12

シングル様式の宣教師館

 日本には戦前から現存する洋風の宣教師館は29を数えるそうです。今回は雑司が谷の旧宣教師館を訪ねました。

 この建物は、アメリカ人のマッケーレブが自らの居宅として明治40年に建てられ、幾多の人手を渡って今日に至っております。

 内部も色々と改造されたが現在は元の姿に戻り、豊島区の有形文化財として一般の方々に広く公開されています。

 この建物の建築様式は、全体としてシングル様式で構成され、外壁は下見板張りで裾をスカートのように広げてあり、アメリカの19世紀後半のシングルスタイルと呼ばれる住宅の一種だそうです。

 これを建てるのに携わった大工さんは、藤崎氏と言われ、渋沢栄一の信頼が厚かったそうです。

 この宣教師館は一時老朽化が進み、このまま置くのも危険になり、壊して鉄筋住宅の建設計画が進められましたが、周囲の住民や建築学会等が明治の木造洋館は、建築上貴重である事から保存運動が起こり、その甲斐が実った今日その姿を留める事になった、都内に残る数少ない西洋館になりました。

 皆様も是非見学に行かれてはいかがでしょうか。

1994年)

 

TOP    BACK