みんなのいえ  1
 
脚本読み
00/12/26

年始早々のクランク・インを間近に控えた東宝にて『みんなのいえ』の脚本(ホン)読みが行われたんよ。

脚本読みってなに?

えっとね、台本の台詞を出演者が読みながら、作品のカンジをつかもうっていうリハーサル。
僕もこういう行事に立ち会うのはこの世界に入って初めてのこと。
で、当日の会議室に行ったんだけど、『みんなのいえ』は『ラヂオの時間』と違ってキャストが多いんだ。そのキャストがほぼ一堂に会してのリハーサルは、一種異様な雰囲気。中でも大工の棟梁演じる田中邦衛さんの昔仲間として登場する職人大工の面々は圧巻。さながらの『スペース・カウボーイ』
そしてやはり、クリント・イーストウッドは我等が邦衛さん。

唐沢さん 「あの一枚岩・・いや、一枚板のテーブルですよね?」
邦衛さん 「よく・・・いや、ぜんっぜん見てないなぁ」

などと、かるいアドリブの応酬も鮮やかに、三谷作品独特の畳み掛けるセリフの応酬で脚本読みはあっちゅうまに終わったよ。いやあ、ええもん見させてもらいましたわ。

今日の棟梁(田中邦衛)
「家は、丈夫なのが一番だ!」
オリンピック映画
01/01/06

「4年前僕が初めてメガホンを取った『ラヂオの時間』が公開されましたが、『もののけ姫』とぶつかってしまい、惨敗を喫してしまいました。
そして、こうしてまた新たにメガホンを取る機会を手にすることができましたが、今年はなんと『千と千尋の物語』
またしてもジブリ・・・」

そんな三谷さんの挨拶で始まった『みんなのいえ』のスタッフ顔合わせ。
思い返せば4年前、『ラヂオの時間』の顔合わせをこの部屋でしたんだよなぁ、と感慨もひとしお。行って来ました、東宝まで。

例年どうりなら年をまたいでの映画制作に追われてるんだろうけど、今年は年頭のっけから綺麗に始まったよ。しかも新世紀。そして三谷作品。なんか気持ち的にも半紙に一筆したためようか、ってなカンジでしょ。ちがう?したためようよ。

三谷さんは言ってたよ。
普段めったに映画を観ない人。それこそ年に一本行くか行かないような人も足を運んでくれるような映画、そんな映画にしたいんだ、と。
うん、大賛成。がんばるぞぉ!

今日のデザイナー(唐沢寿明)
「やっぱりルドルフ・シンドラーのアメリカニズムかなぁ」
How would Lubitsch
have done it
01/01/10

お正月の3日深夜に、三谷さんがビリー・ワイルダーと会うって番組をやっててね、見た人いる?面白かったよ。
三谷さんは、普通の人が見たらなんてことはない、ともすれば見落としがちな機微を笑いとして救い上げるのが巧いですね。
で、その番組でワイルダー氏にしてた質問のひとつが、
「これは面白いだろう!って自信あるところで、お客がクスリともしない挫折を味わったことがありますか?」って内容だったんだけど、結構執拗に聞いてたから、よっぽど過去に苦渋を飲んだ経験があったんだね。いや、三谷さんは常にその不安と戦ってるのかも。
僕も笑いの質は違えど『ケイゾク/映画』で味わったからね、もう三谷さんにそんな想いはさせないよ。
がくがくがく!ぶるぶるぶる!
あっ、この足め!なに震えてんだよ、えいっ!えいっ!

ちなみにビリー・ワイルダーの部屋には、
「 How  would Lubitsch have done it(ルビッチならどうする?)」という言葉が額に入れられて飾ってあるんだって。
ワイルダーが作品を模索するときの判断基準としてエルンスト・ルビッチを意識していた、というエピソードなんだけど、ワイルダーを尊敬してやまない三谷さんもそれにあやかって「How would wilder have done it」というワイルダーに書いてもらった言葉を仕事部屋に飾ってるらしいよ。
で、この前編集室に行ったら、その言葉をプリントアウトした紙が壁に貼ってあった。
あの番組を見ていたらしい森下の仕業だ。ふふふ、やるな、森下!
でも、よくみると、その下に小さく「 How would abe have done it」と付け加えてあったよ。
おのれ、森下めっ!

今日の棟梁
「風刺がきいてて、たいっへん面白い」
試練、ふたたび
01/01/15

『みんなのいえ』をやることになって、いろんなひとから励ましの声をかけられるよ。

声1 「三谷作品やることになったんだって?おめでとう。楽しみにしてるよ」
「ありがとうございます」
声2 「特報見たよ。この時期からやるなんて力入れてるんだねぇ、がんばってね」
「はい、がんばります」
声3 「『ラヂオの時間』は面白かったからなぁ。こんどもまたなんかやってくれるんでしょ?」
「ええ、楽しみにしててください」
声4 「なんたって『ラヂオの時間』はテンポがよかったよなぁ。あれはやっぱり編集の効果だよね」
「そうですよね」
声5 「やっぱりコメディは編集が肝心だよな。笑いの間を活かすも殺すも編集だよ。あれは誰がやってたんだっけ?」
「阿部さんです」
声6 「今回も阿部ちゃんは見せてくれるんだろうね。あれ?阿部ちゃんは?」
「あ、いえ、今回は僕が・・・・・」
声7 「ところで、君、なんでここにいるの?」
「・・・・・・・・・」

ガチャン! バタン!

阿部!阿部!阿部!
どいつもこいつも阿部!またしても阿部!

声8 「いやあ、バトルロワイヤルの編集はかっちょよかったねえ。さすが阿部ちゃ・・・」

ズドン!ズドン!ズドーン!!

声8 「・・・・・がくっ」

ふー、ふー・・・

あれているな、ジャギ。

あ、あ、あ、兄者!
兄者は全然気にならないのか、この阿部祭りぶりを!

正当な評価だ。

ぬっ、くっ!
だが兄者!俺にもプライドがある。行く先々で比べられる俺の身にもなってくれ!これではまるで、タッチのタッちゃんではないか。

みなみ 「みなみを甲子園に連れてってくれるのはカッちゃんだよ」

ズドドン!

みなみ 「・・・・・がくっ」

デミッ!ガーーーーデミッ!

貴様が認められたくば、力で示せ。力なくば消え去るのみ、力こそが正義!

今日のデザイナー
「トイレを薄暗くするっていう発想が古いんだよ!」


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