2002-06-22
少し前、宮尾 岳 さんの『並木橋通りアオバ自転車店』という漫画を見つけて、5巻まとめて購入。 この漫画、自転車と人々のエピソードを描いた作品。 基本的に「アオバ自転車店」は毎回登場する名脇役といった感じで、主役はその時々のゲストと自転車。
この漫画、漫画としては普通(?)なのだが、妙に自転車が欲しくなってしまう点が困ったもの。
4巻に収録されている「その角を曲がって」では、英国の折り畳み自転車 BROMPTON が登場。 アオバちゃんの「行ける所まで行って、疲れちゃったら折りたたんでバスか電車に乗っちゃえばいいのよ。」という台詞が心に残るお話であった。 ちょうど「電車で運べる自転車が欲しいなぁ」と思っていた所だったのだが、それを可能にする自転車を具体的に示された格好。
とりあえずネットで調べてみる。 通販をやってるページの商品説明を読んだり,カタログをダウンロード(PDF形式)してみたり。 個人の作ってるページを見れば、オーナーの立場でいろいろ書いてあるので参考になる。 更に「折りたたみ自転車&小径スポーツの本 Vol.2」というムックの存在を知り、本屋を当たってみたり。 いやはや、便利な世の中になったものだ。
えー、途中はザックリ省略して、車種は UK BROMPTON で内定。
理由は分からないが、とにかく他に興味の沸いたモノには出会えなかった。 r&m の BD-1 なんか人気があるようだし、電車との絡みなら Panasonic の Traincle 6500 てのもある。 けど、特徴がある反面で気になる点があるものだ。 その点 BROMPTON は際立って凄くない代りに、これと言った不満も見当たらない気がした。 自分には向いていそうだ。
ライセンス生産版(T3 や L3)じゃなくて UK を選ぶ理由だが、概ねに好意的な意見で統一されている点を挙げたい。 程度は分からないが、"乗り物"として格上のようだ。 それに、OEM版のイマイチな点を先に知ってしまったのはマズイ。 もし「そう」だったら、そりゃぁ後悔するだろう。 危険だ。 危険すぎる。 精神面の安定を図る意味からも、UK 以外は考えられん!
販売店に関しては、和田サイクル(東京・西荻窪)1, サイクルサービスおおやま(千葉・松戸), LoRO Cycle Works(大阪・天王寺), Moku 2+4(京都・西京極) 辺りが良さげ2で、"聖地"などと呼んでいる場合も…。 それと、その辺の街の自転車屋さんでは BROMPTON は売ってない模様。 或る程度"専門店"的な所でないと難しいかと。 そーだったのか。 走ってるの、時々目撃するのだが…。
その辺の自転車屋で扱っていないとなると、通販利用か"聖地"へ赴いて入手という事になる。 通販でも構わない気がするが、何かあった時に顔の見える方が安心かな。 自力で何とかできるならどっちでも構わないだろうけど、当方、まったくの素人だからなぁ。
ともかく、和田サイクルさんを訪ねてみる事にする。
とある土曜日、JR総武線 西荻窪駅へ。 とりえあず北へ向かい、桃井4の交差点に出る。 近くの交番で道を訪ねると、町名番地じゃなく「和田サイクル」で話が通じた。 もしかして、名物ショップ? 場所は、青梅街道を東に少し歩いた、桃井4と桃井3の境界の信号の所だ。 歩いていると、少し先の歩道を緩衝材を巻いた BROMPTON が走ってるのが見えた。 見〜っけ。
先客(さっき BROMPTON を試乗してた人)が一段落ついた所で声を掛ける。 指名買いなので UK BROMPTON が欲しい旨を伝える。 色は Green を希望。 すぐに予約状況(←在庫ではない)を確認してくれて、Green は予約で無くなっちゃったから、他の色ならどうかと。 「Yellow が2台と Blue が1台あったかな…」3 随分少ないやん! でも Blue があるのなら予約を入れる事に決定。 あと、スタンドと輪行袋ね。
以上をお願いして、撤収。
客としては明らかに一見さんなのだが、とても親切に対応してくれたのが印象的だった。
翌週金曜日、帰宅したら留守電に UK BROMPTON 入荷の連絡が入っていた。
翌日、つまり予約を入れてから1週間後、再び和田サイクルへ赴く。
今回は先客が多かったので、とりあえず声を掛けて、のんびり先客の対応が終るのを待つ。
幸い、店頭には珍しい自転車がわんさか置いてあるので、眺めているだけで結構楽しい。
しばらくして出てきた和田さん、なんと1BOX車に向かう。 リヤハッチを開けると、ずらり並んだ自転車の箱。 はー、車が倉庫代わりですか。 箱のひとつを引っ張り出して、「ほら、こんな色。」と中を見せてくれる。 実車を見ないまま注文していたのだが、悪くない色だ。 青というよりは紺色か藍色ですな。 願わくば、クルマの塗装のような"深み"があると better なのだが。
箱から出して、ハンドルを伸ばし、サドルを上げ、ひょいと持ち上げて前と後ろを1アクションで展開。 一瞬にして3倍くらいに大きくなったわけで、思わず「おぉ〜」と出てしまう。 和田さん、「UK はこれが出来るんだよね」と笑うが、UK云々よりもその鮮やかな手際がステキ。
続いてスタンドの取り付けと納車点検。 スタンドのねじ穴を広げバリを削り,裏の突起を削り,ワッシャの突起も削り…目の前で加工してくれた。 こっちは横で見ているので、並行して説明もしてくれる。 例えばダイナモの掛け方/外し方を説明してくれたと思ったら、ライトのチェックだったり。 仕上げに和田さん自身が乗って走ってみたり。 実に手慣れた感じ。 きっと、数多くのオーナーにこうして対応して来たんだろうなぁ。
店頭に置いてある UK BROMPTON を眺めていたら、手を動かしつつ説明してくれたり。 ほほー、コレが噂の"インター7改"4ですか。 リヤ7速化と、フロントギヤを一回り小さくしているそうだ。 標準の3速は、上下はいいとして「間が欲しい」という意見が多いから、7速化の希望は多いんだろうな〜。
あとは、たたみ方5と組立て方を教わる。
取説はあるけど、UK のは英語だし ミズタニ自転車のは OEM版(ちゅーか、取扱車汎用の簡易マニュアル)だし。
ここは直接習う方が確実と言うもの。
何度か練習し、相当モタつくが、どうにかたためる様にはなったので善しとする。
和田さんみたいに前後を一度に展開するには、修行が必要なようである。
購入後間もないのでそれほど走ってるわけじゃないんだけど、現時点の感想なんぞ。
まずは小径故の直進安定性の低さ。 両手でハンドルを持っていれば全く問題ないが、片手だと少々フラつく。 手放しなど恐くてできない。 同じことだが、舵がとても敏感とも言える。 歩行者や障害物を回避する時は、面白いくらいに曲がる。 歩道橋などを上ってみたりしたが、小回りは利く感じだ。
かなり路面のデコボコを拾う様に思える。 普段乗ってるのが前後サス装備でしかも空気が抜け気味 (^^; なので、なおさらそう感じるのかも。 交差点など歩道が切れる所のちょっとした段差も、案外大きく感じる。 赤に変わりかけた信号を突っ切るのは、ちょっとコワイ。
BROMPTON はギヤが重いという意見が多いようだが、確かに重い。 ミニベロ(小径車)は漕ぎ出しが軽いと聞いていたが、そんな事は全然感じなかった。 ま、内装変速機なので、止まってる間に1速に変速しておけばいいのだ。 ただし、巡航している時は3速でも快適。 平地をぐいぐい進むのに適している感じ。 自分の場合は、2速と3速の間が1段欲しいかなぁ。
少し気になるのは、ちょっとブレーキの利きが渋い感じがすること。 いや、利くには利くんだが、かなり強くレバーを握らないとダメって言うか。 もっとこう、軽く引いて強力な制動力が得られるといいなぁ。 それと、「キー」とか音が出るのは、15万円の自転車としてどうよ?とか思ったり。 シューが馴染んでいないからだろうか?
もちろん、たたんで電車に持ち込むのもやってみた。
デ、デカい…。 すげー邪魔だぞコレ(←60×58×30cmです)。 肩から下げたまま自動改札を通ろうとしたら、何かぶつけてしまった。(^^; 2回目からは腕で持ち上げてヨタヨタ通過。 あー、重い!!! (←12.4kgあります)
営団05系に乗ってドア脇に置いてみたら、概ねひざの辺りまで出っ張る。 幅も、ドアに少しはみ出す感じ。 やはり、手荷物料金を取るか取らないかの境目くらいの大きさがあるのだ。 網棚には乗らないし、もし落ちてきたら一大事。 JR 209系/E231系のシート下のスペースにも入らないのは確実。 一言で言うと、邪魔。 運転台うしろや車椅子用スペースみたいな、座席のない所が狙い目ですな。
んー、さすがに「お気軽」とは行かないなー。 相当気合いを入れて持って行かないと。 大きさ・重さで言うと、中級のプリメインアンプ(専用化粧箱入り)くらいじゃないかな? 例えば秋葉原で買ったとして、とても手で提げて持ち帰る気にはならないよな、普通は配達でしょ、みたいな。 そのくらい、デカくて重いのだ。 自宅最寄り駅からは自走できるから、アンプとは直接比較できないけど。
しかし、畳めない自転車には無い魅力があるのも事実。 フラフラと出掛けて電車で帰ってくるなんて事は、普通の自転車では考えられない。 常に引き返す体力と時間を気にしているから、自ずと行動範囲も狭くなってしまう。 自分は一般の人なので、体力も根性もないのだ。
これが電車で移動できるなら、たとえ帰路が思いっ切り向かい風だとでも心配無用。 行けるところまで行ってしまえばいい。 心配すべきは、電車の混雑具合くらいでいい。 デカくても、重くても、その価値が揺らぐことはない。 と思う。
今回の出費は、本体,スタンド,輪行袋,防犯登録6,値引き,消費税の合計で 144,000円也。
自転車に 15万円って言うと、随分高価な買い物のような気がする。 自転車買ったからって突然行動派になる訳じゃなく、基本的には出不精のままだ。 ただ、時々フラっと出るには便利そう。 行ったことのない所にも行けそう。 また、行ってみたいと思わせる。 そう言う所が、折りたたみ自転車のいい所だと思うのだ。 つまり、ペイするか否かは、今後の使い方によって変わってくる。
ところで、同時に「自転車って安っ」とも思った。 かなり贅沢した方だと思うんだが、それでも 15万円。 例えばパソコン、新品で 15万円って言うとどんなのになるだろうか。 上を見れば天井知らずだが、庶民向けハイエンドだと 50〜60万円くらいだろうか。 高価いなぁ。 PCに比べれば、自転車じゃなくても、クルマやバイクのパーツ,カメラなど、何でも割安に感じるかも。 なんか、久し振りに「正常な」買い物をした様な気分なのが不思議だ。\(^o^)/
和田サイクル
和田サイクルさんは、件の「アオバ」1巻に収録されている『あの空とおんなじ』に登場します。
和田さんの風貌や年の頃などが気になる向きは、こちらも参照。
辺りが良さげ
他の自転車屋さん、ゴメンなさい。
単に調べてないだけです。
個人のサイトからのリンクを辿って、概ね分かったところで打ち切ったので。
他の自転車屋さんじゃダメだと言う意味ではないので、念の為。
Blueが1台
台数はうろ覚え。
納車の時に聞いた話によると、タイミング的に非常にラッキーだった模様。
少し早ければ入荷待ち,遅ければ予約で売切れ。
今回を逃すと、次回は8月入荷だとか。
残り僅かという点と、「UK はすぐ無くなっちゃうんだよね」という辺りが分かって貰えれば幸い。
インター7改
以下、本やネットからの推測。
シマノ・インター7の内装ギヤ比は 0.632(1速)〜1.545(7速)。
標準の SRAM3x7 が 0.733(1速)〜1.360(3速) だから、インター7で言うと 2速(0.741)〜6速(1.335) に近いか?
ギヤ比の幅を一回り広がるようだ。
フロントの歯数を減らして(44Tくらい?) いるのは、7速が重すぎるからか?
話だけ聞くと、良さそうだな〜。
たたみ方
SillyTalk 2002-06-23 を参照。
防犯登録
防犯登録は義務づけられているそうだ(←任意加入かと思っていた)。
やっぱ自分で登録するのかなー、とか思っていたけど、登録してありゃ何処でも構わないみたいだな。
和田サイクルの所在地は警視庁の管轄。
よって警視庁ナンバー。
念の為に書いておくと、千葉県警を避けたい、という話ではない。(^^;