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7つの風が出会うデコボコの野原

ジュリ 「やあ、ポポロンさん」 ポポ 「やあ、って どういうシチュエーションなんだろう?」 ジュリ 「お正月だろ? おこたでみかんを食べてるところにキミが来たんだ」 ポポ 「なるほど。それにしてもお正月はお客が チョコチョコ来て忙しいね」 ジュリ 「うん、昨日も来たね。 お正月から他人の自慢話を聞くのも疲れるね」 ポポ 「そういうお客なんだ、昨日の人は」 ジュリ 「うん、俺が俺が!っていう人だよ。 しかし、なんで人はああも自分のした事 を自慢したがるのかしら」 ポポ 「まぁ、自慢じゃないにしても、 自分のした事は話したいものさ。 ジュリだって 良い音楽が出来たら、 みんなに聴いてもらいたいだろう?」 ジュリ 「まぁ、ちょっと違う気もするけど。 それで、誉めてもらえたらうれしいよね」 ポポ 「多かれ、少なかれ、みんなそうさ」 ジュリ 「ポポロンの郷でもみんなそうかい?」 ポポ 「人間ほど虚栄心は強くないけどね。 こんなことがあるんだ。ポポロンの郷には 7つの風が吹いている。 それは、それぞれこんな顔をしているんだ。 笑い顔 泣き顔 怒ってる顔 困ってる顔 嬉しそうな顔 威張ってる顔 ぼんやり顔 とね。 その7つの風がデコボコの野原で出会うんだよ。 その野原は、人間の世界で言うところの『社会』だね」 ジュリ 「ハハーン、色々な人がいて 社会が形成されているということだね」 ポポ 「そう。そして、7つの風が同じくらいの力 でそよそよと吹いていれば問題はないけど、 どれかひとりが強く吹いちゃうとバランスが崩れちゃう」 ジュリ 「でも、みんながニコニコしていればいいじゃない?」 ポポ 「概して、そういう風は力が弱いもんだよ」 ジュリ 「なるほどね」 ポポ 「デコボコの野原は、 それぞれの心の中にもあるんだよ。 ジュリも耳を澄まして、心の中を覗いてごらん」 ジュリ 「あれ、心の中を見てみると、 星も無く聖なる闇が広がってるんじゃないの?」 ポポ 「キミは、キング・クリムゾンの聴きすぎだよ」 ジュリ 「ああ、今僕の心の中では、 笑い顔の風が吹いているよ。 ポポロンさん、ホラ!」 ポポ 「ボクの心の中も、 いつも笑い声の風が吹いてるんだ。 でも、それは案外、難しい事なんだよ」 そういって、 ジュリとポポロンさんはこたつで居眠りを始めました。

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