[INDEX] 映画の感想 5月分  

 

・・・特撰 ・・・秀逸

スパイダーマン 5/21

 アメコミ。ストーリーを全部書くと面白くないだろうから書かないけど、ぜんぜん合理性がない。もう少し長くていいから、ちょっと小細工を挟んで説明してくれたほうが、すっきりする。実写にした以上、背景や設定だけではなく、成り行きにも、大人を納得させるだけの見ごたえが欲しいところである。世の中、「スパイダーマン、カッコいい!万歳!!」という人ばかりではない。とくに、悪役ゴブリンの「にわか作り」には無理があった。なんなんだ、ありゃ。

 ところで、スパイダーマンの最大の売りは、うら若い青年が苦しみ、迷いながら人助けをする身近な懊悩だという。そういうちぐはぐな彼の心は理解できた。続編に期待したい。

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KT 5/17

 金大中拉致事件というのをご存知だろうか。いまだ軍政下の韓国の民主化運動指導者というか、大統領候補が、九段下のグランドパレスで何者かに連れ去られ、ボコボコにされて韓国の自宅前で発見されたという事件。これを知らねば面白くも何ともない映画である。その点で、見る人を選んでしまう映画である。この事件は、社会科の授業的に、歴史としては日が浅く、政治経済としてはやや旧聞。僕は、その端境期の世代だが、たまたま大学の日韓史でかじっていたので、それとなく全容をつかんでいた。

 内容は、「さもありなん」と感心する筋立て。そういう背景もあるよなぁ、だったら、こういう展開もありだな、という感心である。当の金大中氏はこの映画を見て、「だいたい、このとおりの事件だったと思う」と感想を述べているそうだが、筋書きそのものが真実だったと肯定する感想には聞こえない。目隠しされてりゃ周りは見えないし、映画に登場した金大中氏は、韓国の現大統領。いろいろと配慮もあろう。

 注目したいのは、劇中に出てくる自動車が、みんな古いことだ。国会議事堂の前の通りを遠巻きに写す場面があるのだが、行き交う自動車がみんな古かった。よく準備していると思う。タクシーの初乗り170円というステッカーも、なかなか心憎い演出だ。こういう現在から遠からず近からぬ時代背景と、拉致という時代離れした蛮行とのギャップは楽しめるのだが、なにか、退屈なのだ。ぐっと来させようとする心配りには気づくんだけど、とうとうおしまいまでぐっと来るヤマ場に出会わない。男のドラマとして描くには、拉致事件という素材そのものが、まだ周知の事実として成熟していないし、政治サスペンスとして割り切るにも、踏み込めないところがあるのではないかと、含みを持たせたままのところがある。NHKスペシャルでも見ているような、遠慮がちな作品であった。

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キューティー・ブロンド 5/-9

 ラブコメ、なんだけど、お姉さんが一念発起してがんばる姿は応援したくなるね。

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名探偵コナン ベイカー街の亡霊 5/-7

 僕の勤める映画館に詰めている警備員さんの話によると、今回のコナンは脚本家が大物らしい。そのためだろうか、犯人探しはあんまり問題ではなくて、メインはコナンたちが繰り広げる19世紀末のロンドンでの冒険という、異色ぶりである。

 しかしねぇ・・・。1週間前にクレヨンしんちゃんを見てると、どうしても見劣りを感じざるを得ない。100年前のロンドンを舞台にしたいがために、いろいろと言い訳じみたエピソードをてんこ盛りにした結果、話の腰が折れるばかりか、妙ちくりんな美談を随所に織り込ませる隙まで与えてしまった、というのは言い過ぎだろうか。その美談は、ゲームだからこそ簡単に投げ出してしまう命に感動を強いようというもので、不愉快ですらある。クレヨンしんちゃんに比べ、命に対するものの見方に著しい乖離がある。もちろん、脚本の苦心もうかがえるのだが、それ以上に、動機の後付けっぽさが残って、結果的になんとも印象の希薄な作品になってしまったように思う。その名の通り、コナンにとって、シャーロック・ホームズがひとつのテーゼであることはわかった。それを再現するのはやぶさかではないが、今作は回りくどすぎる上に、余計な脚色が多すぎる。

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