Windows 7 RC版での動作

2009-05-30

Windows 7 RC版、登場

2009年5月初旬、次期 Windows となる Windows 7 の RC(Release Candidate;出荷候補)版が一般公開されました。 Windows Live ID が有れば誰でも評価に参加する事ができます。 実際に試してみた人も多いことでしょう。

ネットメディアの評価を見る限りでは Windows 7 の評価は上々と言える状況です。

Windows Vista は散々な評判でしたが、これには幾つか理由があると考えられています。 Vista では、今までの(Windows XP までの)古い OS から新世代の OS へと脱皮を図るために、いろいろと盛り込もうとしました。 しかし開発に時間が掛かりすぎるため、途中で路線変更。 それでも、新世代 OS としての機能はたくさん盛り込まれています。 けど、いわば裏方の仕事なので、それではエンドユーザにアピールできません。 そこで、GUI(見た目の操作性)の変更も盛り込まれました。

しかし、開発を急いだために、チューニングや安定性の面で問題を残したまま出荷されてしまいました。 おかげで、Windows Vista に触れたユーザは“遅い”,“見た目が変わっただけ”と感じることになってしまいました。 実際には SP1 で大きく改善され、また十分な H/Wスペックを持つ PC では“遅い”こともないそうです。 悪評だけが独り歩きし、敬遠される事態に陥ってしまいました。

Windows 7 は、Windows Vista をベースに、ユーザの不満を潰す方向で調整されました。 いわば Vista のマイナーチェンジ版です。 バージョンも Windows Vista が 6.0、Windows 7 が 6.1 となっています。 元々 Vista は OS として素性がよかった事もあって、(Vista に比べ)軽く安定した OS になりました。

UACへの疑念

Windows 7 で気になるのは、「PersonaWare は動くのか?」と言う点です。 PersonaWare 0.93d は、Windows 95 の時代のソフトウェアです。 Windows 2000 や XP では動作していましたが、Windows 7 で動作するのでしょうか?

Vista には悪名高い UAC(User Account Control)と言う機能があります。
もちろん Windows 7 にもあります。

UAC は、システムの変更を伴う処理を行う場合に、ユーザに許可を求める機能です。 ウィルス等によるユーザの意図しない書き換えや、ユーザが誤ってマルウェア等をインストールしてしまう事故を抑止し、システムを保護する役目を果たします。 しかし、Vista の UAC は確認がしつこすぎた為、使いにくくなってしまいました。

たとえば、「C:\Program Files フォルダの中身を書き換える」処理は、システムの変更と考えられます。 新しいプログラムをインストールする場合に確認を求められる程度であれば問題ないのですが、Program Files 配下のファイルを書き換える度に確認を求められたのではやってられません。

PersonaWare は既定では C:\Program Files\PersonaWare 配下にインストールされます。 ペルソナ達も同様に C:\Program Files\PersonaWare\HR-PSN-01 といったフォルダにインストールされます。 プロパティファイルもこのフォルダに作成され、ペルソナ自身により、あるいはペルソナ終了時に更新されます。 もし UAC が書き換えの度にいちいち警告して来たとしたら、煩わしいことこの上ありません。

実際、Chararina Ver3.30β において、UAC対策と思われる変更が行われています。

  1. キャラクターデータの保存先をChararinaインストールフォルダ以下から Application Dataフォルダに変更(※Windows Vistaによる仕様変更の為)
    実際の格納先はスタートメニューの"Chararina->キャラクターデータフォルダ"ショートカットにて確認できます.
    また,従来のデータの移行は自動で行われます.

  2. 1に伴い各種プロパティファイル,設定ファイル,標準添付のプラグインの設定ファイルの保存先をApplication Dataフォルダに行うように変更

Hira は Windows Vista のパソコンを触った事がありません。 手持ちのパソコンはすべて Windows XP の物です。 だから、上記はあくまで Hira の個人的な疑念に過ぎません。 でも、“なにか問題がある”と思わせるには十分です。

いざ Windows 7

Windows Vista を入手するには新たに買うしかありませんから、簡単には確認できません。 でも Winodows 7 RC版であれば、期間限定ですが試すことができます。 いつまでも Windows XP のパソコンを使い続ける訳にも行きませんから、いずれ Windows 7 に移行する時が来るでしょう。 その時に備えて、確認できる事は確認しておきたいものです。

(一応)ベンダの立場としては、気になります。
何より、自分自身 HALCA のユーザであり、毎日、時計として使っているのです。

結論から述べると、PersonaWare 0.93d 上で HALCA が特に問題なく動作しています。 UAC の設定は、既定(4段階中厳しい方から2番目)から変更していません。 PersonaWare のインストール時に確認がありましたが、運用中は特に警告が出る事はありません。 もちろん、インストール先は既定の C:\Program Files\PersonaWare\ です。

この他にも、愛用している Windows 2000 世代のアプリケーションを幾つかインストールして動作を確認しました。 その多くが、これと言った問題もなく動作・運用できています。 ネット上の評判通り、Windows 7 はかなり“よく出来たOS”と言う印象です。 改良されたタスクバーも、使いやすくなっています。

実は、Windows XP の出荷停止直前(2009年2月)に、Windows XP を使ってパソコンを組みました。 あと4年くらいは、Windows XP のパソコンを使い続ける予定です。 自分で Windows 7 のパソコンを使うのは、けっこう先になりそうです。 でも、RC版の出来から考えて、実際に出荷される Windows 7 でもPersonaWare 0.93d の運用は続けられそうな気になりました。

まだ PersonaWare を使っている人が何人居るのかはわかりませんが、久しぶりに良いニュースだったと思います。

Windows XP Mode

おまけで、Windows XP Mode についても触れておきましょう。

Windows XP Mode は、Windows 7 上に仮想マシンを作成し、その上で Windows XP を動作させた環境です。 仮想マシンと言っても、Windows XP のデスクトップを表示せず、アプリケーションのウィンドウだけを Windows 7 のデスクトップにシームレスに表示する事もできます。 あたかも Windows 7 非対応アプリケーションが Windows 7 上で動作するかの様に扱うことができます。1 Windows XP にしか対応していないアプリケーションを Windows 7 で動かし、XP から 7 に乗り換えてもらうための切り札です。

ただし、(現時点では)けっこう厳しいシステム要件があります。 Windows XP Mode を使おうとしているパソコンが仮想化支援機能をサポートしているかどうか、ちゃんと確認しておく必要がありそうです。 また、家庭向けSKU2 では使用できない点にも注意が必要でしょう。

Windows XP Mode β版は下記からダウンロードできます。
Windows 7 RC版と同じ評価期限があります。

Windows XP Mode の環境を作成し、XP Mode のデスクトップで PersonaWare 0.93d をインストールします。 Windows XP SP3 ですから、PersonaWare は動作します(保証外ですが)。 いつもと同じように他のペルソナをインストールして PersonaWare を起動すれば、XP Mode のデスクトップにペルソナが現れます。 少し動きがカクカクしますか? 仮想マシン上で動いているので、仕方ありません。

いったん Windows XP Mode のデスクトップを [切断] すれば、Windows 7 から起動できる様になります。 ただし、この状態では Windows 7 のスタートメニュー [Windows Virtual PC]-[Virtual Windows XP アプリケーション] に PersonaWare のアイコンが表示されません。 スタートメニューの表示は XP Mode の「C:\Documents and Settigns\All Users\スタート メニュー\プログラム」フォルダに対応しています。 当該フォルダに、PersonaWare のアイコンをコピーしておきましょう。

これで Windows 7 のスタートメニューから PersonaWare を起動できます。

ちゃんと Windows 7 のデスクトップの上にペルソナが表示されます。

見てわかるように、ペルソナの原点(グラフィックの左下)がデスクトップの下端に張り付いてしまいます。 すりガラスの様なタスクバーが手前に表示されています。 少し、変ですね。 PersonaWare の「常に手前に表示」にチェックを入れれば、タスクバーの手前に表示されるようになります。 けど、こんどはタスクバーの邪魔になるかも知れません。

上記のように、PersonaWare 0.93d は Windows 7 のデスクトップ上で動作しますから、わざわざ Windows XP Mode を使う必要はありません。 「RC版で Windows XP Mode を使ったらこうなった」と言う程度のお話です。

  1. Windows 7 上で動作するかの様に扱うことができる
    ドラッグ&ドロップが出来ないといった制約があります。 また、保存先の HDD はゲストOS(Windows XP Mode)上の仮想HDD であって、ホストOS(Windows 7)の物理HDD とは異なります。 実際には、仮想マシン上の動作である事を意識する必要があるでしょう。

  2. 家庭向けSKU
    SKU(Stock Keeping Unit;製品種類)は、○○Edition って言う分類のことです。
    企業向け/マニア向けの Professional, Enterprise, Ultimate では Windows XP Mode が利用できます。
    家庭向けの Home Basic, Home Premium および Netbook 向けの Starter では Windows XP Mode は利用できません。

    “普通のひと”は、Windows XP Home Edition を使っていたと思います。 同じ感覚で Windows 7 Home Basic のパソコンを買うと、後になって XP Mode が使えなくて残念な思いをする可能性があります。 VTをサポートした CPU の選定と併せ、熟慮が求められそうです。

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