APBリヤキャリア解決

2006-03-18

報告と対策

APB にリヤキャリアを装着したのですが、キャリアステーがブレーキキャリパーと干渉してしまう問題が発生していました。 寺田さんに報告しなくては、と言いつつ、出かけたのは1ヶ月以上経ってからです。 割と頻繁に行っているようで、実は年に数度なので、だいたいこんなペースなのです。 別に苦情を言ったり、クーリングオフを適用しようなどとは考えていないので、今回については問題ありませんけどね。

早速寺田さんに話をすると、案の定、まったく気付いていませんでした。 20inch WO にカスタムして純正リヤキャリアを付けた人は非常に希と言うのも予想通りでした。 後から調べてくれた所によると、過去に1件だけあったそうです。 が、そのオーナーさんは何も言って来ていないそう。 体重が軽い人だったのかも知れません。

ともあれ、対策を考えなくてはいけません。

最も簡単なのは、純正キャリアは諦めて、利用可能な製品で代替する事です。 APB については、KOOWHO 製のリヤキャリアがあります。 これはどうでしょうか。 でも、残念ながら寺田さんには在庫がありません。 富成さんの所(Dynavector)で調べてくれると言うので、そうして貰う事にしました。

後日連絡を貰った所では、KOOWHO製キャリアを使っても同じになりそうだとの事。 物の本の写真を見ると、多少小振りで、かつステーが上に湾曲しているように見えます。 ちょっと期待していましたが、やはり大型のキャリアではそう事情が変わるものではない様です。 また何か計測した訳でもないので、現物を合わせてみないと正確なところは分かりません。

他に、デイキャリアのステーを使えるよう純正キャリアにブリッジを付けようかと言う案も出ました。 しかし、見るからにステーの支持位置が近すぎます。 確かに干渉はなくなるでしょうけど、荷を積むと言う意味では不安の残る手段です。 ともかく対策を考えたいのでデイキャリアとリヤキャリアの両方を持って来て欲しい──との事なので、持って行きました。

寺田さんの対策

両方のキャリアを持って行くと言う事は、やはりブリッジ移設の話なのか? と思って寺田商会到着。 ノギスを手に待っていました。(^^; さっそくデイキャリアのクリアランスを計測します。 光孝さんが体重を掛けてサスを沈め好宏さんがノギスで測る(もちろん打合せなし)といった具合で、相変わらず呼吸バッチリです。 この状態では問題ないので、どうにかして同程度のクリアランスを確保する事が目的となります。

どうするのかなーと眺めていると、何やら怪しげな部品を取り出して純正リヤキャリアに換装し始めました。 見せてもらうと、アルミ削り出しのブロックにボルト穴を開けたもの。 これを BB側のキャリアダボに取り付け、ステーの取り付け位置を上げクリアランスを確保しようと言う作戦のようです。 お店の試乗車(APB-3 1)のキャリアダボを測って作ってくれていたようです。

ステーの取付位置を変更するので、素人考えでもステーの長さが合わないのは明らかです。 しかし、計算したところ我慢できる範囲ではないかと判断したとの事。 自分でも何か解決策は無いものかと思案しましたが、キャリアを水平に保つ事から離れられませんでした。 手間とコストと現実的な許容範囲の中で解決策を見つける所がプロなんでしょうね。

純正リヤキャリアを取り付けて同じようにクリアランスを計測してみると、デイキャリアの時より若干狭い程度に収まっています。 負荷状態で指1本分くらいの余裕があるので、もう当たる心配はありません。 店の回りを一回りして必要以上にサスをいじめてみましたが、サドルにドンっと座った程度ではかすりもしません。

横から見ると、キャリアが上向になりフレームのトップチューブと角度が合っていません。 モールトンのキャリアは、フロント・リヤともにトップチューブと一直線になるようデザインされていて美しいのですが、そうではありません。 ここが我慢できるかどうか、と言う所です。

しかし、言わせてもらうと、APB のキャリアはそんな事を気にする以前に問題があります。 キャリアダボがトップチューブの上に位置するため、たとえ水平になっていたとしても段差があるのです。 また、個体差だとは思いますが、自分のは微妙に右に曲がっています。 あまり細かい話をこだわる様なレベルの製品ではありません。

その点、前述の KOOWHO 製キャリアはそこがちゃんと考えられており、フレームと一直線になるよう設計されています。 デイキャリアの品質から想像するに、たぶん変に曲がっていたり、溶接が雑だったりはしないでしょう。 使っているボルトも純正みたいな安っぽさはありません。 そのくらい仕上がりにこだわっていれば角度が合わないのは問題かも知れませんが、純正キャリアであれば許容範囲と言えるのではないでしょうか。

また、真横から見ると目立ちますが、現実にはナナメ上から見下ろす事になります。 この場合、幅方向にテーパーが付いていることも手伝って、そうは目立ちません。 バッグなりを載せたら見えなくなりますし。 何より、普段はデイキャリアを使うのであって、この状態は言わば緊急用なのです。 十分ではないかと。

今回の対応は、寺田さんがサービスしてくれました。
水平じゃなきゃイヤとか言い出すと、そうも行かなかったでしょう。

走りへの影響

ところでこの純正リヤキャリアを付けて走ると、物凄い存在感があります。 寺田商会からの帰路では、外したデイキャリアと、いつもならデイキャリアに載せている荷物(修理道具や財布・電話・ワイヤロック等)を純正キャリアに載せて走りました。 重量増は純正キャリアの分だけですが、走ってみて大きく影響されているのを感じました。

障害物を避けたりする時など、尻を横から押されているような抵抗を感じます。 また、サスのリバウンドのタイミングが合わない感じです。 全体的に、自転車が「言うことを聞かない」印象があります。 こんなに影響があるんだ──と、少々驚いています。 質量が増えているのだから慣性があるのは当然ですが、荷の重心が尻の下からグッと後ろへ移動した事も影響しているでしょう。 それでも、ここまで強い違和感を感じるとは予想していませんでした。 本格的に荷を載せたらどうなってしまうのでしょう。

荷物を積む自転車と速く走る自転車は別物なんだなぁ、なんて事を思った出来事でした。

  1. APB-3
    寺田商会さんの APB 試乗車。 内装3速のハブを使っているので、APB-3。 現在は KADOWAKI のパウダーコーティング(粉体塗装)の塗装サンプルという意味合い強し。 フレーム作品集左上の "Terada" ロゴの付いた奴…かな? Moulton博士のサインも、粉体塗装で表現している辺り、凄すぎ。

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