シャフト 11/28 |
「レイク・エンジェルに、おまかせ!」という、おなじみのメロディに乗って、アウト・ロー刑事が金持ち極悪犯に立ち向かうという話。もちろん、「レイク・エンジェル」は後発です。シャフトは、中国語題ほど過激な奴じゃないですが、結構、無茶をする刑事です。しかし、その背景には、極悪人に立ち向かおうとする孤高の正義感が燃えたぎっていて、熱い映画です。 上述の所感からキーワードを抜擢するとすれば、「正義」より「孤高」です。警察、都市、社会といった組織における一個の正義感の無力をひしひしと感じます。世の中を、悪い奴らと、それに利用される奴らに分けたとして、いずれにも属さない所にシャフトという男がいて、その善良なる市民の鬱憤を晴らしてくれる、というわけです。しかし、最後には意外な結末が待っています。たいした結末じゃないんですが、「やっぱり正義は無力なの?」と感じてしまいます。 というわけで、極悪人をギャフンと言わせる単純な映画ではなく、結構、見終わった後に重苦しい印象が残る作品でした。 |
▲TOP |
チャーリーズ・エンジェル 11/28 |
公開がのびて、待たされた作品でした。 この作品は、70年代テレビ作品のリメイク&映画版なのだそうですね。そういうことを意識してか、全体の造作がテレビっぽくて、70年代の香りがします。オープニングや、場面転換時の画面割りなどは、なにやら、懐かしさを感じます。上映時間が短いことも含め、やや軽薄な印象を拭いきれませんが、こうした影響なのでしょう。 さて、みなさんは、3人のエンジェルの中で誰が一番のお好みですか。私は、ドリュー・バリモアですね。いやいや、異論があるのは百も承知です。でも、キャメロン・ディアスのような一本抜けてる間抜けさもなく、ルーシー・リューのような才知に長けたところもなく、そこそこに活躍する普通っぽさがよかったです。悔しがる姿は、なんとも言えずかわいいですね。 お話は、いたって単純です。見所は、やはり3人のさまざまな活躍ぶりでしょう。アクション・シーンもなかなか見せてくれますし、いろんな扮装で敵地に潜入し、男どもを弄ぶシーンも痛快です。そして、そういった男をたぶらかす強い女とは別に、恋する女の子という純な顔を三者三様に持っていることが、また魅力です。 続編も出そうです。楽しみです。 |
▲TOP |
リプレイスメント 11/22 |
これは、あんまり評判のよい作品ではありません。正確に言うと、あんまりお客さんが来ない作品なのです。でも、観て後悔したという話は聞きません。そういう映画って、個人的にハズレがないような気がします。 評価は分かれるでしょう。なんといっても、典型的なサクセス・ストーリーで、結果が見えています。結果がわかっているのであれば、私はその過程を楽しみたいと思います。 リプレイスメントとは、交代の人という意味で、ストに突入したアメフト選手に代わって、キアヌ・リーブスら代替要員の寄せ集めチームが活躍するという話です。もう、ストーリーは読めてしまうでしょう。さて、この代替要員たちが、ひと癖もふた癖もあるやつらばかりです。およそ人生で成功を収めているとは言いがたい男が揃っていて、これをまとめるのにキアヌやジーン・ハックマンは四苦八苦します。しかし、そこは成功の花道を行くスターにはわかりえない気骨を生かし、チームが一丸となってゆきます。音楽に乗ったテンポのいい作品の展開もあって、たいへん小気味よく、スカッとします。 最後に、見事に代替を果たした彼らの行く末が、とても潔い。彼らは、ひと時の栄光を手にすると、再び元の暮らしに戻ってしまうのです。映画そのものも、その姿を深追いせずに、終わってしまいます。とても、さわやかです。 個性ある代替プレーヤーの中には、アヤしい日本人も登場します。相撲取りの設定なのですが、なぜか大銀杏ではなく、月代を剃った髷を結っています。この日本人の役の人は、この映画に出演するためだけに、会社を辞めて本土に渡ってしまったそうです。潔いですね。なお、鑑賞に際しては、ルールとまでは言わなくとも、最低限のアメフトの知識があると、より熱く「観戦」できることでしょう。 |
▲TOP |
世にも奇妙な物語 11/-8 |
テレビの『世にも奇妙な物語』はお好きでしたか。テレビ版が好きならば、まずハズレのない作品です。映画も、テレビ版と同じように、ストーリーテイラー、タモリの案内で進行します。今思うと、なにやら懐かしさを覚える展開です。4作品で構成されています。 『雪山』 『携帯忠臣蔵』 『チェス』 『結婚シミュレーター』 4作品に共通して言えることは、短い上映時間の中に、手際よく話が収まっていることです。『チェス』が残念だったのは、その手際を急ぐあまり、オチが安直だったことです。いずれにせよ、なにかと無理になりがちなオムニバス形式にもかかわらず、よくできていたと思います。題名、作風とも、広く知れ渡ったテレビ作品だからこそ成し得た業といえましょう。 |
▲TOP |
バトルフィールド・アース 11/-8 |
私は旅行が好きです。お金や計画性がないので、いつも近場をうろうろしていますが、列車や路線バスの窓から眺める風景は大好きです。さて、この映画は2時間モノです。新横浜駅から新幹線「のぞみ号」に乗ると、だいたい2時間で京都駅に着きますね。同じ2時間何かを凝視するなら、私は新幹線の車窓を選んだことでしょう。 久しぶりに無様な映画に遭遇しました。いかに無様なのか記したいところですが、いまだ公開中の作品であり、映画館係員として酷評は、はばかられます。詳しくは、映画本編をご覧ください。としか、申し上げようがございません。ジョン・トラボルタ、何を考えているのでしょう。ちっとも主役っぽくありません。それに、あんなメイクでは、一見して誰だかわかりません。 車窓といっても、地下鉄の車窓ほど悪くはありません。ちょっと、グッとくるシーンもあります。ただ、それを押し殺すほどの濃すぎる世界観、壮大すぎるストーリーに、私は冷え切ってしまいました。 |
▲TOP |
X-メン 11/-7 |
アメコミの実写版か・・・と思ってナメてかかると裏切られます。私も、当初はそんな思い込みしかなかったので、観るつもりはなかったのです。この日、小田急線が珍しく大幅に遅れ、観ようとたくらんでいた作品に間に合わなかったので、仕方なく観たのです。 もともと、私は原作の知識を持っていません。しかし、原作を知らなくとも随所にさりげない導入があったりして、理解に苦しむことはありませんでした。 アメリカのヒーローというと、徹底した勧善懲悪の構図があって、最後には善が勝つという単純明快なストーリーが期待されますが、少なくともX−メンはそういう団体ではないです。悪者ミュータント集団とX−メンの対立に、一般大衆が割り込んでいて、それぞれの立場を複雑なものにしています。さらに、それ以前に、ミュータントの各々の性格が、鼎立する三者のさまざまな事情を反映していて、ストーリーの展開に微妙な役割を果たします。いや、微妙というより、むしろ重要です。この構図がなければ、X−メンはアメリカの幼い子供たちや一部のマニアが熱狂する、単なる「戦隊モノ」に過ぎなかったからです。それでいて、極端な厭世感もなく、X−メンがヒーローでありつづける絶妙なかっこよさは賞賛に値します。1960年代という早い時期に、こうした社会的コミックを創出したことに、敬意を表します。 ひとつ心配なのは、古くからのX−メンファンが、この映画を受け入れるかどうかです。素人の私が素直に面白いと感じるという事実は、また古いファンが物足りなさや拒絶を感じていることの逆説でもあります。映画は続編が出そうな勢いでしたが、このあたりのコミックとの整合性が、次回作で問われることと思います。秀逸。 |
▲TOP |