別 世 界 通 信

FOURTH TOPICS

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ADnDにおけるトラブルシューティング


Collum written by ジーク


 ゲームを義務で行う者はいない。ゲームはその準備・実施において楽しむために行うのが普通である。そしてその楽しむ「手段」や「深さ」は個人によって異なる。このギャップがさまざまなトラブルとして発生する。またそこには楽しみを追究するための個人の「エゴ」が存在し、その「エゴ」と一緒にゲームを楽しむ者の「協調」が妥協できなくなったときにそのゲームだけでなく、人間関係までが壊れる危険性をはらんでいる。つまりゲームは「妥協」と「協調」により成り立っており、これらのことが確定できない場合存在することができないし、総ての関係が破壊されると言うことを示す。また、いま「ゲーム」と表記しているが、これはAD&DのRPGだけでなく、多人数(2人以上)でおこなうあらゆるゲームで言えることであり、社会における総てにおいて言えることだからである。もう少し砕けた言い方をすると、社会において全く妥協できない人間がスピンアウトしていくのと同様のことが、いやより強調化されたことが起こっていくのである。

 トラブルにはいろんな種類のものがあると考えられるが、総ての要因は「妥協」「協調」の2つに集約されると考えられる。人は生活する上でこれらのことを自然と行っている。できなくなると「恨み」や「妬み」といった負の感情が肥大化し、傷害事件や殺人事件が起こるのかもしれない。ゲームにおいては各自の「エゴ」がより顕著化しやすく、また他人の「エゴ」がよりわかりやすい。そのためより問題は極端に生じる場合がある。私はゲームを行う世界は現在の生活上の「鏡に写った現実世界」とも捉えているので、そういった感情とのバランスを常に取っていかなければならないと思う。特にゲームの中で「強盗殺人」等の普通に考えれば道徳的に行ってはいけないこと(相手がモンスターだったとしても)を、プレイヤーもDMも意識せず(これが重要)に行うことは非常に危険を伴っていると考えている。ある意味では、若年層(分別のなんたるかがわかっていないと思われる者のこと)にとってはゲームには道徳が存在しなければそれが他の面にも現れる危険性があるのではと考える。とくに最近起こっている事件を考えると・・・。道徳的な面を協調したプレイを行うにはシナリオストーリーをきちんと構成したプレイが望ましいのではないかと私は考えている・・・(笑)。

 トラブルの根本には上辺に現れてこない物が必ず存在し、それを発見・解決しなければ、総合的に解決できないと考える。ゲームを行うパーティとして、仲間内パーティとオープンパーティの2つが存在する。いずれの場合も人間関係的に全くうまがあわず、妥協もできない人々が集まった場合、ゲームは成立しないだろう。先ほどの言い方を使うならば、ゲーム以外においても普通につきあうことができない者、例えば一緒に酒でも飲みながら話をできない者とは所詮、一緒にゲームはできないと考える。ただし人間にはゲームを行っているときと、そうでないときの人格が変わるものは皆無ではないので、総てが当てはまるとは限らないが・・・(笑)。そういえばDMをしているときの人格と、プレイヤーをしているときの人格が変わるものは確かにいるなぁ(笑)。


 仲間内パーティではある意味ではトラブルが発生しにくいと私は考えている。ただしこれはDMに権限があり仲間内からも何らかのことで一目おかれる存在である必要があると考える。DMがそういったところが少なく、プレイヤーの意見に引きずられてしまう場合、トラブルの温床となるだろう。もちろんそれを楽しむことを目的とするのならばむろんそれでよいとは考えるが(笑)。いずれにせよパーティが分断されたり、嫌気を感じてゲームをそしてその人間関係をやめてしまう場合もあるだろう。DMには事態を改善方向に進める牽引力、冷静に判断する判断力、また公正に物事を進める公平さといったものが必要になると考える。「ひいき」みたいなものがもしそこに存在した場合、そのパーティは最終的には空中分解するだろう。ルールの解釈、ストーリーの進め方、アイテムの配分、パーソナルアイテム(とあるキャラクターにしか使えないアイテム)など、何を基準に判断して、どういう意図があるのかがわからないとこれらのことが起こりやすいと考える。意図がわかりそれが許せるレベルのものであれば、仲間内パーティというのは基本的に友人なので修復はしやすいと考える。それがわかったが故に、完全に関係が切れてしまう場合もあるかもしれないが(笑)。

 コンベンションなどで行うシナリオなどでは、場合によっては初めて顔をつきあわせゲームを行う場合が多い。これがオープンパーティとなるのであるが、各プレイヤー及びDMの思考やプレイのバックボーンが不明なため仲間内パーティよりも緊張感があるように思われる。そのため事前に自己紹介等などのバックボーンをお互いに分かり合う行為をしなければ問題が大きく顕著化する危険性をはらんでいる。ルールの解釈が異なったり、使用する(オフィシャル)キャンペーンワールドのイメージの相違によりシナリオに対する興味を失ったり明らかな妨害活動を行うプレイヤーなどが出てくる場合があるかもしれない。それを防ぐためには相手がきちんと「妥協」できる人間であると言うことを前提におくのならば、その意識のすりあわせをするしかないだろう。それが不可能ならば(もしくは多大に時間がかかるのならば)、パーティからはずれてもらうしかないだろう。


 私がDMとしてまたプレイヤーとしてトラブルに遭遇したことはもちろん皆無ではない。私と天査殿、私とぐわるま殿、天査殿とぐわるま殿の間でも(私の覚えている限りでも)トラブルが発生したことがもちろんある。しかし今回は体験談はあまり取り上げないで説明しようとした。それらは「若気の至り」だったり、その対象者の懐の深さの見間違いであるケースが殆どであり、おもしろおかしく記載することはできるが、なんとなく不謹慎のような気がしたためである。だが希望があれば別の機会に取り上げることはやぶさかではない(笑)。


 最後にこれらのことをわかりやすく表記した本が2冊あるのでこれを紹介しておく。書かれている内容は多少誇張かかっているところはあるが非常に参考になると考える。これはトラブルシューティングだけでなくゲームを行う上でのとても参考になる書籍である。御大のG・ガイギャックスが書かれているし。本の存在は知っている人は多いと思うがぜひ1度真面目に目を通してほしいと思う。

 ロールプレイング・ゲームの達人 G・ガイギャックス著 多摩豊訳 社会思想社(教養文庫)
 ISBN4-390-11312-7 520円(消費税3%のころの価格)

 実践 ゲームマスターの達人 G・ガイギャックス著 多摩豊訳 社会思想社
 ISBN4-390-11354-2 560円(消費税3%のころの価格)

 いずれも10年前ぐらいの本なのでもしかしたら絶版になっているかもしれないが、大きなゲームショップや古本屋などではたまに目にする機会があるため、全くの入手不可ではないと思う

[Awaiting the next collum]