別 世 界 通 信

FOURTH TOPICS

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ADnDにおけるトラブルシューティング


Collum written by Beholder


 私がADnDをマスタリングする際のスタイル、「パワープレイ」では、DMによる判定のミスが最大のトラブル要因となる。実際のセッションでは、他のプレイスタイルのプレイヤーが混ざったり、ルール知識に極端な差の有るプレイヤーが混在したりする事により、幾人かのプレヤーが楽しみを得られないといったトラブルが発生する可能性が有る。しかしながら、パワープレイはコンベンションでのプレイの様な一回限りのセッションでプレイされる事は(日本では)少ないと思われるし、継続的な固定メンバーとのプレイ機会を持たないパワープレイヤーは数少ないと想像されるので、今回はDMの判定のミスによって発生するトラブルについて取り上げる。

 まず最初に、なぜ「パワープレイ」においてDMの判定のミスがトラブルを引き起こすかを考察する。

 パワープレイセッションに参加するプレイヤーは、ゲーム内での行動決定、選択時に、その背景に存在する多くのルールを利用する。

■ここで水中に飛び込む!
■戦闘が発生している!鎧を着てから戦いに行こう!
■この剣はマジカル反応が無いので捨てて行こう
■この敵には酸が有効だ!

 プレイヤーは行動選択時に、DMがどの様な判定方法を用いるかを想像し、その成功確率を予想し、自分のPCにとって最も有利となる選択肢を選ぶ。こうしたプロセスを経て行動選択をしているプレイヤーにとって、自分の想像していない方法で判定を行うDMほど恐ろしい者は無い。どのような成功確率が得られるのかを予想する事が、完全に不可能になるからである。プレイヤーの期待する判定方法とDMの期待する判定方法の食い違いが、DMの判定のミスによって引き起こされている場合は、トラブルの発生する危険性が高い。プレイヤーが、自分の持っているアーマーの着用には、記述されたルールに基づき4ラウンド必要で有ると考えている場合に、DMの判定がなぜか、1d20ラウンド必要と下された場合の事を想定していただきたい。こうした判定を下されたプレイヤーはどうするだろうか?このプレイヤーはその後の行動選択をする事が非常に困難になる。ある行動を選択する場合に、その選択肢に上がった各種行動の、それぞれの判定方法全てを事前にDMに確認する事は、パワープレイセッションといえども不可能である。プレイヤーの取る行動は間違い無くこうなる「DM、このルール使っ下さい。1d20ラウンド必要という根拠となる記述はどこかに有るんですか?」

 こうしたトラブルを防ぐ最も有効な手段は、判定時には記述されたルールに基づく裁定を下す事である。特定の状況を判定する為のルールが存在し、その存在をプレイヤーが知っていて、それを利用した判定を根拠としてプレイヤーが行動選択をしているにもかかわらず、そのルールをDMが知らない、もしくは存在を失念するといった事態を防止する事が重要である。

 こうした事態防止に私の使っている手法は、使用ルールシステムをDM1人で構築するのでは無く、参加プレイヤー全員で構築するという手法である。ゲーム内で行われる判定方法の選択をDM1人が行うのでは無く、参加者全員が、この場合はこの判定方法を使用するのが妥当だろうという意見を言い合う方法で、詳しくは

http://www2s.biglobe.ne.jp/~akai/powerplay.htm

に書かれているので、そちらを参照して欲しい。

 次に、トラブルの原因となる判定ミスが、なぜ発生するかについて考察する。原因は、DMがルールブックを所持していなかったり、所持していても、特定の判定に使用するルールの存在を失念していたりする事によって発生する。上記の手法でプレイヤーも参加して判定方法を提案しあう場合でも、判定方法の書かれたルールブック、箇所を見つけるのに、プレイを阻害するほどの時間が必要となるのでは、何の意味も無い。DMには、必要とするルールを即座に発見し、記述に基づいた判定を下す能力が強く求められる。こうしたルール発見能力は、極端に大量のルールを使用するパワープレイにおいては、DMの最重要能力の一つとなっている。

 実際に私の使用している方法を紹介する。

■まずはルールブックサプリメント購入直後通読する時間が無かったり興味の持てないサプリメントであっても、ほんの数行かもしれないが、特定状況に利用する判定方法が書かれている事は少なくない。流し読みだけはして、「どんなルールが出ているか」は知っておく事。
■Dragon誌の取り扱い
Dragon誌は重要になルールがおびただしい量存在するが、その検索性は著しく低い。最低でもDragon Magazine Archivesは購入するべきだろう。Dragon Magazine Archives付属の検索ソフトはあまり出来が良くないので、複数のPDFファイルに全文検索をかけられるソフトウェア利用すると良い。使用PCの性能があまり高くない場合は、全Dragon誌の記事タイトルをテキスト化した物等を利用し、何号を読むべきかだけを調べるだけでも良いだろう。それぞれの環境で、最も早く必要ルールを探し出せる方法を取る。
■サプリメント類の分類
数百冊にも及ぶサプリメント類にばらばらに存在する必要ルールを発見するには、どのサプリメントにルールが出ているかが分かっているのならば、該当サプリメントの発見速度=ルールの発見速度となる。私は以前は、サプリメント発売順の時系列で分類していたが、この方法は、数が増えると検索性が低くなる。多数のサプリメント分類には、種類別が良い。コアルール、ワールド別、ワールド別シナリオ、Dungeon、Dragonと分類するのが、現在のサプリメント総量では理想だろう。
■MLの活用
どのサプリメントに必要ルールが出ているのか分からない場合、問題は一気に難しくなる。大まかな記憶(FRのどれかのBOXセットに出ていた等)をもとに捜しても、捜すべきサプリメントの量は膨大で、プレイの大幅な遅延を引き起こす。私がこうしたケースにぶち当たった場合は、メーリングリストの過去ログ検索を利用してサプリメント特定を行っている。ADnD系の各種ワールド別メーリングリストでは、毎日数百通にも及ぶメールが流通しており、1996年から購読しはじめた私のメールボックスは8ギガバイトにも及んでいる。18ギガバイト分のテキストファイルは、全てのADnDサプリメントのテキスト量を遙かに超える文字数を含んでおり、この膨大なテキストに全文検索をかけられるメリットは計り知れない。メーリングリストは量が溜まる事で新たな価値を生む。購読をおすすめする。

[Awaiting the next collum]