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むつごとも まだつきなくにあけにけりいづらは秋のながしといふ夜は
凡河内躬恒





 あかねは、年が十五も離れている友雅と比べると、自分がどうしても

一方的に頼りがちなのを日頃から気にしていた。


 いつだって先生で保護者な友雅。あかねは生徒で子供だ。


 しかし友雅は、そんなあかねを笑っていなす。


「神子殿がそんなことを気に病むことはないよ。私など君とめぐり会って

から、この年になって初めて知ることの何と多いことか」


「……本当ですか?」


 あかねには想像がつかない。


「信じないの? そう例えば……秋の夜が長いだなどと大間違いだったね」


「え?」


「君と共寝の夜の短さと言ったらどうだろう。もっとむつみ合いたいのに、

すぐに夜が明けてしまうじゃないか。眠る間だってありはしないよ」






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