脱がせようとする理由も予想通りと思っていい……のだが、わかっているのにどうにもシーグルはこの魔法使いを、同じ目的でシーグルを襲った者達と同じようには見れなかった。

 それは多分……悪意が見えないからだ。

 それと、この魔法使いが魔法使いらしくないくらい普通に人間味のある、自然な感情が入った話し方をするからだろう。

「ふぅん、細いと思ったがやっぱり鍛えてるな、俺らとは違う」

 下肢の服を脱がせ切ったあたりでそう魔法使いが言えば、途端足元からまた蔓が巻き付きながら上へと上がってくる。

「待て、がっつくなよ。準備をしてからだ」

 止められた所為で蔓は太腿の辺りで止まってくれたが、何をされるかはこれで決定したも同じだ。勿論隙があれば逃れようと何度も腕や足に力を入れてはいるのだが、今のところまったくの無駄にしかなっていない。動けば動くだけ締まり、大人しくしていれば緩むのを繰り返す蔓は、腕と足をがっちりと絡めとっていて腕の一本さえ振り払える気がしなかった。

「さって、イキナリはマズいからなぁ」

 言うと同時に魔法使いの手が無造作に尻の谷間に入り込んでくる。濡れた冷たい感触でびくりと震えたシーグルが、だがすぐに指がそこから体の中に入って来て息を飲んだ。

「お、やっぱあんたこっちの経験あるんだな」

 指は一度根元まで入れられて深い部分を擦ったりかき混ぜたりしている。それに自分の体が反応するのを抑えられなくてシーグルは歯を噛みしめた。

「思った通りだ、これなら抵抗なく気持ちよくなれる」

 二本目の指が入ってきて今度は激しく出し入れされる。ぐち、ぐち、と水音が鳴ってシーグルは目を瞑った。こんな状態でも自覚出来るくらい体が熱くなっている事を悔しく思いながらも、声が漏れるのを抑えられない。

「ぐ……ン……ぅ……」

 尚も指はシーグルの中を突き上げる。自然に足が逃げようと動いた所為か蔓の締め付けが強くなり、下肢が指の所為だけではない理由で勝手に揺れ出す。

「やっぱ美人だと、男でもこういう姿が楽しく見れていいな」

 言いながら魔法使いは空いている方の手で前だけ開いた状態で放置してある上着を開くと、胸を掌全体で撫でまわしてから乳首を指で弾いた。

「うンっ……く」

 思わずシーグルが身を捩る。魔法使いは笑って今度はその乳首を舌で潰すように舐めだした。

「く、そ……やめ……」
「こっちも感じるなら大丈夫だな。嬉しそうに指まで締め付けてさ。あんた相当こっちの経験あんだろ。なら簡単だ、全部諦めて気持ちよくなりゃいい」

 呟いて、魔法使いの指が抜ければ、足元から蔓が延びてくる。腕を縛っていた蔓もどんどん伸びて体に向かってくる。

「や……あぁっ」

 そうして抜かれた指の代わりに、恐らく蔓が入ってきた。それも一本では飽き足らず、すぐに二本目も入ってくる。交互に出し入れを繰り返して中を擦り上げる動きに、シーグルは身を捩って悲鳴を上げた。

「うあっ、くぅ、あ、ぁ、は……」

 シーグルが嫌がるように体を揺らせば、蔓達は益々動きを早くして中を擦り上げる。ただし、ある程度まで深くまで入り込んではくるが、内臓を食われるかと思うような無茶な程奥には侵入はしてこない。擦り上げる動きは明らかにこちらを感じさせるためだと思えて、その思惑通り熱くなる体にシーグルは声を抑えられない。

「嫌だ、嫌っ、あぁあぅ、ん……嫌あぁっ」

 けれどその声もすぐに出せなくなる。腕から伸びて来た蔓がシーグルの口に侵入を果たし、口腔内を蹂躙し始めたからだ。

「ンぅ……ぐ……ぅ……ぅ」

 唸るような声しか出せないシーグルに向けて、周囲の壁を構成していた蔓達が動いて分岐した蔓を次々と伸ばしてくる。腕や足を抑える蔓の束はどんどん増えてそれらは絡み重なりながらシーグルの体を目指す。シーグルの体にまでたどり着いた蔓達は肌の空きを見つけてはそこに絡まり、体を擦りつけるように動く。特にシーグルの性器には争うように細めの蔓が絡まってきて扱きあげ、先端からこぼれる液体を取り合っていた。

「うぐっ……が、ぁ」

 そこで更に一本、無理矢理蔓が後孔に入ってこようとしてシーグルは目を見開いた。だがそれはすぐ魔法使いに抜かれて蔓は名残惜しそうに周囲を撫でるだけになった。

「やりすぎはだめだ。いいか、こっちは二本までだ。それ以上はやめろ、口も二本までだ。ちゃんと守れよ、吸い過ぎるのもだめだ、がっつきすぎて殺したら終わりだからな」

 恐らく蔓達はシーグルの体液を啜っているのだろう。絡まってきている蔓達は僅かに粘液のようなものを纏っているが、その表面から液体を吸収する事も出来るらしい。なにせ、口に入ってきている蔓は暴れているだけなのに唾液が溢れて口から落ちる事がない。確実にある程度は吸われている。体を這いまわっている蔓達も、恐らく汗を吸おうとしているのだと思えた。

「騎士様」

 魔法使いが声を掛けてきたから、シーグルは残っている気力を振り絞って魔法使いを睨んだ。けれど魔法使いはそれに少し辛そうに笑うと、まるで謝るような口調で言ってくる。

「許してくれなんていわないさ、憎んでくれて構わない。だが俺にも守るものがあってさ……だから、さっさと諦めて快楽に流されてくれ、その方があんたのためだ」

 シーグルはそれに何かを言い返そうとしたが、後孔を犯している蔓達が激しく暴れ出して思考が一瞬飛んだ。更に魔法使いが胸を撫でるとそこに蔓達が集まってきて胸を擦り出し、シーグルはびくびくと体を震わせて身を捩るしかなかった。それで自然と後孔を犯す蔓達を締め付けてしまえば更に嬉しそうに蔓達はシーグルの中で暴れまわり、シーグルの雄に群がる蔓達は零れる液体を啜ろうと擦り上げてはそこへ刺激を与えてくる。

「う……ン……ぐ……ぅぅ」

 快楽が全身から押し寄せてきて、意識も怪しくなってくる。聞こえる音は粘膜が出すぐちぐちとした音と自分の喘ぎと呼吸音だけで、ぼうっとそれを聞いていると益々快楽だけに頭が支配されていく。

――だめだ、ここでこのまま堕ちたら……。

 皆に、あの男に申し訳ない――とそう思いながらも、今のシーグルは辛うじて思考を保つ事が精一杯で体は蔓達に明け渡すしかなかった。
 足を持ち上げて広げられても何も出来ない。重力を使って落とすように上下に揺さぶられて蔓達に突き上げられ、シーグルは身をのけぞらせて体を震わせた。

「う……ぅ、ぅ、ゥっ」

 何度目かの突き上げの後、シーグルは耐えらずに最初の限界を向かえた。
 吐き出した途端に更に蔓達が競って性器に群がってくる。酷く怠くて、感じたくなどないのに、ずるりと中の蔓達が出て行ったと思えばまたすぐに入ってくる。魔法使いの言った通り2本、争うようにすごい勢いで入ってくると中で暫く暴れて、また交互に出し入れを繰り返して突き上げてくる。

「うん……んんっ……」

 新たな蔓達の暴れぶりに体を揺らせば、蔓が締め付けてきて足と腕を引っ張ってくる。体に絡まる蔓も締め付けてきて少し苦しい。目の周りにも涙に蔓達が群がってきて視界が邪魔される。魔法使いの命令なのか目の中に入ってこようとする蔓はいないものの、目に異物が向かって来れば閉じるのは人としては仕方のないことだ。

「ん……ぁ……うん……」

 口の中の蔓のせいで言葉を出せない代わり、鼻から甘い息を漏らしてシーグルは感覚に身をゆだねた。視界がなくなれば、体中から与えられる快楽と、自分が犯されて喘ぐ音だけが感覚の全てで、それに抵抗をし続ける事は難しかった。

「んぁ……ぁ……ん」

 口腔内で舌を擦られ、唾液をかき混ぜられる感覚さえ嫌悪感がなくなってくる。これだけ感じるのは、もしかしたら最初に魔法使いが自分の中を指で慣らしていた時、媚薬効果のある液体を使っていたのかもしれない。
 考えてもどうにもならない事を考えるのは、消えそうな思考をどうにか引き寄せる為だった。体を無視して別の事を考えていないと自分という意志さえもが消えてしまいそうで、シーグルは意識を別に向けて思考を続けようとした。

「んぁ、んぁ、あぁん」

 口から一度蔓が出て行った拍子にシーグルは大きく喘ぐ。
 またすぐに口は次の蔓で塞がれたが、口が自由になった僅かの間、薄く目を開けて下を見たシーグルは、足元から無数に伸びて張り巡らせた蔓達の合間に赤い石の姿を見た。



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お約束のシーグルさんエロ。今回はまだ正気度高いので抑え目……かな。



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