トップログイン




大澤 武司
(Dr. OSAWA Takeshi)



 


研 究 日 記
(2007年1月)


□2007年1月27日(土)  戦後「満洲」史研究会

 早稲田大学にて「戦後における『帝国』の遺民―引揚・留用・帰国・残留・定着」研究の現状と課題」というテーマで報告。他のシンポジウムや研究会などと日程が重なっていたにもかかわらず、思いのほか参加者が多かったのは嬉しい限りだった。

 私の場合、どうしても日中関係という視角から考察してしまうので、「『帝国』の遺民」という大きなくくりで体系的に問題提起しようと風呂敷を広げても、ところどころ抜け落ちてしまう要素があった。もちろん、それらの要素についても、常日頃から問題意識は持っているが、いざ、それらを体系的に組み込もうとする場合には、やはりそれぞれのテーマを専門とされてる研究者の助言が必要であることを改めて気づかされた。

 質疑応答を含め、充実した研究会になったと思う。

コメントトップ



□2007年1月24日(水)  「引揚・留用・帰国・残留・定着」研究について

 ばたばたしているのだが、随分前から仰せつかっていた報告だけに、どうしてもキャンセルできない。とりあえずメインとなるレジュメを仕上げた。

 研究動向の紹介が主眼なので、そんなに気張る必要もないのだが、参加者に興味を持ってもらいたいということもあり、当日は最近動きの激しい中国残留日本人孤児問題に関する国家賠償請求訴訟などについても、若干補足したいと考えている。

 急な仕事をこなした徹夜明けだけに、ちょっと辛い...。

コメントトップ



□2007年1月22日(月)  「愛国」と「反日」 その2

 報告に対するコメントを依頼されて以来、随分と関連する文献を読んだ。春からの授業で「日中関係」を扱うこともあり、「愛国主義教育」と「反日」に関する問題について、私なりの考えをまとめるちょうど良い機会になった。

 内容が「極端」なのものはともかくとして(もっとも、この「極端」なのが日本側の「大衆ナショナリズム」の発露でもあり、最も警戒すべきものであるのだが)、「愛国主義教育」について中国研究者や日中関係研究者が発表している論稿は、1995年以来、全般的にはすこぶる客観的かつ冷静である。

 国会図書館の雑誌記事検索を利用して、1994年以降における「反日」や「愛国」に関する国内言説の数量的推移を確認。やはり2003年以降、数量的に顕著な増加傾向が見られる。また、内容的にも分析の精度が飛躍的に向上しているように思われる。研究者の取り組む姿勢も真剣度が増している。

 ようやくレジュメがまとまった。本番はスマートにコメントできればと思う。

コメントトップ



□2007年1月20日(土)  実家

 先週に続き、息子を連れて実家に戻る。すぐに帰れる距離というのは、こういう場合、本当に有難い。

コメントトップ



□2007年1月19日(金)  新年会

 新年会参加のため三田へ。何かお役に立ちたいが、何とも勉強不足である。

コメントトップ



□2007年1月18日(木)  「愛国」と「反日」

 2005年春の「反日」デモ以来、中国における「愛国」と「反日」の関係を扱った日中関係論が数多く発表されている。数が多いだけに、その論調の幅も極めて広い。これらをすべて踏まえてコメントを考えるのは難儀である。

 しかし、曲がりなりにも「戦後日中関係史」を細目に掲げ、暫し国家の禄を食んでいる以上、自分なりに先行する論稿を整理し、傾向を把握し、自らの考えを確立しておく必要があろう(とはいえ、私自身はまだ「チャイナ・ウォッチャー」として誰にも認められていないし、自らもそれに相応しい情報追跡もできていない)。

 大雑把に言えば、やはり「政治」、「経済」、「文化」、そして「歴史」というそれぞれの側面について、それぞれの研究者が自らが得意とする分野について分析を加え、それぞれの文脈において「冷静」な主張を展開しているようである。

 全体の傾向として、少なくともきちんとした研究者が発表している論稿は、「愛国」教育の実施と「反日」意識の醸成という結果との関連には否定的である。私個人が取り組んできた研究(中国共産党による「党史総括」)の文脈においても、この点に異論はない。

 とはいえ、「結果」をどのように評価するのか、という問題は残されるようにも思う。たとえそれが政策決定上の優先順位づけの結果として生じた「事態」であったとしても、「他者」からそれがどのように認識されるのかという問題は、また別の問題であろう。この点については、日本側についてもまったく同じことが言えよう。これこそが相互理解の難しさの根源といえようか。

 さて、どのようにコメントしようか...。

コメントトップ



□2007年1月17日(水)  出版準備

 神保町にて編集者の方と初顔合わせ。学術書の出版事情などについて丁寧な説明を頂く。服部龍二先生から頂いた『幣原喜重郎と二十世紀の日本―外交と民主主義』(有斐閣、2006年)を読み終え、すこぶる興奮していたところだったので、自らの単著刊行についても嫌が応にも気持ちが高ぶる。まずは師匠に相談しなければ...(相変わらずお忙しいようで、年末に北京でお会いして以来、新年のご挨拶もできていない)。

コメントトップ



□2007年1月16日(火)  混乱

 更新が滞り、誠に申し訳ございませんでした。また、戦後東アジア国際政治研究会の皆様には、私的な事情により週末の報告をキャンセルさせて頂きましたこと、この場を借りまして心よりお詫び申し上げます。

 年末に届いていた研究奨励費関連の手続書類。前回と同様だと思い込み、しばらく放っておいたら、1月19日の締め切りまでに受入研究者と受入研究機関の長(学長!)の捺印が必要な「受入承諾書」を提出しなければならないとのこと。年明けのお忙しい時期にもかかわらず、受け入れをお願いしている先生より快くご捺印いただく機会を賜り、ひとまず安心。無事に書類を提出し終えた。

 勢いに任せて他の事務作業にも着手。4月より母校で中国語の授業も担当させていただくのだが、年末より進めてきたテキストの選定を終え、シラバスを作成。この過程で出版社から数多くのテキスト見本を送って頂いた。

 学部1年生を対象とするものは、とにかく「発音」重視。学部2年生を対象とするものは、日常的に「漢字」を用いる日本人の利点を活かして、中国語の新聞や雑誌の記事の大意が理解できるようになることを目指し、読解のトレーニングを中心にしようと考えている。「情報収集のツールとしての中国語」という位置づけである。

コメントトップ



□2007年1月5日(金)  仕事始め

 あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

 年末は成田から実家に直行したため、本日ようやくの仕事始め。もっとも「仕事」とは言っても、研究会の報告準備、新年度の講義準備、公募への応募書類の作成、フェローシップ関連の事務手続き、新年度の保育園入園申請書類の作成など、相変わらずの内容である。

 なによりも北京から持ち帰った档案の分析にとりかかりたいのが本音なのだが、本年度における仕事の「優先順位付け」の意味も含めて、まずはホームページの更新にとりかかる。来年度の基礎演習(学部2年次対象)について、この時期に調査を入れている学生は皆無だろうが(期末試験準備で精一杯!)、情報だけはアップしておく。やはり今後の大学教育は、これまで以上にフットワークの軽さが求められよう。

コメントトップ


Copyright(C)1995- OSAWA Takeshi. All Rights Reserved.
(ポップアップ・メールのアドレスは@が#に変更してあります)