1999年8月27日 FOX−兄貴
戦慄!ナンカ星人来襲
サポセンという業務で重要なのは、お客様の言おうとしていることを理解するということです。
状況を確認し、冷静に判断、的確に回答する。これが理想です。
ですので、まず重要なのはコミュニケーション能力であるとも言えるのです。
しかし、お客様の中には意思の疎通が全くできない方もいらっしゃいまして・・・
「ちょっとパソコンの調子が悪いんだけども」
40代ぐらいのおじさんでした。
「はい、どのような症状ですか?」
「あのな、なんかしてたら、なんか『なんとかなんとかなんとか』ってエラーが出たんだよ」
これだけで原因と解決法が分かった人がいたら、その人は超能力者か宇宙人です。
私は生身の人間なので理解できません。
「えーっと、それだけでは何もアナウンスできませんので・・・エラーメッセージを覚えていらっしゃいますか?」
「うーん、なんとかなんとかってなんか出てたんだけどなぁ」
この時点でこのお客様を「ナンカ星人」と命名。
「何をされているときに、そのエラーは出ましたか?」
「なんだっけなぁ。なんかしてたんだけど」
その後ナンカ星人にいくつか質問するも、有益な情報は得られませんでした。
致命的だったのは、お手元に問題のパソコンが無かったこと。
エラーメッセージも分からず、情報も無く、パソコンも無いのでは手が出せません。
「申し訳ないのですが・・・なんとも手が出せないですねぇ」
「なんとかならないかねぇ」
「ええ。パソコンを目の前にしてお電話いただくか、エラーメッセージをメモしていただければなんとか・・・」
いかん、感染った。
「そうか・・・なんとかなると思ったんだけど・・・。じゃあ自分でなんとかしてみますわ」
そう言って去っていきました。
次の日、ナンカ星人からご指名のお電話がっ!
今度は何か情報が得られるんだろうなぁ・・・と思いつつ転送電話を受けました。
「あ、昨日電話した者です」
「ナンカ星人さんですね」と言いたいのをグッと堪える私。
「はい、覚えてます。いかがされましたか?」
「昨日の件なんだけども、なんかしてたらなんか勝手に直っちゃいましたわ。あはははははは」
「・・・そうですか、良かったですね」
「はい、お世話になりました。では失礼しますね」 ガチャッ ツーッツーッツーッ
こうしてこの応対は、原因も不具合も解決法も結果も分からないまま、幕を閉じたのでした(笑)
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