憬文堂
遙の書棚 Fullkissの書棚 いろいろ書庫 憬の書棚 刊行物ご案内 お食事日記掲示板 web拍手 メールフォーム


 御堂家の謎・その2 





 家政婦むぎには、御堂家で暮らす男達の行動が理解できない。


「なんで仲がいいわけでもないのに、みんなよく他人の部屋にいるんだろ?」


 むぎが頼まれた掃除をしようと部屋に入ると、頻繁にその部屋の主でない

男がいたりする。彼らが人の部屋で何をしているのか謎だ。


 普通、同居していて、個室の主がいない時、その人の部屋で待っていたり

するだろうか? いつだって会おうと思えば会える相手なのに。


 まったく、上流階級のお坊ちゃんというのは、妙な人種だ。


「そんなの、君と一緒の理由だよ」


 瀬伊がにっこり笑って答える。


「なに、それ?」


「胸に手を当てて考えてみたら?」


 まさか、ヤサガシ? この人たちも? あたしには説教するくせに!


「ふふっ。そんな顔しても、だめだよ」


 ──君といたいから、なんて教えてあげない。







● フルキス・ショートショートへ 


遙の書棚 Fullkissの書棚 いろいろ書庫 憬の書棚 刊行物ご案内 お食事日記掲示板 web拍手 メールフォーム
憬文堂