典と言えばもちろん・・・


何となく、そんな気がしていた。

かなりのどしゃぶりだし、ダートで合わせたときはマックイーンが先着したしね。

ライアンから流そうとした直前で、3点買いにした。

一番人気でありながら、ライアンは3着でクラシックレースを無冠で終えた。

「馬は最高!あとは乗り役の腕次第」と言っていた典弘騎手。

三味線だなんて言う人がいるけど、典弘騎手は負けたとき馬のせいにしない。

少なくてもメジロライアンに掛ける思いは偽りがなかったと思う。

「ライアンが一番強い」と言い続け、他のどんな有力馬よりも優先させていた。

キョウエイタップのエリザベス女王杯。

完全に抜け出したキョウエイタップの後続の連は買ってある。

「よし!取った」とテレビの前で叫ぶのと同時に、

ゴールはるか手前から、馬から落ちんばかりの激しいガッツポーズでゴールを突き抜けた。

すごくうれしかったんだね。

善臣のヘビーファンになっていなければ、確実に典に心酔していたよ。

もちろん今でも、善臣の次に好きなジョッキー。

「これで負けたら、もうライアンが一番強いとは言いません」

ライアンに対するコメントをさんざん叩かれた典弘騎手が宝塚の前にそう言った。

寂しく思った。

追い込みのライアンが3コーナーからしかけた。

「抜かさないで、誰も抜かさないで・・・」

典&ライアンファンのかいちゃんがずっと横で唱えている。

マックイーンの脚はとどかなかった。

長い道のりだったライアンのG1奪取。

観客の歓声に答えて何度も何度も頭を下げる典弘騎手。

そういえば、ダービーでライアンが負けたとき、謝るように深く頭をさげていたね。

2度目の故障を起こし、秋のG1を待たずにライアンは引退した。

いっつも強気でカッコつけてる典が、ライアンの引退式でボロボロ泣いていた。

ライアンに会えて良かったね。

JRAのライアンのポスターのコピーは『本当の強さは誰も知らない』

でも、きっとあなたは知っていた。