「ホントあちこちよくガムくっついてるけど誰が噛んでるんだろ」
仕事の合間の眠気覚ましに一哉くんが?
一番ガムとか似合いそうなのは麻生くんかな。
でも、いくら何でもカーペットにガムくっつけて放置するかな?
そういう事しそうな面倒くさがりは……瀬伊くんの様な気もする。
「依織くん……じゃないのは確かだよねぇ。これは絶対!」
「おや、どうして?」
いきなり背後から依織本人に声をかけられて、家政婦むぎは飛び
上がった。
「わわっ、聞いてたの?」
「どうして僕じゃないと思うのか教えてほしいな」
「えー、だって依織くんがガム噛んでるのって似合わないもん」
「そう? じゃあ僕が口寂しい時は、どうしようか」
ふっと瞳をのぞき込まれて、捕らわれて──。
キスされたのは、誰にも内緒。
|