馬の耳に真珠

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その拾弐

林檎の唄2

久しぶりにお馬の話を書こうと思ってたのに。 やっと買えた椎名林檎のダブルシングル
聞いてたら、創作(?)意欲が萎えた。
というか、馬の話のBGMにはならんのだわ。林檎の唄は。
余談だが、食事中に聞くのもイケナイ。食欲が失せる。これは嫌いとかうるさいとか
いうことじゃなくて、林檎の唄はどうも、私の脳の別の所を刺激するみたい。食欲中枢は
刺激してないのは間違いない。

さて、本題。
全体の印象は、私にとっては「ノスタルジー」。今時の若いモン(爆)にとっては新鮮なんだろ
うな、アレ。林檎が売れてる理由の一つに、メロディーと歌詞がちゃんとあるってことがあげ
られるような気がしている。ちょっと昔の曲はみんなちゃんとメロディーと詩があったんだよ。
最近R&Bが流行ってるのもその辺関係ありそうだと思ってる。ミスチル、スピッツ、ゆず等
が売れるのもまた然り。ファンの人が読んでたら申し訳ないが、TKとかいう人の音楽は
「歌」でもなく「唄」でもなく、そこには「詩」もない。わざとなのかもしれないけど、はっきり言っ
ていいのなら、私は「大っ嫌い」。(思いっきり言ってるがな^^;)

本題と言いながら外れた。戻りましょう。

「罪と罰」を聞いた感想:「ビリー ホリデイ」「ジャニス ジョプリン」が聞きたくなった。
何でかって?
そのココロは、「Summer Time」
たくさんの人が歌ってるこの曲の中で、この二人が歌ってるのが最も好き。
この曲聞いた事ある人はお気づきでしょうが、「罪と罰」冒頭の部分(「Aメロ」とかいうの
かな)は、「Summer Time」のカバーでしょう。もっとも、私が言いたいのはオリジナルじゃ
ない云々じゃなく、林檎姫のアレは、私の最も愛する二人の「Summer Time」に匹敵する
くらい私をゾクゾクさせたってこと。この曲に私が持ってるイメージに一番近かった。血を
吐くような孤独と絶望、そして小さな希望のカケラを握りしめているイメージ。
元々は子守り唄なんだけどね<「Summer Time」

「ギブス」の方やこれまで聞いた曲も含めてなんだけど、林檎姫の唄を聴くと、「虚しさ」
いう言葉を思い出す。物語の先にある「何か」に焦がれてはいるけれど、最後には「虚無」が
やって来る事を知ってしまっている。だからこそ、刹那の中で激しく生きる。
人間の一生なんて長いようでも、暮れからみんなが思いを馳せた、千年という流れからみれ
ば、ほんの一瞬でしかない。
偶然なのか意識してか、「歌舞伎町の女王」の冒頭に「蝉」が登場する。7年もの間地中で
暮らし、地上で生を謳歌するのはたった一週間。しかもそれは種の保存が目的。刹那に
燃えるものの象徴のような生き物だ。刹那に謳歌することと欲望を曝け出すことは、
無関係ではない。 人が林檎の唄を聴いて切なくなるとすれば、それは「諸行無常」を
サブリミナルに感じてしまうせいかもしれない。

ややこしい話は終わりにして、「罪と罰」にカップリングされている2曲にはただ拍手。
「君ノ瞳ニ恋シテル」は、四半世紀以上前じゃないの?原曲。私でさえ一番最初は誰が
歌ってたか知らないもん。なんか、体育の授業で創作ダンスの課題曲だったような記憶
もある(^^;。洋楽のなつメロとすら言えるド定番ポップスを、見事にブっ飛んだアレンジで
演ってくれた。こういう曲、どこまで原曲のイメージ崩せるか、挑戦してみたくなる時って
あるのよね。
「17」は、歌詞がいいですよ(笑)。
『私の高校はイナカにあって、生徒はみんなジャージを着てる。』
全体を読むと、英語で書いたワケがわかるような気がするよね。日本語じゃ恥ずかしくて
歌えないでしょう。でも、歌いたかったんだよね、きっと。林檎姫は、誇りに思うと同時
に傷でもあった『皆と違う』自分を、今も感じているんだろうか。

「ギブス」のカップリングの「東京の女」も歌謡曲チックでいいです。
GS(グループサウンズ)の次はムード歌謡と来たか。
いったい林檎姫は何聴いて育ったのやら。
そのうち、「天城越え」林檎バージョンとか「北の宿」林檎バージョンもやってほしい。
演歌歌わせたら長山洋子よりよほど上手な気もする。

相変わらず歌詞のサビ等に意味のない英語がなく(むしろ意識して排除してるね)、英語
の場合は全部英語っていう徹底ぶり。カラオケ受けを狙ってるどっかのプロデューサー
とは大違いなのも気持ちいい。

正直言って、林檎姫がこんなに売れてるのって不思議。
最初に見た時、古き良き時代の「宝島」あたりでカルトに愛されるミュージシャンの匂い
がしてたのに。うれしくもあり、哀しくもあり。何せ私は天の邪鬼なもんで、バリバリ
メジャーってのがちょっと苦手。まぁ、いいものはいいし好きな物は好きなんだけどさ。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
奢れる者久しからず、唯、春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂には亡びぬ。
偏に風の前の塵に同じ。
何となく、書いてみた。「平家物語」の語り出し。記憶が定かじゃなかったので、
平家物語に関するHP探したら、あったんだよね。驚いた(笑)。
興味がある方はどうぞ。 「平家の物語」


その拾弐おわり

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