「晴れ姿」

民謡のコンクールに行くハメになった・・・。

母が習って6,7年になるのだが、とうとう大きな大会に出ることになったのだ。

私は応援に行ったわけではない。

母が一人で会場までたどり着けないと泣くからだ。

うちの母は一人で電車に乗れないとんだ田舎者だ!

たかが、一回の乗り換えで1時間足らずでつくじゃないか。

『日本武道館』なんて。

朝方に見る武道館はかなり新鮮。

お堀の様子もすがすがしく、旧江戸城田安門も威厳があった。

武道館の中に入るとコンサートグッズを売るノリで売店がある。

「おしゃれ三味線糸入れ」「尺八ケース」「民謡カラオケテープ」「日本の民謡全集」

その中にあって、「日本武道館キーホルダー」があるのは納得できるが、

キティやドラえもん、揺れると光るイルカのキーホルダーはいったい・・・。

楽屋では、男性も女性もごったになって着物に着替えていた。

まぁ、みんないい年の方々だが、若い人の部門の時はどーしているのだろうと、

シャツとガードル姿でうろうろしているおばさま達を見ながら思った。

しかし、着物の威力ってすごい!

くたびれたスーツ姿のオヤジたち、ゴムのスカートのおばちゃんたちがどんどん粋になっていく。

をはいて尺八をさりげなく持っているオヤジや、着流しで発声練習しているオヤジの

カッコイイこと!

どんなちっちゃくても、ハゲちゃってても着物ってみんな似合う。

やっぱり日本人は着物だ。

父親の威厳がなくなったのは洋服を着るようになったからじゃないかなぁ。

ピシッとした背中には、満員電車で見る情けなさは微塵もない。

ここぞという時はみんな着物をきるべきだ。

会社でも節目にはジジイどもに紋付き袴を着せたらどうだろう。

なんか、日本人っていいなぁと思った一日。

母はスレスレで部門別の入賞を果たし、3人に1人はもらえるトロフィーを抱えて

ご機嫌で帰っていった。

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