大澤 武司 (Dr. OSAWA Takeshi)
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研 究 日 記 (2004年3月)
□2004年3月31日
無事に台湾から帰国した.選挙結果についてはいまなお混沌とした状態が続いているが,いずれにせよ,このような過程を経ることにより「台湾の民主化」はさらに進展していくことになるのだろう.ただ,残念であったのは「銃弾」により「台湾の民主化」の「分水嶺」ともなるべき今回の総統選挙が混乱のうちに実施されてしまったことである.あまりにも票が僅差であったため,最終的に何が今回の選挙結果の決定的要因となったのかについて明確な解答が得られないままに民進党の勝利が決定してしまった.このまま選挙結果が確定することになった場合,果たして将来の歴史家は今回の選挙をいかに評価するのだろうか.
現在,新たに書評の執筆を予定している.1950年代の日中両国の外交政策を扱った当該書は,私にとって「ストライクゾーン」とも言える内容のものとなっており,若干ながら書評する使命感みたいなものすら感じている.
□2004年3月12日
初めての試みである.埼大以来,大変お世話になっているある教授との共同論文執筆を進めている.戦後日中関係史を専門としている私ではあるが,新中国そのものを対象とした研究にはまだまだ不慣れなところがある.中共党史の諸理論と真正面から格闘する今回の試みは,大変貴重な訓練になっている.私のような未熟者にこのような機会を作ってくださることに本当に感謝している.
ちなみに,教授は最近,学位論文を纏められた『中国国民革命政治過程の研究』(校倉書房,2004年)という大著をご出版なされた.研究の「集大成」というものがいかなるものであるのかを身を以って実感した.
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