■ 2002.11.23 SBC Center, San Antonio

開演ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ…というビートが鳴りひびき、ステージ周りをサーチライト状のビームが走ります。周りは当然総立ち、大歓声。ギターの接続ノイズが微かに聞こえ、「来るな」と思ったとたん、普遍のサウンドでストリートファイティングマンのイントロが始まった!カッコイイ、それに勢いが良い!もう、ストーンズの健在ぶりを確信できる見事なオープニングです。

ツアー開始後2ヶ月以上経っているせいか、ミックのアクションも決まりまくりです。陳腐な表現ですが全然衰えていない!ドラムは非常にタイトで、キレの良いクリアなビートを刻みます。ギターもスピード感があって、キースとロニーが同じスピードでそれぞれのパートをカッティングします。例によっていろんな思いが交錯し涙がボロボロ出てしまいました。SFMが終わると早々とミックが「Welcome SAN ANTONIO〜!」と煽り、客がウオォっと応え、隙なく2曲目IORRのイントロ。特に目新しい演出はないですが、演奏はタイトでしっかり出来てる感じです。

そして3曲目ミックが曲名紹介し、「If You Can't Rock Me」がスタートです。アルバムではところどころ声がひっくり返り色っぽい感じのミックですが、このライブでは比較的一本調子でドラムのロール具合も相まって男らしい印象で、カッコよかった。次でミックがテレキャスを手にし、New Songと紹介してDon't Stopです。NBAのCMでライブ映像を流してたのである程度知ってはいたのですが、'02型のストーンズスタイルというか3人横に並んで淡々と演奏する姿はなかなかにカッコイイです。ロニーのギターヘッドにカメラが付いてたのは確かこの曲です。ちなみに自分的に今2番目に好きな曲だったりします。新曲で落ち着く客もいれば、ここで盛り上がる若い客もいて(前者の方が圧倒的に多いのではあるけれど)興味深い。勢いを落とさずYGMR、新しめの曲ですがもうすっかりライブ曲で定着した感ありで、客も盛り上がります。実はなぜかここんとこいちばん好きな曲なもんで、開演からここまでテンションあがりっぱなしです。

YGMRが終わり、ストーンズもちょっとひと息ついて、なんとなく次は静かな曲の予感。スクリーンには、上下から櫛歯のように画像が組み合わさって、出来たのがおなじみ「スティッキーフィンガーズ」のジャケット、客席がどよめきます。これが噂の「本日のアルバム」コーナーですね。映像が夜の高速の赤いテールランプ残像になり、エレキのイントロでWild Horsesが!次になにかが頭に浮かぶ間もなく、ぐっときてしまって、またしても涙がボロボロ出てしまいました。…VLの日替わり曲で久々にライブ復活したけれど東京や福岡では演らず、以降「いつかは生で聴きたい曲」のトップだったものです。ついに聴けた今回エレキバージョンで、尾をひくサウンド、哀愁を帯びた曲調そして後ろの映像が見事にマッチして、素晴らしい出来栄えです。「自由を得たが時間がない」だの、「死後一緒に暮らそう」だの、切ない歌詞に想いがこみあげあらためて涙があふれてしまいました。淡々とメロディを奏でるキースとロニー、切々と歌い上げるミック、空間を広げるチャーリー、感謝です。

引き続きカントリーナンバーでDead Flowers。こちらはカラッとした曲調で、ロニーもなかなか力強くてイイ感じ。ここでミックは一番の歌詞に「ローズピンクのキャデラック」と歌ってしまい、2番はどうするのかなと思ってたら同じことをケロッと繰り返してました。本日気づいた唯一のミスです。

あちこちで「ビーッチ!」と叫ぶ声に応えたのか?次はBitchです。タイトルの単純さもあってか、好きな人多いみたいですね。もう、「アップテンポな曲で健在ぶりをアピール」とかでなくて、当たり前にこなしています。そして、少し間があってCYHMK?です。荒削りなキースのカッティングに続くミックのボーカルがテンション高い。マイナー曲に関わらず客も大喜びです。
キースのギター、サックス、ハーモニカ、マラカス、そしてロニーと、各楽器の見せ場が続きます。今ツアーの目玉曲のひとつだと思うのですが、漏れ聞こえた噂どおり素晴らしいグルーブで、ロニーもそうですがキースが非常に決まってて、ザラメのついた醤油センベイをバリバリ食ってるかのような爽快感あるカッティングを聞かせてくれます。エンディングでスクリーンに「Ronnie Be Gooooood!!」のプラカードを持ったファンが。(仕込みかも)

佳曲をピックアップしたスティッキーコーナーが終わり、興奮の余韻残る中おなじみ「ダイスを転がせ」が始まります。多くのファンが愛する珠玉の名曲、こういう曲を数多く持っているところがストーンズの強みですよね。

続いてキースコーナー、「サンアントニオにまた戻れて嬉しい」とコメント。もちろんそのあとに「ま、どこに行ってもそうだがな」と付け加えます。キースの時はどこにいっても声援が野太いのももちろん同じ。Slipping Awayを紹介し、曲が始まりますが途中ギターを肩から外し立て持っちゃいました。なんかトラブルか?と思いましたがそうではなく、歌に集中するようです。有名な「両手ブラリ奏法」を越えた、「ギターもブラリ」奏法とでもいいますか…。

ギターをはずして歌うキース

後半のソロでまたギターを肩にかけるしぐさ、カックイイ!次もキースで、BTMMR。なんとなくですが、今回はこぶしまわし度やや低めな印象、少し若返ったか?

キースコーナーが終わり、会場がややダークな雰囲気になってミックがハーモニカを。おお、Midnight Ramblerだ。NSの時と同様、70年代を彷彿とさせるゴリゴリ感、キース主導でタフなイメージが強調されます。

Start Me Upはイントロのヘンなじらしもなく勢い良く始まり、中盤以降のヒット曲ラッシュの予感。どの曲をとってもギターのキレ、ドラムのシャッキリ感がいいです。Gimmie Shelter、「ああ、ストーンズって名曲多いなあ」とつくづく実感。HTWでは、スクリーンにエロチックなアニメーションが登場。オッパイ丸出しの女王様がすごくキュートでカッコイイ。ちゃんとストーリーがあって、みんなが笑うエンディングも良かったです。良い雰囲気のままこれまたギターに感電しそうなSatisfaction、もう、大サービス状態です。ここいらでセンターステージまわりにスタッフが配置しはじめ、我々近所のファンもそわそわしはじめます。ドラムセットが上昇し、マイクスタンドなどがセットされます。Satisfactionに満足し、そうこうしてるうちにスポットライトに導かれミックをはじめメンバーがやってきます。

ここでとなりの巨人をはじめみんなセンターステージそばまで詰め寄ります。巨人は自分のサイズを気にしてか、後ろの私を気遣って「見えなかったらイスに乗ってね」と言ってくれましたが、彼の肩を叩いて、「ここに乗るから大丈夫だよ」、「ああ、遠慮なくどうぞ」といい感じ。実際はそんな必要もないほどよく見えましたが。

センターステージに全員が到着し、もうなにがなんだかわからない熱狂状態、おなじみのブルースナンバーが始まりましたがこれがどの曲なんて理解するゆとりもなく、大騒ぎして過ぎていきます。あとでマイバースデーソング、Mannish Boyだったと気づくありさま。しかしちゃっかり好ポジションで写真だけは撮り捲くります。ロニーはクリスタルギターを弾いていました。

Center Stage - Mannish Boy1  Center Stage - Mannish Boy2

次は、もうおなじみLike A Rolling Stoneです。ミックが両手を広げ煽るその姿が目の前で展開され感無量。会場中心の小さなステージからスケールの大きなうねりを生み出すこのエナジー。誰かが投げ込んだのか、白いカウボーイハットをミックがかぶり、客は大喜び、さすがTEXAS。が、ミックはすぐにそれを脱いでマイクスタンドにかぶせてしまいました。このあたりの肩透かし具合がまた昔ながらでイイですね。

 Center Stage - Like A Rolling Stone1 Center Stage - Like A Rolling Stone2

そして、タイトな構成でのBrown Sugar。ライブ用として独自の道を歩んできたかの曲ですが、ここではアルバムの雰囲気に近い感じで荒削りな印象でめちゃくちゃカッコイイ!途中で客席側からボビーがよじ登ってきてサックス参加です。3曲が終わり、センターステージ上で声援に応えます。チャーリーはスティック投げるしロニーはピック投げるし、サインにも応じるなどサービスに徹する姿は、大物でありながら身近な印象を与え好感持てました。キースもこっちに来て愛想を振り撒きますがここでデジカメの電池がなくなるというなんともクヤシイ事態になってしまいました…。ひとしきり声援に応えると、来た花道を通らず、唐突に客席に降り立ち、みんながどよめくなかアリーナ後部のゲートへ入っていきました。私の席の反対側の通路を通ったので退場を間近で見れずちょっと残念。

Center Stage - Brown Sugar1 Center Stage - Brown Sugar2

Center Stage - Brown Sugar3 Center Stage - Brown Sugar4 カウボーイ・ハットを被るミック

ここで本編終了という設定になります。場内は興奮覚めやらずざわついた感じで、またそれを少しの間味わう時間にもなってセンターステージがラストというのはいい構成だと思いました。手拍子足踏みでアンコールを叫び、そしておなじみJJFのイントロが。同時にセンターステージ四隅から赤い紙ふぶきがブワーッと噴き出されます。ここでもきらめくようなギタープレイが目立ちます。ロニーはホームベース型?のヘンなギター(通称「三味線」)を使っていましたが、これがサウンドはいいのですがルックス的にはカッコワルかったです。いつもどおりの感動のラスト、今会場では花火もなくシンプルにエンディング、まずは全員横に並んでお辞儀をし、そのあと4人残ってお辞儀をし投げキッスをし手を振ってステージから去っていきました。

非常にまとまりがよく、スピード感があって、ダレたところのない素晴らしいショウでした。日替わり的なレア曲はなかったですが、一方「捨て曲」が一曲もない濃厚で興奮しっぱなしの2時間15分といったところでしょうか。席にも恵まれ、内容も充実していて$300はゼンゼン惜しくない感じ。

ぞろぞろと会場を出て、混雑する駐車場を横切ってモーテルへ向かいます。帰りは全車道が一通規制されていて、しかも一車線分が歩行者用?に通行止めになっていたので安全に歩くことができました。ほとんど歩いてる人はいなかったですが、上空をヘリがパトロールしたり途中で警官が交通整理をしてたりしていたので、怖い思いをすることなく自分の部屋にたどり着きました。明日は朝が早いので、早めにベッドにもぐりこみましたが興奮覚めやらずなかなか寝付けなかった…(途中のGSでビールでも買っときゃ良かったかな)

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