祥慶学園の王子様、ラ・プリンスには、いくつかの謎がある。
「ねぇ瀬伊くん、ラ・プリンスになるとCDが出るって噂を聞いたんだ
けど、それってホント?」
「CD? 僕たちが歌ってるっていうの?」
「うん。それがすっごくエッチな雰囲気の歌で、聴くだけで妊娠しそう
だとか何とかさ。もう評判なんだよ」
「ふーん」
「やっぱり噂はただの噂かぁ。祥慶祭のステージでだって、バンドとか
そういうのなかったもんね。あはは」
「歌うのも嫌いじゃないけど、僕はやっぱりピアノの方が好きかな」
「一哉くんとか他の三人が歌ってるのって想像つかないけど、瀬伊くん
作曲もするし歌だって上手じゃない! もし瀬伊くんのCDがあるなら、
あたし欲しいな。好きな時、いつでも聴けるもん」
「へぇ、そう?」
「うん」
「ホントに聴きたい?」
「うん」
「ホントにホント?」
「ホントだってば。あたしヘンなこと聞いちゃった?」
「ううん。君が本当に聴きたいなら君にだけ歌いたいと思って」
耳元で吐息混じりに歌われておかしくなった後は、もう彼のしたい放題。
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