その濁りない青に

※この文中には性的表現が含まれています。読む場合は了解の上でお願いいたします。




  【7】



 ――こんなものか。

 セイネリアは思っていた。
 シーグルが、少しでも自分に勝てる可能性があるとは、セイネリアもまったく思ってはいなかった。それでも反撃してきただけ、予想以上ではあったとは思う。手を出せば簡単に手に入る事など、最初から分かり切っていた事だった。

 けれども何故か、セイネリアは酷く落胆していた。

 手間を掛けて、彼に近づいて、眺めて、楽しんで。なのに、目的である彼を手に入れる段になって、セイネリアは、自分が酷く落胆している事に気付いていた。
 大きく見開いたまま、焦点が合わないシーグルの瞳は、光を失いかけている。深い青の瞳からは涙が溢れ出し、けれども魂が抜けたように、唇が嗚咽を漏らすことはない。
 ただ人形のように涙を流すシーグルは、もう抵抗さえしない。
 いっそ事務的なまでの手つきで、セイネリアはシーグルの鎧を外していく。
 あらかた邪魔になる金属装備を脱がせた後で、自らも邪魔な部分の装備を脱ぎ捨てる。それから、シーグルの鎧下を脱がせ、その下の衣服も矧げば、彼の肌が現れた。
 常に装備に覆われ、日に当たる事ない肌は白く、細い体はそれでも鍛えているだけあってぎりぎりの筋肉を纏っている。白い中に、柄で殴られた左の鎖骨の辺りだけは青く痣となり、痛々しいあとを浮かび上がらせている。その痣を軽く撫ぜ、肌に手を伸ばしてそこから胸をなぞれば、今まで動かなかったシーグルが、びくりと肌を震わせた。

「い、やだ……」

 唇がわなないて、僅かに呟く。
 瞳がセイネリアの顔を映して焦点を結ぶ。
 途端。

「嫌だっ、放せっ」

 叫んで、シーグルはがむしゃらに暴れだす。

「やだ、やだ、やめろっ」

 その瞳に光が戻っているのを見て、セイネリアは口元に笑みを作った。
 暴れる彼の両腕を押さえ、自らの体で乗り上げて、その体の動きを封じ込める。鎖骨の痣を痛みを感じる程舌で強く舐め、唾液の跡を鎖骨から喉にかけてつけていく。
 肉類をあまり食べない所為か彼の体臭は薄く、若い肌は弾力があってキメが細かい。女のように滑らかに舌に吸い付く肌に、所々吸い上げて朱い跡をつける。その度に彼が息を飲み、肌が緊張にぴくぴくと震えた。

「くそ……誰が……」

 呟いた後に、シーグルは歯を噛み締める。
 セイネリアは見せつけるように、舌をゆっくりと伸ばして、シーグルの胸の朱い尖りのその周りをなぞるように舐め上げた。声は出さないものの、シーグルの吐息が震える。何度も何度も周囲を舐めて、そして最後につんと立ち上がったその中心を舌でくるんだ。
 ぴちゃりと、唾液が立てる水音が鳴る。
 僅かな呻き声と一緒に、押さえつけている腕から一瞬だけ力が抜けた。けれどもすぐに、シーグルの腕はセイネリアを押し返そうと再び抵抗を始める。
 セイネリアはわざと水音がするように、たっぷりと舌に唾液を絡めて彼の乳首を舐める。擽るように表面だけを舐めては歯でゆるく噛み、時折強く吸い上げてシーグルの反応を楽しむ。

「……んぅっ……ぃや……だ」

 感じてきているのか、シーグルの下肢がセイネリアの体の下で激しく藻掻きだした。だから今度は、服の上から自らの股間をシーグルの股間に当たるように擦り付ける。それが分かったシーグルの背がびくりと跳ねる。セイネリアは、構わずに互いの股間同士が擦れるように体を揺らし、自分の昂ぶりを彼に感じさせた。

「嫌だ、ぃゃ……」

 シーグルが涙声で、それでも、歯を食いしばりながら顔を左右に振って拒絶するのを、セイネリアは笑みを浮かべて見下ろした。
 瞳から涙を流すシーグルは、まだ諦めてはいない。
 目が合った瞬間、シーグルの瞳に強い憎悪が浮かぶのが見えて、セイネリアは笑みを深くする。

「そうだシーグル。嫌なら足掻け、最後まで拒絶してみせろ」

 赤い舌で唇を濡らし、セイネリアは強引に、まだ体に纏っていたシーグルの服を一気に剥ぎ取る。そのまま、下肢の衣服も引きずり下ろせば、彼の下半身は隠すものがなくなり、全てがセイネリアの前に晒される。
 シーグルは懸命にセイネリアの腕を押さえようとしたが、元から力で適う訳はない。セイネリアはそこからシーグルの足を持ち上げ、大きく開かせると、その膝を胸につくように押し付けた。

「いい格好だな、シーグル」

 歯を噛み締めるシーグルは、それでもセイネリアを睨みつけた。
 濃い青の瞳は殺気さえ含んで、ただセイネリアの顔だけを映している。セイネリアは己の昂ぶりを抑えきれず、瞳を恍惚とさせて笑みに歪ませる。

「お前は俺に犯されるんだ。ここに、俺のを挿れてやる」

 言ってセイネリアは、舌に唾液をたっぷりとのせて、シーグルの後孔を舐めた。
 ひ、と小さな悲鳴が上がり、肌が痙攣のような震え方をする。
 セイネリアは舌を尖らせて入り口をつつき、中へ唾液を注ぐ。その感触にさえ早くもひくひくと蠢く媚肉に、笑みを抑えられない。
 足を押さえていた片手を離し、十分に濡らされたそこに指を入れる。戦士らしい太い無骨な指が、唾液に濡れそぼった白い肌の朱い窄まりに入っていく。流石に経験のない中はきつく拒絶をしていたものの、何度も入り口の唾液を中へと押し込んでいけば、徐々に指は奥まで飲まれていく。

「ぐ……う、ぅぅ」

 シーグルは、目をきつく瞑ってその感触に耐えていた。
 どうせ、最初から彼が感じる事はないと分かっているセイネリアにとっては、ただほぐれてさえくれれば、彼の感覚などどうでも良い。
 ぐち、ぐち、と濡れた音を立てて、セイネリアの指がシーグルの内部を擦りあげる。僅かにほぐれた頃を見計らって、更に指を増やす。殆どない隙間に二本目の指を強引に入り込ませると、中で開いて内部を無理矢理広げた。

「う、ぐ、うう……」

 ただ苦しいだけのシーグルは、食いしばった歯の間から唸り声を上げている。
 セイネリアは三本目の指を更に押し込めて、中の肉壁を擦りながら無理矢理抽送を始めた。中を抉るたびにシーグルの喉が鳴り、放されている方の足が宙を蹴った。それを押さえる事もせず、更に奥へと指を突き入れ、彼の性器が僅かに勃ち上がりかけているのを確認する。
 指を引き抜き、足を開いたままのシーグルに体毎乗り上げて、セイネリアはを彼を押さえ込む。そのまま片手で自分の下肢の衣服を緩め、既に十分に硬く勃ち上がった自らの性器を取り出した。

「やっ……やだ、嫌だっ……くそっ、放せ、嫌だぁっ」

 尻肉に押し付けられたセイネリアの熱を感じたシーグルが、狂ったように叫んで暴れる。腕を振り、膝で蹴り上げ、体を捩って必死に抵抗をする。
 だが、どれだけシーグルが暴れてみたところで、セイネリアの動きを一時的に止める事さえ出来はしない。単純な力差でも、体重差でも、あまりにも圧倒的な差があった。
 必死で押し退けようとするシーグルを無視して、セイネリアがシーグルの足を受け入れる体勢で固定する。そこに自分の下肢を重ねて、ゆっくりと、だが強引に自分のものを押し込んでいく。

「が……うぅっ、ぐ……うぅっ」

 唸り声をあげ、未知の痛みにぶるぶると震えるシーグルを見下ろし、セイネリアは体を揺らしながら強引に自らの肉を埋め込んでいく。
 大きく見開いた瞳から涙を流し、シーグルは強張った表情のまま喉を晒して体中を引き攣らせる。
 ある程度が入れば、やがてずるりと根元までがぴっちりと彼の肉に包まれて、セイネリアは息を吐き出した。

「分かるかシーグル。お前の中に俺がいるのが」

 もちろん、声を掛けてもシーグルが返事をする余裕などある筈がない。
 けれども、その声で正気を取り戻したシーグルは、セイネリアの顔を映して、その憎しみに燃える瞳で睨みつけてくる。
 セイネリアは嗤う。
 背筋をぞくぞくと駆け上がる快感のまま、シーグルの中に包まれた自分の肉が、更に熱く滾るのを感じた。
 その凶暴な欲望のままに、腰を打ち付けだす。
 彼自身にも犯されている事を自覚させる為、最初から加減なく勢いよく奥を抉り、中の肉を擦る。未だ抵抗を諦めずセイネリアの体を押し返そうとしている所為か、シーグルの中はきつく締め付けてはびくびくと蠢き、セイネリアに甘美な快感を与えている。

「うぁ、ぐ、やだっ……嫌だっ」

 セイネリアの動きに引きずられて大きく体を揺らされながら、シーグルはうわ言のように拒絶の言葉を繰り返した。それを心地よく聞きながら、セイネリアは叩くような激しさでシーグルの中を突き上げる。
 緊張しきったそこは痛いくらいに締め付けて、動く事さえ困難な程。だが、セイネリアは肉の楔でそれを力任せにひらいて、中を抉り、擦リ上げる。自身の快楽と彼を傷つける事だけを考えて、誰にも征服されたことがない無垢だった体を貪る。

「ぐ……ぁ……う」

 激しい憎悪を宿しながらも、突き上げられた衝撃に時折意識が霞むシーグルの瞳。いくら気力で足掻いても、元から体力のない彼の体は限界に近く見えた。既に、セイネリアの腕を掴むその手の握力は弱く、勢いよく跳ねていた背は肩を上げる程にしか反応できなくなっている。僅かに勃ち上がっていた彼の性器は力無く項垂れ、今現在、この行為が彼に痛みだけしか生んでいないことを示していた。
 痛々しく、陵辱者に貪られる贄のような姿を晒し、セイネリアの視界の中で揺れているシーグル。
 それでもまだ、瞳は光を失ってはいない。
 セイネリアにはそれだけで十分だった。
 力を失いかけた体を今度は小刻みに速く突き上げ、自身の快感を引き出す。呻きなのか、唸りなのか、分からない声を上げるシーグルの顔を見たまま、下肢だけで彼を揺らして、やがてその体の奥に自身の滾りを注ぎこんだ。

「うぅっ……や……嫌ぁ……嫌だぁ……」

 体の中の感触に、シーグルは目を見開いて体を震わせる。
 その顔に顔を近づけて、セイネリアはしっかりとシーグルと目を合わせて言い放った。

「男につっこまれて、体の中に精液をぶちまかれて、お前はもうただの雌だ、シーグル」

 シーグルの瞳からは、とくとくと涙が流れる。
 それでも彼は目を逸らさず、見開いた瞳に憎悪を燃やしてセイネリアを睨みつける。
 未だ彼の中に穿たれたものが、それだけで硬さを取り戻した。

「……今度は、お前に感じさせてやる」

 小さく囁いて、ゆっくりとした抽送を開始する。
 無理矢理彼を引き裂くのではなく、その締め付けてくる媚肉を押し返すようにして彼の中を擦る。一度出した所為で潤ったそこは、ぬめりをもって征服者の動きを助ける。ぐちゅ、と奥に押し込まれるたびに水音が響き、結合部からは白濁液が泡を作って溢れてくる。
 彼の官能を引き出す為に、優しい程の動きで彼の内を愉しむセイネリアは、生じた感覚に戸惑いを映すシーグルの瞳を見て唇を歪めた。

「感じてるのか」
「違うっ、そんなことはないっ……っぁ」

 即答で掠れた声を返すものの、その語尾は震える。
 セイネリアは目を細めて、震える彼の唇に口付けた。
 だが。
 すぐに顔を離したセイネリアの口元に、血が滲む。
 追い詰められた獣のような瞳で、シーグルがそのセイネリアを見つめている。
 セイネリアは、声を上げて笑った。

「いいぞシーグル、簡単に壊れるなよ」

 ペロリと唇の血を舐めて、先程よりも少しだけ抽送の速度を上げる。そうしながらも彼の耳元に唇を落とし、唾液を絡ませてその耳を舐める。シーグルが嫌がって頭を逸らそうとすると、今度はその喉を軽く噛み、わざと歯をあてながら舌で鎖骨の痣を嬲る。

「う、うぅ……」

 必死に口を引き結び、シーグルは声を抑える。
 瞑られた瞼がぴくぴくと揺れて、唇が開きそうになっては噛み締めるように引き結ばれる。

「感じてるんだろう? 突っ込まれて、俺に触れられるのが気持ちいいんだろう」

 聞いた途端、再び力を入れて押し返そうとするシーグルの腕を、セイネリアは地面に押し付けた。それから口は白い彼の胸を舐めて、硬く主張する乳頭を啄ばむ。

「ふ……うぅ……ぁ」

 必死に声を抑えているシーグルの吐息には、はっきりと熱が混じり始めていた。
 真白だった肌が僅かに色味を帯びてきたのは、逃げようと暴れていた所為だけではないだろう。奥を穿たれる度に肩を引き上げるものの、開かされた足にも力が入っておらず、ゆらゆらと揺さぶられる動きに合わせて揺れている。

「感じているな、認めてしまえ」

 声を抑えるだけで精一杯のシーグルは、もうセイネリアを押し退けようとする力がない。押さえていた腕を放しても、その手が持ち上がる事もない。
 セイネリアは突き上げながら体を片手で支え、もう片手で快感の印に硬くなりだしたシーグルの性器に指を絡めた。

「あっ……だめ、だ……」

 何をされるか分かったシーグルが、恐怖を顔に張り付かせる。
 セイネリアは残忍な笑みをわざとシーグルに見えるように浮かべ、手の中に納めた彼のものを、動きに合わせて擦り上げた。

「ふぅ……ん……ぐ、うぅ」

 抑えても漏れる声が、前よりも増える。
 余裕がないシーグルは、それでも必死に声だけは上げまいと、ぎゅっと目を閉じて唇を震わせている。彼の性器を扱きながらも先端を擦れば、セイネリアのものを食む媚肉も強く締め付けてきて、一層の快感を互いに引き出していく。

「はぁ、う、うぅ……くっ」

 喘ぎといえる程の声にはならないものの、突き上げる度に何か声が漏れるのを、今のシーグルは耐えられない。時折混じる高い声は、あまりにも甘くセイネリアの耳を悦ばせ、抑えていた動きを加速させる。
 先程までのゆっくりとした動きと違った乱暴な抽送は、だが最初の時とは違って、中を満たすぬめりの為にスムーズに彼の快感だけを引き出していく。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音が、後孔とセイネリアの手の中から漏れる。シーグルは最早口を閉じることができず、喘ぎの形に唇を開いて、吐き出す息が音にならないようにする事しかできなかった。

「う……嫌ぁ、いぁはぁっ」

 大きく開けた口が、呂律が回らない言葉を叫ぶ。同時に、シーグルの体がびくびくと震え、セイネリアの手の中で精を吐き出した。
 見つめたシーグルの顔は、体に裏切られた絶望を色濃く映し、どこか怯えた表情をしている。
 セイネリアは、笑みに喉を震わせた。

「イったのか。良かったなシーグル、そんなに気持ちよかったのか?」

 シーグルの瞳は涙を流す。
 憎しみと絶望に彩られた青の瞳は、一杯にセイネリアの顔を映し、震えていた。

「うあぁっ」

 セイネリアは再び抽送を開始する。今度は自分の快楽だけを目指して、激しく。
 シーグルは口を大きく開き、声にならない悲鳴をあげた。唇の端から唾液が溢れる。力を入れられないのか、動きのままにがくがくと頭が揺れる。
 セイネリアの欲望を包む彼の肉だけが、きつく締め付けながら甘く蠢いて極上の快感を与えてくれる。
 やがて、セイネリアもまた彼の中に注ぎこむと、シーグルの体はぐったりと力を無くし、気を失ってしまっていた。
 セイネリアは大人しくなった彼の唇に再び口付け、今度はゆっくりとその内を味わった。血の味が残る口内を舐め、動かない舌を一方的に絡め取り、心行くまでその感触と味を愉しむと、顔を上げて、唾液に濡れた彼の唇を見て嗤う。

「気を失えば終わると、思っているのか」

 まったく力のないその体を好きに広げて、セイネリアはまた彼に腰を打ち付ける。何度も、何度も。シーグルが意識を取り戻し、再び気を失っても、それでもセイネリアは最早無抵抗のシーグルを延々と嬲り続けた。
 





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