[INDEX] 映画の感想 12月分  

ハリーポッターと賢者の石

アトランティス


印・・・秀逸

ハリーポッターと賢者の石 12/10

 すごいね。映像を見る作品でもある。スターウォーズ・エピソード1で、レースがひとつの見せ場だったのと同様、クイディッチが映像的な見せ場になっている。ほうきにまたがって、空中で行われる球技が、クイディッチである。本を読んだ人の話では、とても原作に忠実なのだそうだが、なにかと白けがちな細部の情景にまで映像化にこだわる姿勢は評価したい。

 ハリー・ポッターの妙味は、独特の世界観と、これまで日陰者だった主人公が一転して大活躍する爽快感だろう。魔法という空想の世界が、いかにも写実的な学校で繰り広げられているのがいい。その世界への窓口は、9と4分の3番線という、ありそうでなかなかない日常的な空間であるのも、スマートな展開だ。4分の3番線の線路が実は電化されているのはご愛嬌である。

 ぶっちゃけた話、これをズッコケ3人組と評する人もいたが、なにせ、この3人は魔法を使う。しかし、3人の魔法はまだまだ未熟。魔法は使えるんだけど、だからといって万能ではない。勉強も練習も必要なんだよ、という、妙に説得力のある彼らの世界観が、いかにももっともらしくて、我々は簡単にその魔法界にのめりこんでしまうわけだ。

 ひとつ不足に思った点は、ハリーがちやほやされすぎることだ。いくら虐げられた主人公だからといって、公の場で次から次へと勧善懲悪快進撃を演じるのは、今後の展開として、ちょっと不安でもある。調子に乗ったハリーが、ぐれたりしないことを望む。次回作がどうなるのか、早くも気になることの逆説でもある。秀逸。

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アトランティス 12/10

 かつてNHKで放映されたアニメ『ふしぎの海のナディア』のストーリーに非常に良く似た作品。作品の発想は、ほぼ同一といえる。それで面白い作品であればいいのだが、そうではない。ナディアのよかったところは、さまざまな人間関係や、困難な航海を通して、主人公たちが成長するところだが、アトランティスはそういった最も重要な物語を省略してあらすじのみを抜粋したかのような、無味乾燥な作風である。時間的に短い作品なので、主人公たちはいきなり航海に出てアトランティスに達し、あれよあれよという間に映画は終わってしまい、なぜ斯様な筋書きで斯様な結末を迎えるかは、ナディアというたたき台を知らないと、理解し得ない。ネタだけパクッて肝心な部分を時間的都合で欠落させると、こういう映画ができるのではないか。ディズニーらしくない、駄作だと思う。

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