アドベンチャーゲーム
ドラゴンの洞窟
〜 歌姫誘拐 〜
はじまり：
ここ、アルウーアの国は、山に囲まれた小さな、しかし平和な王国だ。
君はこの国に生まれ育ち、死んだ父の跡を継ぎ猟師をして暮らしている。君はまだ若いが狩りの腕が立ち、君がしとめてくる猛獣の見事な毛皮はいつも高く売れる。
そして今、君はとても幸せだった。なぜなら君はまもなく結婚する事になっているからだ。それも結婚相手はアルウーアの国一番の歌姫、ユーイなのである。ユーイの歌う歌の美しさはアルウーアの国のみならず、近隣の諸国でも評判なほどで、城に招かれて歌った事も一度や二度ではない。ユーイの歌は、アルウーアの国の人々にとってもはや欠かせない存在となっていた。そして歌声ばかりでなく、ユーイはまたとても美しい娘でもあった。多くの貴族や金持ちから求婚されていたが、しかしユーイはその申し込みをすべて断っていた。実はユーイと君は幼なじみで、もう何年も前から結婚の約束をしていたのだ。そして二人とも大人となり君が一人前の猟師となった今、いよいよその約束が実現されようとしていた・・・
だが、災厄はその幸せの時に訪れた。アルウーアの遥か北の山奥に住む邪悪なブラック・ドラゴンがユーイの歌声と彼女の美しさに目を付け、評判の歌姫を手に入れようと考えたのだ。そして突如現れたブラック・ドラゴンは、なんと君の目の前でユーイをさらい、北の自分の洞窟へと飛び去っていったのである。
彼女を救い出さねばならない！ 君はすぐさま後を追って、ブラック・ドラゴンの洞窟を目指して走り出した。
ドラゴンは強大な力を持った生き物だ。並の人間が何人かかろうが相手にはならないだろうし、名だたる勇者であったとしても正面から立ち向かっては勝ち目は無いだろう。そして、ドラゴンはその恐ろしい肉体ばかりでなく、高い知能を有し魔法を操る事まで出来るのである。ことにドラゴンたちは人間の姿に身を変える事も多く、ブラック・ドラゴンはその姿を変えて人間社会に入り込み、邪悪な陰謀を張り巡らせる事でも悪名高い、恐ろしい存在である。一介の狩人にすぎない君ごときがかなうはずもない。
ブラック・ドラゴンは北の山奥にある洞窟を住み処としている。そこには悪しき人間や、ゴブリンなどの怪物がブラック・ドラゴンの手下として住んでいるらしい。しかし、ブラック・ドラゴンは自分自身があまりにも強力な存在であるため自分の身に危険があるなどとは考えず、手下たちも護衛のためというよりは雑用係にすぎず、普段は数も数えるほどしかいないらしい。そこが君のつけ目だ。うまく立ち回れば必ずユーイを救い出せるはずだ。だが、忘れてはならない。ブラック・ドラゴンの洞窟に無断で入り込んで、生きて帰った者はいないのだ・・・
ルール：
技術点
技術点とは君が敵と戦う時に、基本となる君の攻撃能力の事だ。ベテランの剣士や武術家であれば、おそらく高い技術点を持っているであろう。しかし君はただの狩人だ。素手の時の君の技術点は０である。だが心配する事はない。戦闘に際しては武器を手にする事でこの技術点を上げる事が出来る。
体力点
体力点とは君の体力、生命力を示す。戦闘で傷付いたり、激しい運動で疲労したりするとこの体力点は減ってゆき、０になると君は死んでしまう。スタート時の君の体力点は15である。体力点の増減についてはゲーム中に随時表示される。
戦闘
冒険の途中、君は怪物と出会い戦わねばならない事もあるだろう。怪物自身も技術点と体力点を持っており、君は怪物と戦って相手の体力点を０にする事で怪物を殺す事が出来る。ただし当然、戦闘中に君の体力が０になれば君は死んでしまう。
通常、ただ戦いの指示がある時は自動的に戦闘が進められるが、何か特別な攻撃方法を採る事が可能な場合（弓矢など）は、その指示に従うこと。また、逃亡が出来るなど、特別な指示がある場合にはそれに従うこと。
装備：武器
武器にはそれぞれ技術点があり、それによって君の攻撃力を上げて戦闘を有利に進める事が出来る。スタート時に君が持っている武器は狩猟用の短剣である。短剣の技術点は２である。冒険の途中、新たにもっと強力な武器を手に入れられるかもしれない。ただし、冒険の間、武器はかさばるので一度に一つしか所持出来ない。新しい武器を手に入れたら今持っている武器は捨てなければならないのだ。
装備：弓矢
上記の武器の他に、君は狩りに使う弓矢を持っている。しかし、ブラック・ドラゴンの洞窟にたどり着くまでに多くの矢を使ってしまい、君には今、矢が５本しか残っていない。
弓矢は離れた相手に使う物であり、通常の戦闘では役に立たない。弓矢の使用についてはゲーム中の指示に従うが、矢を使った後は使った分だけ残りの矢の本数が減り、矢を使いきってしまった後は弓矢は使えなくなる。
準備は整ったか？ それでは冒険を始めたまえ。
ブラック・ドラゴンの洞窟に踏み込むのだ。
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(c)TAKARASHI YUTAKA. 1996