家政婦の仕事を終えると、同居人全員が順番に、その日の仕事ぶりを
評価しに、むぎの部屋まで来るのはなぜだろう。
こっちは疲れて眠いし、明日の授業の下調べや、お姉ちゃんの事とか
やること山盛りなんだから、小姑よろしく、わざわざ言いにこなくたっ
ていいのに。
百歩譲って、家主の一哉が代表してチェックじゃダメなのだろうか。
「もしかしてボーナス査定とかあるのかな。……まさかね」
いくらなんでも、そこまで一哉は気前が良くないはずだ。
「御堂に言われたからに決まってるだろ」
むぎの疑問に、あっさりと麻生は答えた。
「えー、一哉くんってば、なんで……」
「一人の目だけで見ると評価が偏るからじゃねぇの?」
「だからさ、何だってそんないちいち……麻生くんだって面倒でしょ」
「……別に今は、そうでもないぜ」
「今は……?」
「…………寝る前に必ず、お前の顔……見られるわけだし」
頬が熱くなるのは、誰のせい?
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