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 ラ・プリンスの謎・その3 





 祥慶学園の王子様、ラ・プリンスには、いくつかの謎がある。



「この学園に入ってフランス語とか始めてから気になってさ。語学が得意

な一哉くんなら答えられると思うんだけど」


「何だよ。言ってみろ」


「“ラ・プリンス”って……何語?」


「英語は」


「ザ・プリンス?」


「フランス語は」


「えっと……ル・プランス?」


「ドイツ語は」


「…………わかんない」


「der Prinz(デア・プランツ)だ」


「ふむふむ。で、ラ・プリンスは?」


「──お前、祥慶に通うようになって結構たつのに、まだわからないのか」


「え〜っ。教えてくれないならいいよ。英二郎先生にでも……」


「馬鹿、教えないとは言ってないだろ」


 腕をつかまれ、引き止められたと思ったら、互いの顔が目の前で。


「語学の補習をしてやるよ。“Le Prince”。LとRの発音は分けろよ。

ちゃんと舌使え」


「舌ぁ?」


 言われて反射的にちらっと出した舌を奪われる。一瞬触れる互いの唇。


「なななななな何っ!」


「ラ・プリンスは、言わば祥慶語。……授業料よこせよ」


 ラ・プリンスのディアデームはそう言って今度は深く口づけた。






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