■ 出発

11月21日 、成田発のユナイテッド航空で、今回主要ハブとなるシカゴオヘア空港へ。ちょっとしつこい入国審査をクリアし、国内線ターミナルへ移動。順調に乗り継いで遅れもなくサンアントニオへはまだ明るい夕刻に到着しました。

…5月のツアー発表時、複雑な気持ちでそのニュースを受け取りました。ストーンズのツアーを一緒に追いつづけた彼女は今や傍らにいない。多くの思い出が自分を縛り、ストーンズのツアーですら、つらい思い出にもなっていたのです。1人でも見に行くべきか、もう傍観に徹するべきか…それからツアーが始まるまで悩み続けました。しかし、ツアー開始のニュースが日本でも紹介された9月5日朝、数秒間の演奏シーンをTVで見た瞬間に「行かなければ」と決心しました。心決まってからは早かったです。演奏の安定した中盤以降、少なくとも2公演、比較的マイナーな地…等の条件でサンアントニオ、ナッシュビルを候補地に、ホテル、チケット、そして航空券の手配…と、Don't Stopの勢いにのって済ませたのでした。気分的に沈むことの多かったここ半年あまり、こうやって何かを計画することで前向きな気分に立ち直らせてくれたストーンズに、感謝の気持ちを声援にして返すのだという気持ちでテキサスにやって来たのでした…。


■ サンアントニオの街

サンアントニオ、リバーウォーク今日明日はダウンタウンのホテルに滞在です。ちなみに会場のSBCセンターはダウンタウンから車で15分位の郊外にあります。サンアントニオは地図上テキサス州の下の方にあり、気候も温暖で、1年のうち晴れの日が300日以上あるという情報どおり、滞在中はずっと好天に恵まれました。翌日はダウンタウン名物のリバーウォークをウロウロしたり、ショッピングモールを覗いたりしました。リバーウォークはそんなに大きくない川沿いに遊歩道が整備してあって、カフェやレストランが並んでいるもので、周辺はきれいに整備されていて、市の観光係も要所要所にいて親切に案内してくれたりします。キレイで安全な「アメリカの観光地」って感じ、非常に印象がいい街です。自分は観光目的でもないので「ココ行かなきゃアレ見なきゃ」ってのはないわけで、気の向くまま歩いたり、時差ぼけ解消の為ベンチでのんびり日光浴してみたり…。川沿いをそぞろ歩きする人々や、オープンテラスでくつろぐ人の中には、ストーンズのTシャツを着たガイをちらほらみかけ、「やっぱここでコンサートがあるんだな」というのを実感します。歩きつかれのども渇いたので川沿いのパブに寄り、オープンエアのテーブルでビールを味わいます。天気も眺めも良くリラックスした気分で、結局3本のRed Stripesビールを空けてしまった。その後、ちょっと街外れにあるアラモドーム(かつてストーンズも演奏実績あるはず)まで歩いてみました。今回もここなら便利だったのにね。

翌23日、コンサート当日は昼にホテルをチェックアウトし、傍にあるアラモ砦なんかを少し見物し時間をつぶします。この日はなんかの記念日なのか、オフの兵隊(海軍?)っぽい人が、久々に会ったって感じの恋人や家族達と幸せそうに過ごしているのをいっぱい見かけました。町にいるのはこれら軍人かストーンズのTシャツを着た人々…って感じ。「いいシャツだネ、今夜会おう!」とか声をかけると満面の笑顔を返してくれる、いい雰囲気でした。(ちなみに自分はどこにもベロはなかったのですが…)

3時ごろホテルで荷物をピックアップし、会場付近のモーテルにタクシーで移動です。…訪米前にサンアントニオ観光係にメールで尋ねたら、「SBCセンターに歩ける範囲にホテルはないよ」とのことだったのですが、Yahoo Mapなんかで検索してたら会場から1Km程度のとこにこのモーテルを発見したわけです。アメリカ、特に郊外では夜歩くのはいかがなものかとも思ったのですが、ビッグイベントの時は人通りもあって大丈夫だろうと勝手に予測。

3時過ぎには会場を横目に見つつモーテルへ到着。付近はほんとに今日ここでコンサートがあるの?って感じの閑散としたもので、モーテルもわりとヒマそうでした。でも、フロントでチェックインしていた他のオッサンが受付のねーちゃんに「コンサートで来たんだよ」って言ってたし、それに対し受付も、「2階に泊ってるガイズもコンサートだって言ってたョ」と言ってました。自分も「僕もそうだYo!」と言ってチェックイン。ここでパスポートを見せたらフロントの奥から出てきたおばあちゃんが「アンタはまあ日本からコンサートに来たのかい!?」てな感じでビックリしてました。「ここはSBCセンターに近くて便利よ。歩いて行けるから交通渋滞も関係ナシよ」と自慢してましたね。


■ SBCセンター

SBCセンター「いかにも」なモーテル部屋に荷物を置き、ジュース買ってきて飲みながらぼんやり…。道路沿いなのに防音がしっかりしてあってなかなか良い部屋です。バイクに乗ったオッサン達(これもたぶんストーンズ客でしょうね)がけたたましく到着したりしてそれなりに気分が盛り上がります。まだ4時ごろだったけど、明るいうちに会場までの道のり確認したかったのとチケットのピックアップが気になって、支度してSBCセンターに向かいます。タクシーで通った道を少し戻るだけなんで迷う事はないのですが、交差点に歩行者用の信号はないし、途中で歩道はなくなるし…やっぱ「歩く用」にはできてませんでした。車道を歩くのも怖かったんで途中横道に入ったらアライグマでも出てきそうなひどいあぜ道で、結局川にさえぎられて道が途切れてしまいました。頭上にさっきの車道の橋が渡ってたので毛虫とたわむれながら崖をよじ登って橋を渡り、なんとか無事にSBCセンターに到着しました。モーテルから徒歩15分位、歩くにはちょうど良い距離なんですが道路事情がイマイチでしたね。

会場近辺はまだ数人のファンが所在なげにうろうろしてる程度です。まずはWill Call窓口に行き、「Will Callチケットお願いします。」。このTicketmaster International Will Callシステムを利用するのは初めてで、ちゃんと手に入るまではちょっと心配。しかし実際にはパスポートを見せるだけで準備してあったチケットを受け取れました。本日はセクションF3、Row18、Seat18でフロアのロニー側、センターステージ真横の$300の席です。…旅行を思いたった時にはすでにスタンド席ばかりになってたんですが、1ヶ月ほどウオッチングを続けていて、ある日ひょっこり出てきたフロアのシートだったので予約しました。前の方ではないですが、センターステージ近くなんでなかなかいい席のヨカン。
*ここで注意ですが、次の公演分で、予約し確認メールもちゃんと届いたのに、しばらくしてからチェックマイオーダーで確認してみると「Your Order has been canceled」となり勝手に取り消されていました。

TMに問い合わせてみても回答はなく、仕方なく再度別の席を予約するという事がありました。(前の席より良い席が取れちゃったりしたのですが…)Cancellの通知メールなどは一切なく、たまたまチェックしたから良かったようなものの、知らずに現地まできたら…と思うとちょっとコワイ出来事でした。利用する際はマメにチェックをかけると良いでしょう。

会場外にひとつだけある売店は客がおらず、じっくりチェックできましたがたいしたアイテムもなく、あとで中の売店で買おうと思いカタログだけもらいました。他に店もなく、することもなくてベンチに座ってカタログを眺めたりして過ごしました。途中リハーサルらしき音が聞こえてきたんでヤバイなあと思いつつ聞こえない位置まで逃げたり…。(なにせ今日までセットリスト断ちの苦行をしてきた…)陽も暮れてきて少し肌寒くなってきたし、入り口前に人が並び始めたんで自分も加わります。6時半に開場し、今日の為に買った小型デジカメ(サイバーショットU)を念入りに封筒内に隠し(いちおうカメラ禁止)ゲートへ。手ぶらだったせいか特にたいしたチェックも受けず無事入場です。

入場後まずホットドッグとビールを買い、席チェックに会場内部へ。「ウマそうなホットドッグだネ!」と声をかけてくるスタッフ。イェ〜、I Love It!ここSBCセンターは今月オープンしたばかりの新築会場で、ストーンズはそのこけらおとし公演のひとつです。新築ならではの設備や備品の新しさがキモチイイ。会場は日本武道館のような8角形で、フロアから見るとけっこう天井が高いです。ステージセットはこれといって特徴もなく、地味なものでした。問題の席は、センターステージロニー側真横の5席目というなかなかの好ポジション、5席といってもすぐそばで、NSのときにセンターステージ正面2列目を経験しましたが、それとほとんど変らない体感距離です。

SBCセンターロビーあっというまにビールとホットドッグをたいらげてしまい、追加購入とグッズチェックに再びロビーへ。グッズ売り場はけっこうな混み具合で、またこれといって購買意欲をそそるものもなかったのでパス。今回一番売れてたのはたぶん、ピカピカ点滅するマグネット式のバッチでしょう。確か$5だったと思いますが、売り子の兄さんの売り込みがうまく、見てたら飛ぶように売れていました。当然、会場内部は赤い点滅だらけ。ビールを片手に、ロビーをウロウロして雰囲気を楽しみます。アメリカとはいえ、コンサート前の懐かしい「あの感じ」にすっかり気分もほぐれ、ビールのピッチも進みます。そうこうしているうちに7時半頃前座が始まりました。が、誰か知らない連中だったし特に興味もなかったので、そのままロビーに留まります。客層は、30代〜50代の比較的裕福そうな白人と、土地柄かメキシコ系のアミーゴが中心です。親子連れもけっこうみました。さんざんウロウロしましたが、日本人は見かけませんでした。(実はいたのだが)いつも感じるのですが、さすがツアー暦の長いストーンズのファン達、着てるTシャツにも歴史を感じさせます。古くは81年あたりから、VL、B2Bはあたりまえです。その多様さから、アメリカ人は一家に一枚ストーンズのTシャツを持ってるものと思われます。普段は着ないけど、コンサート前にはタンスの奥からひっぱり出してきて「まだ着れっかな」と試したりしてんでしょうね。

前座も終わった8時半頃にハンバーガーと新しいビールを持って再び席へ。自分の席の周りにも人が増えていました。右隣(センターステージ側)がすごくでかいオッサンで、その幅はゆうに2人分くらいある感じ。せっかくのセンターステージそばなのに、彼が大きな障壁になりそう…。まあ穏やかでいい人だったのではありますが…。前の席は2組のヤンエグっぽいスカした白人カップルで、なかなかノリがよかった。その右は珍しく女の子一人で、ちょっとアミーゴ系のおとなしそうなカワイ子ちゃんでした。今日の為にお金ためて来ましたって感じ、いい席でよかったね〜。

9時前にはほぼ満席となり、フロアから見上げる会場内部は2階席の上まで人で埋まっててなかなか壮観でした。トイレも済ませいつでもこい状態の9時15分、場内暗転しいよいよその時がやってきました。

SBCセンター客席

Top Next >>>