その1

でぃましゅく
ウラ通り事情 f(^^;

その3

その2・アラビア語

イスラーム世界を舞台にしている以上、避けて通れないのがアラビア語だ。

大学で習ったおかげで、発音のルールなどはわかっていてそれは問題ないのだが、記述のルールを作るのには苦労した。例えば「市場」を市場と書くのか、スークと書くのか、とか、「モスク」はそのままモスクと書くか、正確にマスジドと書くのか、etc...

結局、マスジド、クルアーンなど、できるだけ正式な表記で書くことにしたのは、その耳慣れない語句のせいで架空性が強まるかなと、その効果を期待してだった。果たしてどこまで成功しただろうか……。

もっとも、アラビア語にはフスハー(標準語)とアーンミーヤ(方言)があり、ここではフスハーに基づいて表記しているが、フスハーはいわば書き言葉なので、実際にはそのような発音をしてなかったりする。でも細かいことを気にしていると話が進まないので、文句言われても無視することにした(文句言う人もいないでしょうが……)。

さてそうやってルールを決めたのはいいが、困るのは子音だらけのアラビア語をどうやって日本語に置き換えるかだ。必ず子音+母音で発音する日本語でアラビア語を表記すると、何とも珍妙な言葉になってしまう。

例えば「ハールーン・アッラシード」という人名は、本当は定冠詞部の「ア」が取れて「ハールーン・ッラシード」と発音するのだが、それだとやっぱり格好がつかないから、あえて「ア」を付けたままにしたり、あるいは「アブドッラー」という人名は、本来は「アブド・アッラー」という二つの単語からできているが、これは一つの単語とみなしてくっつけてしまおうなど、臨機応変に対応するしかない。ちなみに「アブド」のドはdoではなくdなんだけど、そんなことにこだわり出したらキリがない……。

どのように表記しても正確には表記できないので、「この物語を書くにあたって」で注意書きしたように、『イスラム事典』に拠ると決めてかかるしか方法はないのだ。


その1 ウード その3